116 1日目終了
同年代の女子の全裸も、数が多すぎればただの風景になる。
これは俺が体感した事実だ。
ただ風景だから全く気にならないかというと、そういうことも無いわけで。
「中で身体を伸ばせるのって、やっぱり気持ちいいね。向こうの世界にもこういった施設はあった?」
「カナ姉の農場にはあったよ。名称は洗体所だけれど、洗うのは魔法で出来るから、身体を伸ばして疲れをとるための場所だったな。回復魔法で疲れをとるのとは、また違う気持ちよさだから毎日使っていたよ。こっちの世界に来てからははじめてだけれど」
「寮の洗体所、ユニットバスは狭くてゆったり入れない。だから、ここはいい」
そんなメイと結菜さん、陽菜さんの会話に興味をもっても、注意して聞くのはやめた方がいい。
つい言葉に反応してとっさにそっちを見てしまって、見えてしまうなんてことがあるからだ。
目をつむっていても、俺は遠くを見る魔法を使える。
だから興味をもった時点で魔法が発動して、見えてしまうなんてことがあるわけで。
おかげで最年長の花音さんよりメイの方が胸が大きいとか、胸が大きいのも目を引くけれど、小さめなのもそれはそれで……
なんて、しょうもない事まで思ってしまうわけで。
しかも何人かには、その思考が見えてしまっているという地獄。
おまけに全員、風呂が長い。
花音さんや結菜さん、衣緖菜の魔法があるから、身体を洗う必要がない。
だから最初から湯船に浸かっているのだけれど、最後に湯船に浸かった俺がもう限界という感じなのに、平気で長湯してやがる。
なのでもう諦めて、最初に上がってきた。
持ってきた短パンとTシャツに着替えて、俺の部屋だろう6畳間に移動。
自分用の布団を押し入れから出して敷いて、まだ寝るには早いのでスマホで時間つぶしをしていたところで。
「あ、いた、都築」
短パンにTシャツという姿の衣緖菜とメイがやってきた。
やっと風呂から上がった様だ。
髪は魔法で完全に乾かしている様だけれど、風呂上がりで上気した肌が何かエロい、なんてことは言ってはいけない。
思うのは止められないし、それを読む人もここにはいるのだけれど。
「何だ?」
「皆、待っているよ。こっちの部屋」
「布団は収納していく」
何だ何だという間に連れられて、大広間へ。
入った瞬間、悟ってしまった。
俺はもう、あの六畳間に戻れないということを。
大広間にあったのは、何型かわからないけれど大きい平面テレビ。
そしてその前に布団を敷いて、横になってテレビの方を見ている花音さんたち。
衣緖菜が皆の並んでいる端に俺の布団を出した。
やっぱりここで寝ろという事だろう。
「それでは全員揃ったから、ビデオ鑑賞会を始るよ。今回は合宿内容にあわせて、サバイバルもののアニメにしてみた。12話あるから、眠かったら途中で寝ても可。でもいびきは禁止ということで。それじゃスタートするよ」
中央の布団で横になっている結菜さんがそう言って、手元にあるノートパソコンを操作する。
大画面のモニターで、ほのぼの系っぽい女子のアニメがはじまった……
◇◇◇
ゆるふわアニメとおもったら、ゾンビ物だった。
こんなの無人島で孤立している時に見るものじゃない!
面白かったし、最後までみてしまったけれど。
「もう12時を回りましたし、今日はこれで寝ましょう」
「その前に、皆でトイレに行かないですか」
トイレなんて廊下に出てすぐだし、1人で行った方が他の人を待たないで済むからいいだろう。
というのは、あくまで通常の場合に言えること。
陽菜ちゃんが何故そう言ったのかは、今の俺には理解出来る。
何せゾンビものの話を5時間近く見た後なのだ。
アニメだし、絵はゆるふわ系に見えるけれど。
俺ですら、個室で寝ることにならなくて良かったと思えるくらいだ。
「なら全員で行きましょうか」
「そうね。私も賛成」
花音さんやメイまでこんな感じ。
結果、俺を含む全員でぞろぞろトイレに行って、手を洗って、そして横になって、電気を消して。
そして俺は気付いた。
同じ部屋で、女子7人と寝ているという事実に。
眼を閉じても、寝息だの気配だの魔力だのでわかるのだ。
先程風呂に一緒に入ったじゃないかと言わないでくれ。
あれはあれ、これはこれ。
風呂に裸で入るのは、身体を洗うためだから当然だ。
しかし布団というのは、寝る他にナニする場所でもあるわけで、実際普段は衣緖菜とあれこれしているわけで……
もちろん今回は皆との合宿だし、そういうことをするつもりはない。
でも横に衣緖菜がいるのは、目を閉じていようと魔力でわかってしまう。
ついでに言うと、その先にメイがいて、隣が結菜さんで……なんてのも。
結果、悶々として眠れない。
かと言ってこのままでは、スマホで時間を潰しても眠れない気がする。
仕方ない、最終手段だ。
俺は小声で、隣の布団に頼む。
「衣緖菜、すまない。睡眠魔法を6時間分くらい頼む」
「わかった」
返事と同時に意識が薄れていた。
こういう場合は、魔法は便利だ。
何故こういった事態になったのかを考えると、そう言い切れない気もするけれ……ど……




