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「靴とはなす」




わたくしは稀に靴に話しかけるんです。靴には感情がないため、わたくしを傷つけたり、すれ違いを起こすことがないですから。

話もこじれないんです。


ナイキのバッシュくん。3才。カラーはブラックとブルー。


かれはわたくしに夜のくうきの冷たさや、ひるの公園のひかりが柔らかいことなんかを、波動みたいな言語で伝えるんです。


わたくしはまさに公園のベンチすわりながら、キャラメルコーンか何か食べつつ、波動に脳を傾けている。


耳ではなくてね。脳を傾けるんですよ。当然。


たくさんの波動、それはぎんいろで、ひかりやくうきのさわりごこち以外にも、世界のかんじかたには色々な感じかたの変類があることを教えてくれる気もするんです。


しばらく波動をまじわしたあと、わたくしはベンチからたつ。そうして足をふって、肉や皮膚や脳を前にすすめた。


冬だけれど草はみどりのところもあり、わたくしと靴はそこも歩いた。


わたくしの目の玉は褪せた様な、だけれど、はかなくうつくしい午下りのひかりを感受し、満腹したんです。


靴もまた、くさのひんやりした並び、規則性のあるやらかい針の形状、に満腹した様。


相互理解をふかめました。


うつくしく閑時。







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