↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
俺が魔法を使えた頃  作者: 於田縫紀
第19話 合宿計画

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
103/129

105 メイの実力?

 結菜さんがカツカレー大盛りを3杯平らげたところで、昼休み終了10分前。

 今度は衣緖菜の転移魔法で教室棟1階の階段脇に移動して、そこから教室に戻った。

 眠い午後の五限と六限、国語総合と英語表現Ⅰを乗り越えると放課後だ。


 そして放課後になってから、20分後の部室は……


「島は小さいけれど、砂浜も岩場もある。陸地のほとんどは一度開墾して畑にしたけれど、誰もいなくなった後に竹が生い茂っているって状態か。なら出来るのは、釣りと、貝類の採取と、タケノコ掘りかな。タケノコの季節かどうかは微妙だけれど。竹の種類もよくわからないし。畑の作物が野生化して残っていれば面白いけれど、この季節だと収穫できるものは無い気がする」


 大テーブルの中央付近でもっともらしく言っているのは、メイだ。

 何でこうなった!

 そう思っても、もう引き返す術はない。


 ◇◇◇


 6時間目の授業が終わるまでは、こうなる予兆はなかった。

 衣緖菜が昼休みに合宿の件をメイに連絡したはずだけれど、何もないということは不参加なのだろう。

 俺はそう思っていたのだ。


 しかしメイは、6時間目の授業が終わるなり俺の席の方へやってきた。

 そして、いきなりこう宣言しやがったのだ。


「何か面白そうな話を聞いたから、今日は方針変更して参加させて貰うね」


 そしてそのまま衣緖菜とともに、この部室へ。

 来週の月曜の朝あたり、また香取たちに弁明しなきゃならない気がする。

 メイは結構男子にも人気があるから。


 部室に入ってすぐ、メイは愛美さんたち5人に自己紹介して。

 何かあっという間に溶け込んで、今は中心になって合宿計画を膨らませている状態だ。

 主に遊び方向の提案で。


 ◇◇◇


「食料は採取しなくても、こちらで用意していけばいいのではないでしょうか?」


 花音さんがメイの提案に、不思議そうな感じでそう尋ねる。


「現地で食料を採取して料理するのも、遊びのひとつ。パンと米くらいは持って行った方がいいけれど、それ以外は極力自分たちの手で食材を入手するなんてのは、やってみるとなかなか楽しいと思うよ」


「そんなものなのでしょうか」


「採取活動が楽しくなかったり、食材が足りなかったりした場合は、買い出しに行けばいいだけ。合宿場所は無人島だけれど、どうせ魔法で近くの街に移動するくらい出来るよね。こっちのスーパーとはまた品物が違って楽しいと思う。陽翔はそう思わない?」


 メイめ、俺にふってきやがった。

 仕方ない。


「花音さんたちは向こうで農場をやっていたらしいから、収穫そのものが楽しいという感覚はないかもしれない。でも違う土地でやってみると、それなりに面白いんじゃないかと思う」


 俺自身は楽しそうだと感じる。

 サバイバルというほどではないけれど、それに近い感じで。

 だから少しプッシュ。


「向こうでは内陸に住んでいたので、海は初めてです。そんなに簡単に食材が手に入るんですか?」


「行ってみてのお楽しみ。でも資料には魚が釣れるし、貝や海藻も採れるって書いてあるから、試して損はないと思う。あとはタケノコ掘り。魔法が使えれば、土の中の部分を含めて掘り出すのは簡単じゃない?」


「タケノコは向こうではありませんでした。美味しいんですか?」


「私は好きだよ。何なら私が料理してもいい。必要な調味料は衣緖菜に頼んで持って行って貰うから大丈夫。どうせ魔法で収納出来るから、そこそこ大量に持ち込んでも問題ないよね」


