第十一話
前回の続きです。
席に戻ると、美雪が、近くの回転すしの席のネット予約をしていた。
「晩御飯、太郎寿司でいいよね?ねぇトイレで射精してきてないよね?とっといてよ?」ついでに僕の精子も予約したみたいだ、それは提供できるか分からない。
夕方の太郎寿司は家族ずれで賑わっていた、ネットで予約していたおかげで待ってる時間はなさそうだが、それでも少し待たなければいけないようだった。家族に人気のある太郎寿司は中学生のころ家族で、よく行っていた事を覚えてる、あの頃は頭の中がまだ幼かった。ここの太郎寿司には子供が喜ぶシステムがある、各テーブルのボックス席の横に寿司が流れてくるレーンがある、その上に大きな箱があり、そこに詰められてるのは、透明なカプセルでその中にキャラクターのキーホルダーが入っている。いわゆる景品だ。その景品をとる方法が面白いのだ、五枚のお皿を席に備えられいる、お皿一枚くらいの空いた穴にいれる、そうすると寿司を頼むタッチパネルにアニメーションが流れ、あたりが出れば、見事景品が上の箱から出てくるというものだ。
僕はこのシステムがある太郎寿司が好きだった。中学生二年生だった僕は、小学生みたいに、はしゃぎ、大きな声を出していたのを今でも覚えている。中学生となれば、周りのクラスメイトは好きな女の子の名前を言いあったり、下ネタを楽しんだり、中には彼女が出来たりしてセックスが気持ち良かったとか言い合ってたりしたが、僕だけの頭が進化が止まっていて小学生のままだった。
今でも思い出す記憶がある、お父さんがあの日、出張で帰りが遅くなるはずだった、しかし帰ってきたのが、夕方の晩御飯前だった。その日、僕は落ち込んでいた。大好きだった焼肉戦隊カルビレンジャーの下敷きをクラスメイトに馬鹿にされたのだ、そんなの中学生にもなって使っていて、ダサいだの、気持ち悪いだの、挙句女子までもが、バカにしてきた。そんな中、早く帰ってきたお父さんが太郎寿司に行こうと、お母さんと僕を誘ってくれた、太郎寿司では焼肉戦隊カルビレンジャーのコラボがやっていた。落ち込んでいた、僕は急に明るさを取り戻し、たくさん食べるぞと気合をいれた。その後、お母さんもお父さんも、よし、竜也のためにたくさん食べて、カルビレンジャーのキーホルダーゲットするぞと、十皿を平らげてくれた。そしてゲットしたのが、僕が好きなロースレッドだった。僕ははしゃいで大きな声でヨッシャーと叫んだ。お父さんもお母さんも、手を叩いて喜んでいた中学生二年生の僕は幼かった。僕の世界の全ては家族だった。
「ねー竜ちゃんこの後、お泊りしよう、竜ちゃんの事、今度こそ気持ちよくするから」
美雪の声で現実に戻された。
家族ずれが待つ、太郎寿司の店内の四隅で、僕の腕に巻き付き、話しかけてきた。
僕は小さくヨッシャーと呟いて喜んであげた。あの頃のヨッシャーと今のヨッシャーが決して交わることはない。僕の腕に美雪のふくよかな胸が当たる。壁には焼肉戦隊カルビレンジャーの復刻コラボと書いたポスターが貼ってある。あの頃の僕と今の僕だって決して交わることはないだろう。
太郎寿司で食事を終えて、僕たちはホテル探しをしていた。ポケットには復刻盤の焼肉戦隊カルビレンジャーのロースレッドのキーホルダーが入っている、これが当たった時の美雪は何それダサいと吐き捨て、サーモンと玉ねぎとマヨネーズの寿司を食べていた。僕はそうだねと嘘をいい、静かにポケットにしまった。この街の外れには多くのラブホテルが立ち並ぶ、街の発展とともにホテルも多くできたみたいだ、この街は無理やりカップルたちの性欲処理の役目まで与えられたようだ、
僕は疲れていて、早く家のベットで眠りたかった。美雪は熱心にここは、かび臭くて駄目だとか、ここはお風呂の蛇口から出る水がお湯に早く切り変わらないだの、理由をつけ探し回る、やけにラブホテル事情に詳しいのは何故なのか?僕は頭が疲れていてそんな事は気にならなかった。
ここがいいと、言ったのは外が煌びやかに赤や、青、緑、桃色のライトアップがされていてライオンの銅像からお水が出ている噴水みたいなものが入口についてるある、ラブホテルだった。
美雪が手慣れた様子で部屋を購入し、僕たちは四階の部屋に移動する。ホテルの一室はセックスをするための空間にとどまらず、豪華なベットに無駄に広いソファーやら、大きなテレビ、また絵画や大きなオブジェが並んでいた。ここはホテルのスイートルームみたいだ、たがたがセックスするために、この広い空間は必要なのだろうか?
