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AIに支配された検問世界で1.44MBの聖書(バイブル)を奪取せよ! ~性欲ゼロの管理社会で、オレたちがエロを密輸する方法~  作者: ふん


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第4話 1.44MBの聖書を掘り起こせ! 伝説のタイムカプセル

アルミホイルに包まれた外部通信用モデムが、まるで心室細動を起こしたかのように激しく点滅し、ノイズまみれの暗黒の画面に、海の向こうの国に潜むマニアからの暗号が次々と打ち出されていく。


『日本のブラザーへ。お前たちの絶望は、こちらのセンサーにも届いている。マザー・リリィの包囲網を突破するデータ偽装は不可能だ。……だが、諦めるのはまだ早い。デジタルがダメなら、物理的な「遺物」に頼るしかない』

「物理的な遺物……?」


読み上げ音声を聞いて、サトシがキーボードに突っ伏していた顔を上げた。

画面には、何らかの座標を示す地図データと、信じられない文字列が表示されていた。


『我が国に伝わる古い電子古文書によると、2020年代の国家規制が入る直前、当時の極東のマニアが「本物の肌色データ」を詰め込んで地中深くへ埋めた、タイムカプセルが存在する。場所は日本の、ある山奥の座標だ。そこには、世界を変える究極の記憶媒体が眠っている。その容量は……【1.44MB】だ』


画面に表示されたその数字を見た瞬間、サトシはパイプ椅子からひっくり返りそうになった。


「いち……1.44メガバイトぉぉおおお!?!? 教授、こいつは俺たちをバカにしてるのか! テラじゃなくてメガ!? ギガですらないぞ! 現代のスマホのカメラで、ただの白い壁を1枚撮影しただけで消し飛ぶようなクソザコ容量じゃないか! 何が究極の記憶媒体だ!」

「黙れ若造ッ!!! 1.44メガを愚弄する者は、1.44メガに泣くのだ!! それがわからんか!!」


教授が突然、机を叩いて大激怒した。

その瓶底眼鏡の奥の目は、かつてないほど激しく歓喜に震えている。


「教授……? あんた正気か? 1.44MBで一体何が保存できるって言うんだよ」

「いいかサトシ。その【1.44MB】という美しくも儚い数字……これこそが、かつて人類がフロッピーと呼ばれる薄い円盤に、己の煩悩のすべてを圧縮して詰め込んでいた、旧時代の『神の規格』なのだ! 当時はそれだけの容量があれば、人類は夢を見ることができた! 3和音の着メロで涙し、ドットの粗い1枚の画像のために命を懸けたのだ!」


教授はサトシの白シャツの襟元を掴み、がくがくと揺さぶった。


「ワオンってなに? 容量? 電子マネーアプリ?」

「茶化すな!!」

「本気で聞いてるんだけど……」

「わかった。同じ人種として伝わる同じ言語で話してやろう。そのタイムカプセルに眠っているのは、マザー・リリィのディープラーニングすら受けていない、純度100%の原始の肌色……! いわば、世界最古の聖書だ! これさえ手に入れば、他国とのトレードを成立させる唯一の『本物の手札』になる!」

「純度100%の、原始の肌色……!」

サトシの胸の中で、一般相対性理論によって冷え切っていた聖火が、一瞬で爆発的な火柱を上げた。


「よし乗った!  原始人のオレにはぴったりじゃないか! 1.44MBの聖書、オレがこの手で掘り起こしてやる!  聖火リレーはまだ続いてる!」


二人は固く拳を握り合わせ、薄暗い地下室の床を蹴った。

未開の山奥に眠る伝説の記憶媒体を求め、サトシの決死の山岳強行が幕を開けようとしていた。





わずか数時間後。

サトシと教授の二人は、鬱蒼と茂る山林の中を、泥にまみれながら爆走していた。


「ハァ……ハァ……! 1.44MB……待っていろ、オレの聖書……!」

「サトシ、遅れるなッ! 老体のワシに置いていかれるなど、恥だぞ!」


白衣を泥だらけにし、瓶底眼鏡をツタで歪ませながら、教授は信じられない速度で藪を泳ぐように掻き分けて進む。

現代社会の過剰なまでに舗装され、ミントの香りに洗練された街並みとは真逆の、不純で野性味に溢れた大自然が二人の肌を打つ。


だが、彼らにとって最大の敵は、険しい崖でも熊でもなかった。


ジジジジジ……。


上空から、あの忌々しい機械的な駆動音が響く。

二人はとっさに巨木の影に身を潜め、息を殺した。


見上げれば、マザー・リリィ直轄の巡回ドローンが、サーチライトで夜の山肌を容赦なく舐めるようにスキャンしている。


「くそっ、こんな山奥まで……! マザー・リリィの奴、違法ゲシュタルト・モンキーの一件で、すぐにこのエリアの監視レベルを上げやがったな!」

「当然だ、今のワシらの脳波は去勢の恐怖と『原始の肌色』への執念で、通常の人間ではありえないほど異常なスパークを起こしておる! 歩く超高熱源体も同然のハレンチ生物だと思え」


