捨てた願い(一)
章のラスト1/4話です、よろしくお願いします
気が付いたら、見覚えの在る街並みが俺を囲んでいた……。
見上げると、満天とは言えない夜空。
満天の星空が毎日を望ませてくれた世界の物では無かった。
そして、浮かぶ満月にも、見覚えの在る感じだった。
そうだっ!、この夜空を見上げた時の雰囲気を、俺は覚えている。
彼女と、ロゼと初めて逢った日。
俺が、異世界へと連れ去られた…………、あの夜だ。
俺は、異世界から元の日本へと戻って来れた?。
だが何故、何故戻れたのだ?。
俺は、唯一帰れる手段を……、誰もやらなかった。
暫し動けずに居る俺だったが、薄暗い道の先に、何かが地面から突き出ているのを見つけた。自然と足が動き始め、その物体へと歩み寄った。それは、あの日俺に向って落ちてきた手摺の一部、ロゼが魔法で折って飛ばした物だった。
では、この先で今起きている事は…………。
俺はその場所に向って、走り始めた。
「えっとね、そのぉ~、助けて下さい」
ロゼの声が聞こえ、俺は路地の筋道へと隠れた。
そっと、声のする場所を覗く俺は、そこにもう一人の俺を見た。
『お断りします、さようなら』
「嫌っ! 、間違えたあぁ、いや間違いでもないけど……、あ、待ってえ」
これは、占いをすると言って近づいたロゼに、俺が話を聞くと言った時に、実は助けてくれと言った場面で、立去ろうとしている俺の脚に、彼女が縋り付いて動けなくなった場面だ。
あの日、この道を通り。
あの夜に、この場所で彼女と出会い。
そして…………。
この俺に起きた事を、戻って来たおれ自身が、目撃しているというのか。
二人の会話は、あの場面を迎えていた。
「えっと助けて欲しいとは、何を助けるの?」
「わあ、助けてくれるのね、良かった━━━━━ぁ」
この後で俺は……、彼女に見惚れてしまった。
ロゼの美しい髪が、ふわっとフードから毀れた。
月下の薄明かりの下で、金色の光を放っているかの様に、輝いている。
夜風で揺れる、金色の細い糸。
路地の裏から見ているが、我ながら情けないアホ面に、呆れる。
この時に、彼女の手を振り払っていたら……。
今の俺は、かつて後悔した場面を、違った想いで見ている。
間抜けた自分を眺め、あっちの世界で起きた事を、想い出している。
次元の扉の先、そこで起きた事を今度は鮮明に浮かべる事が出来た。
あそこで、俺達は━━━━。
有難うございました。




