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俺が魔法を使えた頃  作者: 於田縫紀
第19話 合宿計画

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104 合宿計画2

 「日程だけど、どうせなら両方でやろうよ。全く魔法を使えなかった日本人でも、似たような合宿をやって魔法を使える様になったって、カナ姉経由で聞いているから、陽翔もバリバリに魔法を使える様になるかもしれないよ」


 結菜さんの言葉は、なかなか魅力的だ。

 思わず全面的に賛成したくなる。


「外泊の方も心配ないよ。親戚の家が東京にあるから、そこに行くって言い訳で届けを出すから。もちろん書類上そうなっているだけで、実際にそんな人はいないんだけどね」


 確かに魔法を使われたら、事実上フリーパスだろう。

 花音さんと結菜さんは、かなり強力な精神操作を使えるようだから。


「あと参加者は、ここにいる7人でいいんじゃない? 他の人に魔法の合宿をするなんて言えないし、魔法を使う以上、公認の課外活動の行事にも出来ないし。違うかな?」


「ひとり、例外がいるのです。私はその方にも参加を要請した方がいいと思うのです」


 これは、1年の陽菜《ひな》ちゃんだ。

 自己紹介以外で、はじめて話すのを聞いた気がする。


「例外って?」


「この部には事情を知っていて、今ここにいない生徒が1人いるのです。この部を立ち上げた時に名前を借りたメイ先輩なら、少なくともこの部の生徒が異世界の魔法を使うことを知っているのです。違うですか、衣緖菜さん?」


 陽菜ちゃんは独特なしゃべり方をするけれど、今の問題はそこではない。

 確かにメイは、この部について知っている。

 というか、この部がこんな形で活動しているのも、元はといえばメイのおかげだ。


 でもメイは名前を貸すだけで、活動には参加しないと言っていた気がする。

 だから聞くのはどうだろう。


「何なら衣緖菜さんからメイ先輩に、メールで聞いてみればいいのです」


「それは陽菜の魔法で、そうした方がいいと見えたということでしょうか?」


 花音さんが尋ねる。

 陽菜さんは頷いた。


「はっきりとしたビジョンは見えないです。でもそうした方が、よりいい方向に進む可能性が高いように見えるのです。少なくともマイナスの未来は感じないのです」


 陽菜さんは、愛美さんからの知識によれば、愛美さんと同じ空間操作特化型の魔法使いだ。

 しかし新しく生み出された方が、より改良が進んでいる分、魔力や魔法操作力が強くなる可能性が高いらしい。


 成長度合いと訓練回数で、現時点では愛美さんの方が戦力としては高いとなっている。

 でも1回の魔法そのものの威力は、陽菜さんの方が強い可能性があるようだ。


 ちなみに愛美さん、美羽さん、陽菜さんはほぼ同じ空間操作特化型。

 花音さんが今までの空間操作特化型を元に万能型を企図して作られたけれど、魔力が高く使える魔法が多い代わりに身体が弱くて、実戦に向かないというタイプ。

 結菜さんは花音さんの改良型だけれど、身体的に強靱で身体能力も高い代わりに、魔力総量が半分以下になったというタイプらしい。


 だから陽菜さんの魔法でしか見えない未来が存在する可能性は、否定出来ない。

 花音さんの言葉は、それを確かめる意味だ。


「わかった。メイに連絡する」


 衣緖菜がスマホを取り出したところで、誰かのスマホが振動した。

 取り出したのは花音さんだ。

 さっと画面を見て、口を開く。


「花梨さんから、合宿に使う無人島についての資料が送られてきました。この部のグループに送信しますね」


 それはなかなか楽しそうだ。

 ということで、早速スマホで確認しようとしたところで。


「カナ姉、おかわり」


 結菜さんがそう言って、空になった皿を花音さん側に押し出す。

 なお皿は全部食べた後、魔法で完全にきれいにした状態だ。

 そういえば結菜さんは、昨日のつけ麺も3杯食べていたなと思い出す。


「はいはい」


 空の皿が消えて、山盛りのカレーとカツが乗った皿が結菜さんの前に出現した。

 確かに美味しいし、俺も食べられればおかわりしたいところだ。

 ただ俺はずっと少食で通してきたせいか、胃袋が小さい。

 残念ながらこの1杯で十分だったりする。


 衣緖菜がメールを打ち終わった様だ。

 スマホを机上に置いて、食事を再開する。


『ひととおり書いて送信した。あとは返信待ち』


 声でなく伝達魔法なのは、カレーをかっこんでいるから。

 汁物にトラウマがあったはずだけれど、もう全然問題なさそうだ。

 つけ麺がOKだったのだから、大丈夫だろうけれど。


 さて、メイはどのくらいで返答してくるだろうか。

 この学校は授業中以外はスマホOKだから、昼休み中なら返信は十分可能だ。

 なお俺は、メイは参加しない方向で返答してくる気がする。


『あと私は参加はしない予定。あくまで、衣緖菜や都筑の友達という立場』


『メイは誘わなくていい。本人に確認済み。あくまで異世界魔法部には名前を貸しているだけ。その立場でいいって』


 そんな言葉があったから。

 でもそうだとすると、わざわざ連絡するのはなぜだろう。

 メイが合宿について知っておいた方がいいことって、何かあるのだろうか。


 それに今までの例を考えると、合宿をやることが決まったら、衣緖菜はメイに連絡すると思うのだ。

 割と何でも、俺が思いもしなかったことまで連絡を取り合っている様だから。


 まあメイとはどうせ教室で会う。

 だからここでぐだぐだ考えても仕方ない。

 今考えるべきなのは、カレーが美味しいことと、合宿をどうするかについてだ。

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