 メイ、無双状態だ。

 何だかなあと思いつつ、俺は一応釘を刺しておく。


「メインは魔法の訓練だろ、今回の合宿は」


「もちろんそれもあるけれど、一日中ずっと訓練じゃつまらないでしょ。せっかくの合宿なんだから、楽しんだ方がいい。違う?」


「それでもいいと思います。この世界が楽しいと思えれば、それも間違いなくプラスですから」


 花音さんの言っていることは、わかるような気がする。

 こっちで楽しく暮らせることを確信できれば、向こうの世界で大変だったことを気にしないで済むだろうから。

 もちろん愛美さんたちだけではなく、衣緖菜も。


「さて、それじゃ合宿の話を少しずつまとめようか。あと一週間しかないから、全員でゆっくり話をする時間はない。だから調べものはある程度分業して、調べた知識は合宿のしおりとして、A5くらいの小冊子にまとめるということで」


 合宿のしおりって、修学旅行のしおりみたいなものか。

 それなら一応見たことがある。

 中学2年の時の修学旅行に参加しなかったから、実際に使わなかったけれど。

 当時の親権者が金を出してくれなくて。


 そんなことを思いつつ、タブレットとキーボードを出して、テキストエディタを起動する。

 別に全員の発言を全部入力する必要はない。

 合宿のしおりに入れる程度の内容を入れておけば十分だろう。


 ◇◇◇


 合宿のあれこれを決める作業は、結局メイが中心になってしまった。


「それじゃ愛美と衣緖菜は、持ち物のリスト作成。着替えやタオルなんか全部込みでお願い。遊び道具の方は、また別で」


「花音さんはまず、魔法の訓練計画をお願いします。それが終わったらネットで近くの買い物できる場所を調べてください。口コミなんかも見て、良さそうなところをいくつか」


「結菜と美羽と陽菜は、向こうでの食料採取について調べておいて。調べるのは魚と貝と海藻。どんな魚がどんな仕掛けで釣れるかとか。どんな貝がどんな場所で採れるかとか。もし出来るなら、どんな料理になるかも」


 こんな感じでガンガン仕事を割り振って、作業を開始したわけだ。


「慣れてるな。流石、中学3年間ずっと委員長やってただけある」


「まあね。あと都筑は、釣りの仕掛けや小道具の注文。釣りの仕掛けは自分たちで買って持っていった方がいいと思うから。この辺にちょうどいい店がないから、都筑のカードを使って通販で購入しておいて。都筑と衣緖菜以外は寮に住んでいるから、通販使えない」


 なるほど、俺がやる理由はわかった。

 しかし残念ながら、俺はすぐに作業にかかることが出来ない。

 何故なら……


「通販で買うのはいいけれど、どんな仕掛けがいいのか、俺はわからないぞ。それに釣りの方法は、結菜さんたちが調べるんだろ」


「定番の仕掛けってのがあるのよ。何を買うかは、私が適当な通販サイトを開いて選んで買い物かごに入れておくから、最後にクレカの番号を入れて注文確定してくれれば。五千円程度で済むと思うから、問題はないでしょ」


「はいはい」


 メイなら用心しなくていいだろう。

 ということで、スマホを貸す。


「サンクス。それじゃ都筑は、資料をコピーや拡大縮小を使って、しおりの書式に入れておいて。しおりの書式は今作ったから、共有スペースにアップしておく。コピーして使って。あとで全員分のをまとめるから」


「はいはい」


 こういう能力は、メイにはとてもかなわない。

 きっと俺の知識が足りないからだろう。

 勉強以外の、遊びとか趣味とか旅行とか、体験で得る知識が。


 そう思いつつ、学校のサーバーの課外活動用スペースにある異世界魔法部共有スペースを開く。

『GW合宿のしおり・書式.odt』というファイルがあった。

 メイの奴、早くも書式を作ったようだ。

 コピーした後、『GW合宿のしおり_都筑.odt』とリネームして、ワープロソフトで開いて作業を開始する。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。