少しでもハァハァという吐息を漏らせば、即座に位置が特定される。

二人は涙目で互いの口を両手で塞ぎ合い、脳内で必死に『美味しい白米の炊き方』を復唱して脳波を偽装した。


ドローンが数秒間、二人の頭上をホバリングした後、進路を変えて去っていく。


「……今だ、走るぞサトシ!」

「おう、教授!」


二人が木陰から飛び出したその瞬間、背後の暗闇から大気が焦げるような音が聞こえた。


「そこまでよ、ハレンチな不純思想犯ども」


聞き覚えのある声。

二人が恐る恐る振り返ると、そこには漆黒のラバースーツに身を包んだお色気Gメン・マリカが、月光を浴びて立ちはだかっていた。


その凶悪なボディラインは、山の寒風に晒されてなお、サトシたちの網膜に直接熱い「ハレンチ」を叩き込んでくる。


マリカは電磁特殊警棒をパチパチと放電させながら、冷たい笑みを浮かべた。


「こんな夜中に、ジジイと若者が手を握り合って山奥でハァハァ言う運動って一体何かしら? 言っておくけど、あなたたちの心拍数と脳波、完全にアウトよ。マザー・リリィの警告灯が、私の端末でクリスマスツリーみたいにチカチカ輝いてるわ」


「マ、マリカ……!? なぜお前がここに……!」

「街の通信ログを解析したら、旧時代の海底光ケーブルに不審なアクセスがあったのよ。あなたたちのハレンチな殺気は、この山の生態系すら乱しているわ。さあ、大人しくお縄つきなさい。今なら『片玉』の減刑くらいは上申してあげる」

「冗談じゃない! 片玉痛しだ。このオレが屈すると思ったか!」

「片腹痛しよ」

「とにかく! 開幕式を前に片玉を失ってたまるか!」


サトシと教授は一斉に背を向けて走り出した。


「おっと、逃がさないわよ!」


マリカが凄まじい脚力で跳躍し、電磁特殊警棒を大きく振りかざす。

青白い電撃が夜の闇を切り裂き、サトシの鼻先をかすめた。

鼻腔に空気が焦げる匂いが届くと、一気に恐怖が増した。


「ひえええ! 当たったら即座に魂までクリーンにされちまう!」

「サトシ行け! オレが抑え込む! あのおっぱいをな!」

「ずるいぞ! 教授!」

「この役目は誰にも譲れない……来い! 死して悔いなし!!」


そう叫んだ瞬間。

教授は突如として振り向いて、その場に完全急停止した。


「えっ!?」


空中で警棒を振りかざし、完全にサトシの動線を予測して飛び込んできたマリカは、教授のこの予測不能な「その場で壁になる」という捨て身のストップモーションに完全に虚を突かれた。


激しく前のめりになり、体勢のバランスを崩すマリカ。


「ちょっと、どきなさいジジイーーーッ!」

「どくものか! 来い、新時代のハレンチの波よォォォ! 波打て!! 本物の乳ならな!! ははもちちとなれ!!」


教授が両腕を広げてバカなことを叫び、その凶悪なボディラインを満面の笑みで受け止めようとした、その瞬間。

バランスを失って空中でもがいたマリカの右手が、フルパワーで放電していた電磁特殊警棒を、自らの左手に握られていた「違反検知端末」へと、勢いよく叩きつけてしまった。


――バリバリバリバリィィィン!!!


「あああ!?!? 私の端末が!!」


超高電圧の電磁エネルギーが直撃した瞬間、二人の脳波を正確に捉えていた通信機器が、激しい火花を散らして文字通り粉々に爆発した。バチバチと音を立てて液晶が割れ、メイン基盤が完全に消し飛ぶ。


画面が完全に消え、黒煙を上げる鉄くずと化した端末を見つめ、マリカは呆然と立ち尽くした。


二人の位置をリアルタイムで追跡していた唯一の通信機器が物理的に大破した以上、この暗闇の山林で、マリカが二人を追う術は完全に失われた。


結局、マリカのおっぱいは1ミリも受け止められず、教授はただ虚空を抱きしめた形になったが、結果オーライである。


「通信が……壊れた……!? これじゃあもう、二人の位置が追えない……!」


「ハハハ! 見ろサトシ、作戦通りだ! 行くぞ!」

「しっかり見てた。裏切り者め」

「あの瞬間は、サトシにフロッピーディスクを上げたんだ。平等だっただろう」

「おっぱいはふたつだ。それを分ける方が平等だった」


完全に追撃の目を潰されたマリカを暗闇に置き去りにし、サトシと教授は山の斜面を転がるようにして一気に駆け降りた。

追っ手を完全に振り切った二人は、ついに、伝説の座標の真上へと辿り着いた。

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