元義妹、惑う。大いに惑う
「え?」
「俺がおもいつくアイディア、現実的なのはまずそれくらいだけど」
れみは俺の提案に目を丸くさせて驚いている。どうしたんだろう。
「ちょ、ちょっと兄さん。待ってください。ご自分が言っていること理解できていますか?」
今度はあたふたしはじめた。なんで?
「まず俺が母親に会って関係を改善するって提案がそんなに変か?」
「変じゃありません! 変じゃ! だからこそ驚きなんですよ! だって兄さん、お義母さんのことまだ許せていませんよね!?」
「・・・・・・・・・」
「以前私がお義母さんの話をしようとしたとき、早々に終わらせようとしたり、別の話題に切り替えていましたし!」
・・・・・・・・・気づいていたのか。
つくづく俺はダメな奴だなって実感した苦笑いしてしまった。
れみは、俺が母親と会ったとき険悪になるかどうか心配しているんだろう。
「いずれは避けて通れない問題だし」
「そ、それはそうですけど・・・・・・・・・でも・・・・・・・・・」
「なぁ、れみ。俺はずっとれみと一緒にいたい。名前なんてないあやふやな関係で、前とはまったく違う間柄だけど、それは本心だ」
不安がっているれみの肩を優しく掴んで、諭すようにまっすぐ目を合わせる。
「お前の親父さんが俺と会うのを許していないのは、俺と母親の関係が絶縁状態にあるからだ。それを改善すれば、親父さんだって許しやすくなるんじゃないかな」
もちろん、れみのためだけじゃない。俺のためでもある。
どこかで母親のことは区切りをつけなくちゃいけない。俺の実父も、そのへんのことを気にしているし。こんなきっかけがないと会う意味さえなかった。
「に、兄さん顔が・・・・・・そんな真剣な顔で見つめ・・・・・・ごにょごにょ・・・・・・」
「聞いてくれ」
「ひゃ、ひゃいぃぃ・・・・・・・・・」
「そりゃあ母親のことは許せない。けど、俺の母親への気持ちを優先したせいで、れみとまた会えなくなったり悲しませたりしたくないんだ」
「ひゃ、ひゃいいいぃぃぃ・・・・・・・・・」
「許せるか許せないかも、まだわからない。でも頭から決めつけて最初から諦めていたらだめだっておもうし」
「ひゃぃぃぃ・・・・・・・・・」
「それに、いつまでも後回しにしてたら余計大変なことになる」
そう。先輩しかり健しかり。れみのことを内緒にしてたことで、めんどうなことになるって体験済みだから。
つまり、色んな意味と事情をひっくるめて。もう昔と同じことを繰り返したくない。
れみとの関係をやり直すには、いつか避けては通れない道なんだ。
なにが正解かなんてわからない。けど、一つ一つやるしかない。
れみと会い続けるためなら、困難なことこそまず片づけなくちゃいけない。
母親と会って関係を改善させるのが、まず第一歩だ。
「けど、俺一人じゃ自信がない。だかられみにも手伝ってほしい。いいかな?」
「ひゃいいいいい・・・・・・・・・・」
「れみ?」
れみの様子がおかしい。瞳が潤んでいる。これ以上ないくらい上気していて、唇がわなわな震えている。まるでとてつもなく恥じらっているような・・・・・・。




