元義妹、荒ぶる。
「ごほん・・・・・・・・・わかりました」
落ち着きを取り戻したれみは姿勢を正した。
「では今後は、兄さんはお義母さんとの関係改善を目指すということでいいのですね?」
「ああ。それが一番じゃないかな」
「ですが、私の作戦もいいとおもったのですが。娘さんを僕にください作戦」
いや、それが一番難しいって。しかもなにもう名前付けてるの。
「はぁ、まったく兄さんは。わかっていましたがしょうがないですね。わかっていましたが」
二回も言われた。そんなに自分の作戦実行したかった?
「わかってはいましたが」
「まさかの三回目・・・・・・?」
「ですが、それだけ兄さんが私との将来を大切にしてくれているってことですので妹でも義妹でもない私は甘んじて受けます」
「う、うんありがとう。それより、もうこんな時間だ。遅くなるし駅まで送るよ」
「・・・・・・・・・なんだか私のこと追いだそうとしていませんか?」
「おいおいそんなわけないだろ?」
れみの言ったとおり、俺達の関係に当てはまる呼び名はない。
昔は義理の兄妹だった。家族だった。
けど、今は赤の他人。
それでも、いつまでもこんな時間を二人で過ごしたくて。いつまで続くかわからない二人だけの時間が楽しくて。
「できればずっと、れみと一緒にいたいとおもってるんだぜ」
そんな本音まで言ってしまう。
「に、兄さん・・・・・・・・・」
照れくさかったけど、偽らざる本心を伝えるとれみがもじもじしはじめ、なんだか気まずい空気に。
「は、は、は、破廉恥ですっっっ!」
けど、れみの反応は想像の斜め上だった。
「え、どこが!?」
「だってずっと一緒ってことは毎日三百六十五日二十四時間常に一緒ってことでしょう!? そんなの兄さんの家に泊まるか同棲でもしないとできないではないですかっっっ!」
「言葉の捉え方の癖が強いよ! そうじゃねぇよ!」
「だめですまだ私達には早すぎます! 余計両親に反対されますっっ! でも兄さんが強引に引き止めるのなら私は逆らえませんっっ!」
「しないよ!」
「それにもし同棲したら私はそこから『兄妹だし一緒にお風呂に入っても問題ないよね』とか『昔はよくこうやって一つの布団で寝てたじゃん』とかに繋がってしまうんです! でもでも成長した互いの肉体と餌を前にした野獣さながらの性欲に呑まれて二人とも朝から晩まで猿のように求め合う獣になってしまうんですっっっ!」
「話聞いてないなお前!? というか発想の飛躍が妄想レベルだぞ!」
「は、まさか兄さんそれが目的ですか!?」
「は、じゃない! んなわけないだろ!」
「だめです無理ですせめて互いに大学と高校を卒業してからでないと! あと着替えとお揃いの歯ブラシとコップとパジャマと家具も揃えないと! そうじゃないと――」
「お前実はちょっと乗り気だろ!」
「そうじゃないとなんやかんやで授かり婚してしまうんです!」
「れみ、一回深呼吸しよ? ね? 目が病んじゃってる! どすっっっ黒くなっちまってるから!」
「学校も退学、この就職難不景気で高校・大学中退が選べる仕事なんて多くありません! 子供を育てるために二人とも必死で働いていつしかすれ違いが生じてそして兄さんはなんやかんや別の女性に癒やしを求めて不倫にのめりこんで私達は捨てられるんです!」
「よくありそうだけど! 現実のどこかの家庭にありそうだけど!」
「な、なんておそろしい・・・・・・そんな兄さんはやっぱり矯正します! お父さんとお義母さんとの関係を改善するより、兄さんを根本から矯正しないと!」
「矯正が必要なのはお前の頭だああああああ!」
と、こんなわけで。
俺とれみの関係性はまだまだ続きそうなのだった。




