表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
12/17

「水林檎さん」





おんなの源氏名は「水林檎(みりこ)」という。

ずいぶん座りがわるいというか何というか。シアトリカル。自我のうっとうしさが感ぜられるために、おとこによっては指名しないかもしれない。


わたくしはメンタルがあるうえ、お酒も飲まないため、そういう悪所には疎遠だし、だいいち金銭をはらって皮膚と皮膚をこすりあう行為に ひとのごうの 深さを みてしまい 無意味にキズをつくる気がした。


だけれどだけれど、その夜は。

パイセンのおごり、ていうカセがありましてん。無下には断れない子であるのもメンタルかかえている証左なんです。


おんなはわたくしより大分トシウエの様だった。スタイルが迚も良かった。おもいの外、笑顔がうつくしかった。


くらいソファは けだものの黒い革 を張ってあるんだ。死んだうしの背中なんだ。しかもそれは偽物のうしなんだ。架空のしたいなんだ。

それがかすかにこわかった。


ソファにまたがって。

構造や組織をブラックライトに明かした水林檎さんは、ひどく官能的だった。


かのじょはうつくしくて、綺麗だから、わたくしは(ねた)ましくおもったくらい。


それから数年後のはなしなんです。


わたくしの入院した病棟に、かのじょは現れた。

病衣をきていた。

お化粧はしていなかった。

本名は加奈子といった。

ふつうの名前だった。

そうしてふつうに笑っていた。

それはそれで綺麗だった。


わたくしが退院した二日あとに、かのじょは首をくくった。


かぜの噂に聞いたんです。


其れだけのはなし。








評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