↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
死にたい貴方に送る自殺体験型テーマパーク  作者: 百合香


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

15/21

第十五話

 夏の終わりの夕暮れ、僕は眠っていた。どのくらい日が立ったのだろうか?分からない。足が思うように動かない、自分の部屋のベットで寝返りをうつ、身体とベットが、ミシミシと音を立てる、、手と足が脳内から切り離されて、別々の生き物のように言うことを聞いてくれない。たまに泣きたくもないのに、次から次へと、両目の黒い穴から水分が出てきて、枕を濡らした。トイレに行きたい、喉が乾いた、僕は身体に命令をする、動け、動け、すぐには手も足も動いちゃくれない、強制的な眠さが脳内を支配する、また眠りに落ちる。


 トイレに行きたくて再び目が覚める。一日はこれの繰り返しになっている。僕は這ってトイレに向かう、幸い家が平屋なので階段はない、身体が鉛に押しつぶされてる感覚に落ちる、もしくは僕の家だけ重力がましたのか?台所に放置している。スマホが鳴いている、何日か前に、部屋に置いてあったスマホは、あまりのうるささに、気がおかしくなりそうになり、台所に放置する事にした。


 何とか、力を振り絞りトイレで用を足し、台所で水を飲み、這ってベットに、また向かった、この生活になってから、何も食べていない、不思議とお腹は空かない、天井を見上げた、人生の天井を感じる、


 僕の身体は四角形の水槽に閉じ込められていて、徐々に底から水があふれてくる、身体が水に浮かび、水がいっぱいになってきて、僕は息をするため、天井近くで口をパクパクする、どんどん水が四角形の水槽をいっぱいにする、やがてそれは、いっぱいになり、僕は水の中にひきこまれ、息がとまる。この自分の部屋がその水槽だ、天井の近くの僕の人生はこのまま終わりを迎える、この生活になったのは、あの日からだった。


 誕生日の日に美雪のスナックから、家に帰ったその日、僕は、泥のように眠った。スマホが何回か鳴ったが、無視をして、そのまま眠り続けた。気が付くと次の日の朝だった。僕の身体はすでに鉛に支配され、動けなかった。その日、辛うじてスマホをチェックすると、美雪と魚下店長と田中オーナーのメッセージだった。

 

美雪 【竜ちゃん黙っていなくなるなんて、酷いよ、誕生日のプレゼントも渡してない】


魚下店長 【相原店長、お疲れ様です。今日の夜勤明けでバックヤードの整理のチェックを致します。あと、お菓子コーナーのレイアウトの変更の仕方、棚卸の準備、その他諸々の業務、やることが山積みです。早く帰りたいなんて思わないでくださいね?】


美雪 【竜ちゃん、ごめんね、私、何か悪いことしたかな?どうしたの?】


田中オーナー 【おい竜也、今日の夜勤でお前の仕事ぶりのチェックをしに行く、ありがたいと思え、この俺が直々に見てやるんだ、こんなことしてやれんのは俺だけだぞ】


美雪 【竜ちゃん、どうしたの返信ください。】


魚下店長 【相原店長、返信ないとは、何事ですか?オーナーに報告させていただきます。】


田中オーナー 【おい、返信は一分でしろと、言ったよな?】


 僕は気分が悪くなり、ベットに戻り眠った


 夜勤に行かなくなり、どれくらい立つのだろうか?誰か訪ねてきた気配もして、玄関チャイムも五回くらい聞こえてきたが、動けない身体ではどうすることもできなかった。どれくらい時が立ったのか、ようやく、少し動けるようになり、久しぶりに顔を洗いに洗面台に向かった。洗面台の鏡に映った僕は、やつれはて骨に皮をはりつけたような顔をしていた。髭は生えて、眉毛はゲジゲジと眉毛と眉毛の間にくっつき、少し鼻毛も出ていた。ずっと寝ていたせいで、髪の毛はチリチリになり、頭のてっぺんが薄くなっていた。三十五歳を迎えたはずなのに、五十代位の知らないおじさんがそこには立っていた。僕の人生はいろいろな意味で終焉を迎えようとしていた。


 台所の隣の部屋の仏間に顔を出した。お仏壇はホコリをかぶっていた。お父さんとお母さんの写真と位牌がそこにある。僕は丁寧に掃除をしだした。仕事が忙しすぎて、手もずっと合わせてなかった。掃除をしてるうちに、お父さんとお母さんを思い出し少し涙があふれてきた。手もずっと合わせなくて、ごめんなさいと、と心の中で謝罪をした。


 掃除を終えて、チーンと鐘を鳴らした、


「お母さん、お父さん、近い内に、そっちに行きます。社会貢献も出来ず、男としての役目を果たせず、ごめんなさい。」


 僕は三十五年間の人生を終わらせようと考えていた。これ以上僕が壊れなように、これ以上誰かの餌にされないために、僕はスマホを開き、あるサイトにアクセスした、ホームページに広告が流れた。

(チャラララーン★ようこそ夢の国へ、あなたの待っていた世界が!今ここに!驚愕な体験!胸躍るアトラクション!そしてまだ見ぬ出会い!あなたは今、人生が充実してますか?キラキラした新しい世界に行って見ませんか?きっと素敵なことが起こるはず、さぁ扉の向こうへ、チャララララーーン☆東京デスキラーランド!いよいよ開園です。ここでは様々な疑似自殺アトラクションが楽しめます。遺書の作成指導も行います。ぜひご来場おまちしております。ご予約はネットチケットにて、今なら入場者記念にマスコットキャラ、グリム君のストラップをプレゼント、今、貴方の人生は充実してますか?)


僕はどの死に方がいいのか確かめに行くために、ネットチケットを予約した。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。