第九話
家についたのは午後十一時、待ち合わせは午後十二時、僕は憂鬱な気分を晴らすため、冷蔵庫にある気休めのマムシの栄養ドリンクを一気に飲んだ効果はあるか分からないが、僕の体は疲労に満ちていた。三十分仮眠を取ろうと思ったその時だった、スマホが命を宿し叫びだした。画面を見ると魚下店長だった、先日の公開処刑の会話が思い出される。
僕は通話ボタンを押した。 「はい相原です。」
「どうも、魚下です。夜勤明けですよね?ご苦労さまです。」
魚下店長の背後からコンビニの音がしてきた、どうやらお店の中らしい、彼はこれからシフトだろうか?魚下店長が任されている店舗は住宅街の真ん中にある店舗で、午後十二時がピークタイムでこれから混む時間だろう、隙間時間を狙って電話してきたのだろうか?それにしても、二十五歳と思えない、落ち着きのある言葉使いだ、
「この間のミーティングはお疲れさまでした。突然失礼します。今お時間宜しいでしょうか?」
僕はこの後の美雪とデートが控えているが、うまく断れず、ハイ、と答えてしまった。
「この度、田中オーナーからあなたの指導係りを任されました。宜しくお願いします。まず初めに、あなたの勤務態度から見直させていただきます。退勤記録によりますと、貴方の不正な出退勤記録がありました。防犯カメラによると、貴方は金曜日の日に遅刻しておりますね?そして聞き込みをした結果、レジの不正も見つかりました。スタッフの人たちとも、うまくいっておりませんよね?今日も中島さんがお酒の臭いがするのにも関わらず、注意もせず、帰ったそうですね?」
僕しか知らない情報を次々と出してきた。おかしい、
「あの魚下店長?あのなんでそれを知ってるんですか?」
「それは僕が今貴方の店舗にいるからですよ?今後中島さんのシフトには僕が入ることになりました。今日の発注履歴、防犯カメラ全て目を通しました。オーナーにも許可をいただいてやってるんです。いいですか?今後はシフト上がりに、僕が発注と掃除と業務管理をチェックします。早く帰れると思わないでくださいね?あなたのポンコツっぷりを管理するんです。むしろ感謝してもらいたいです。」
僕は何も言えず、そのまま黙っていた。