僕は憂鬱な気分を晴らすため、絵画をじっくり見た、絵画の中は貴婦人達が踊りを踊っている、その目は一体これまでこの部屋で、いくつものセックスを見てきて何を感じてるのだろうか?あきられているのか、それとも、この絵の中の狭い空間を飛び出し、溜まっている性欲を解放させてカップルに交じり、三Pでもしたいのか、僕には分からないけど、とにかく今は憂鬱な気分を少しでも晴らしたい。
美雪が着ている服を脱ぎ捨て僕に、はしゃぎながら言ってきた。
「ねーここ露天風呂ついてるよ、竜ちゃん入ろうよ?」
なぜ?セックスする場所なだけで露天風呂なんかついてるのだろうか?ますます分からない、僕も服を脱ぎ裸になり、露天風呂のある外に出た。美雪も僕もお互い裸になるのは、抵抗はない。
外の露天は夜空の星が見え美しかった。四階のベランダらしき所にある浴槽は木の匂いがして心地よく、時より吹いてくる風に眠気が襲ってきた。 相変わらず美雪は騒いでいる、ここに草が生えてるだの、遠くの夜景が見えるだの、僕は夜景より夜空の星たちに目が行ってしまう。
「竜ちゃんおいでよ、ここのお湯結構熱くて最高」
美雪は熱いお湯が好きだ、僕は苦手で、つま先をつけてみると、熱くて腰から下は入れないかもしれないと思った。僕は浴槽の中の段になってるところに腰をかけた。風が吹いてくる。夜空の星が光っている、下半身がじんわりと熱く心地がいい、僕はウトウトしだしたが、美雪がいるので、寝るわけにはいかず、お湯で顔を洗い、顔を上に向けた。あれは夏の大三角だろうか?
また思い出が蘇ってしまう。あれは小学校六年生の頃だろうか、遠い田舎の河原に家族でキャンプに行った日だった、満点の星空の下でお父さんの作ってくれた、飯盒で炊いたご飯とカレーを食べてる時だった、あの時もこんな風に夏風が吹いていた。お母さんが笑顔で語っていた。
「竜也見て、あのひときわ光る星が三つ見えるでしょ?あそこに一つ、あっちに一つ、こっちのも一つ、あれを結ぶと三角になるでしょ?あれが夏の大三角っていうんだよ、綺麗でしょ?星が光るのはね太陽に照らされてなのよ?どの星も負けじと光ってるでしょ?あれは太陽が頑張ってって、励まさしているからなのよ、だから竜也も誰かを照らす太陽見たいになって、誰かを励ます人になってね、」
お母さんの優しい言葉が今見ている夜空に響てくるようだった。
しばらくすると、下半身に違和感が、浴槽に肩までつかっている美雪が、いつの間にか、、座っている僕の足と足の間に入ってきて、二つの大きな乳房を使い僕のペニスを揺らしてきた。、一生懸命な美雪に僕は太陽みたいに照らしてあげることは、出来なさそうだった。逆もしかりだ僕の太陽になれない美雪は、気持ちいい?聞いてくる。太陽になれない僕は、気持ちいいよと言う、太陽になれない美雪は良かったと呟いた。二人の間には永遠に朝は来ず。ただ闇夜が漂っていた。
☆☆☆☆☆☆☆☆
ベットに移動した途端から、僕の意識は夢の中だったらしい気が付くと、隣で美雪がいびきをかいて寝ていた。時刻は夜中の一時らしい、テレビからあの広告が流れてた。
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ここでは様々な疑似自殺アトラクションが楽しめます。遺書の作成指導も行います。ぜひご来場おまちしております。ご予約はネットチケットにて、今なら入場者記念にマスコットキャラ、グリム君のストラ、、、、、、、、、、
ピッ、、、、、
僕はテレビを切った。きっとベットに移動したとたんに、眠ってしまった僕に美雪は、あきれ返ってしまったかもしれない。正常な男であれば、隣に女が寝てれば欲情をし襲ってしまうだろう、襲わなくたって、意識してドキドキするかもしれない、でも残念ながら、僕にはそんな元気は残されていなかった。
「起きたんだ、竜ちゃん、ごめんね、私、魅力的な女の子じゃなくて、おやすみ」
そういって美雪は僕に背をむけ寝てしまった。社会人として役に立たない僕は、男としても役に立たなかったみたいだ、不思議と虚しさは、こみあげてこない、僕はベランダに出た。夜空が光る、あの星のどこかにお母さんはいるのだろうか?お父さんはいるのだろうか?僕は探した。




