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俺が魔法を使えた頃  作者: 於田縫紀
第19話 合宿計画

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107 つまらない人間?

 なお今日から昼食会は、メイも参加だ。


『学食より美味しいなんて、万難を排して参加させてもらうべきじゃん。常考』


 だそうである。

 なお土曜日に花音さんたちに参加表明済み。

 やっぱり『なんだかなあ』と感じずにはいられない。

 メイがいるのが嫌なわけではないけれど。


 さて、朝の香取たちとのやりとりは、衣緖菜だけではなくメイも聞いていた様だ。

 昼休みに部室でカツ丼を食べながら、こんな爆弾発言をしやがった。


「朝、都筑の友達がここの部活のことを知りたがっていたみたいだけれどさ。私は特に秘密にする必要はないし、部室に来てもらっても大丈夫だと思うよ。もちろん魔法が使えることを喧伝するのは、やめた方がいいとは思うけれど」


 そこは流石に疑問に感じたから、こう言い返してみる。


「流石にまずくないか。下手に広まったら大変なことになるだろ」


「案外大丈夫な気がする。この学校の生徒ならそこまで馬鹿じゃないし。もし変に言いふらすようだとしても、その前に予知で気づいて対処できるよね。それに気兼ねなく魔法について話せる人が増えるのは、悪い事じゃない」


「なるほど、そういう考え方もあるんですね」


 これは花音さん。

 

「まあそう考えたのは、以前の私の失敗が元なんだけれど。考えすぎて失敗したと気づいたことがあって。それ以来、考え方を少し変えた。案外何とかなるもんだよ、実際は」


「その失敗したことを、後悔している?」


 これは衣緖菜だ。

 何かちょっと話の流れが変だなと思いつつ、聞いていたところで。


「それはそれで、後悔していない。また別の出会いがあったから。だからもし衣緖菜に私が言うべきことがあるとしたら、遠慮しなくていいってことだね。遠慮しないで、自分の好きを通せって」


「他に優先するべきことがあったとしても?」


「だとしても、優先すべきと思うこと以外の大事なことを諦めない。両方追って当たり前くらいに思ってほしい、私としては」


 やはり話の流れが変だ。

 何か俺がわからない、もしくは知らないことを話題にしている。

 でも衣緖菜とメイ、そして花音さんには通じているようだ。

 なお愛美さんたち3人は合宿の作戦、具体的にはどんな魚がどんな方法で穫れるかなんて話をしていて、こっちの話には加わっていない。


「まあ都筑が話が見えないって顔をしているから、この話はここまで。もし次に都筑がまた追い詰められてたら、その時は一度、近未来予知で確認してみてということで。

 それにしても美味しいよね、このカツ丼。でもこれだけ分厚い肉を1人2枚も使ったら、かなりお金がかからない? 何なら材料費+アルファくらいは出すよ。どうせ親から食事代はもらっているし」


「大丈夫です。お肉に関しては、お金はかかっていませんから。転移魔法の他に、温度低下魔法と畜産業用解体魔法が必要ですけれど」


 えっ!? それって、まさか……


「ひょっとして、狩ってる?」


 メイも俺と同じことを考えた様だ。


「ええ。向こうでは農場をやっていたので、害獣討伐も慣れていますから。どうせ狩ったものなら、美味しくいただく方が無駄がありません。ただ私1人ですと、転移魔法や遠見魔法をフルに使えませんから、大体の場合は愛美に協力してもらいますけれど」


「確かに日本の田舎だと、猪や鹿の害が酷いよね、最近は。私の実家がある方も、ちょっと山に近い方の畑だと、結構被害に遭っていたみたいだし」


「ええ。ですから遠慮せず狩っています。でも1体狩れば、5人で1ヶ月近くは持ちますね。今も私と愛美の魔法収納には、猪と鹿の肉が合計120kgくらい入っています」


「でも肉にするのって面倒じゃない? 私の田舎で猪を獲った時は、血を抜いて川に浸けて内臓を出してって、かなり大変そうだったけれど。身体にダニがついていたりもするし」


「そこは魔法の有り難さですね。温度低下魔法で倒した後、血抜きや内臓抜き、皮剥ぎまで魔法一つで出来ますから。ただそのままでは肉がかたいので、食べる3日くらい前に魔法収納から冷蔵庫に移して熟成させています」


 ……花音さんは見かけによらず、とんでもなくワイルドなことも出来る人のようだ。

 そしてメイも、そういったワイルドな現場をよく知っている模様。

 確かに飽多時代にいたのは田舎だったから、そういった動物が出るなんて話は聞いたことがある。


 でも俺自身は、そんな現場を見たことはなかった。

 近くで熊が出たという話を聞いた時は、流石に警戒しながら登下校したけれど。


「でもそれなら、サバイバルなんてのは余裕だよね。今度の無人島も楽勝かな」


「内陸部にいたので、海で何かをするという経験は初めてです。ですから楽しみにしています」


「魚や貝だったら、だいたい捌けるから任せておいて。まあ川魚や陸貝なんてのも食べていたなら、やり方はわかるけれど」


「ただこっちの生物は向こうと違いますし、種類を覚えていません。毒があるかないかは魔法でわかりますけれど」


「私もそこそこ知っているし、愛美たちが調べてもいるから大丈夫でしょ。都筑は多分戦力外だから、期待しないでやって」


「まあそうだけどさ」


 俺が出来ないというより、メイが万能なのだろう、これは。

 俺がメイに勝てるのは、詰め込みでなんとかなる勉強くらいのものだ。

 そういう意味では、我ながらつまらない人間だとは思う。


 もちろん理由、もしくは言い訳はあるけれど。

 前の父も元の父も母親も、とにかく真面目に勉強しろという感じで、そういった体験類はほとんどさせてくれなかった。

 だからそういった生活上の知恵や雑学類は、ほとんど知らないし、体験しないままだったのだ。


 ただ今からそういったことをやるというのは、難しい気がする。

 平日は食事や洗濯などのほか、予習や復習など、勉強も忙しくてあまり余裕はない。

 休日は休日で、なんやかんや潰れてしまうのが普通だし。

 何をやっているというのは、特に無いけれど。


 そして放課後は島について調べたり、釣りの仕掛けを作ったり。

 更には足りない資材があると買い出しに行ったりして……

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