突破口
続きです、少し短いので次は早く投稿する予定です。
宜しくお願いします。
「喰らいなさいっ!」
旧開拓村で俺達は、死んだ筈の二人と、敵の大軍団に遭遇。
ロゼの広範囲の火焔が戦闘の口火を切った。
彼女の眼前、直線状の敵は地上から、一瞬で消え去った。
「おのれぇ小娘がぁ!、我は第二騎士団長ボルグぞ!」
敵の将は、猛烈な突撃をロゼに向けたてきた。通常の状態なら、ロゼは二発目の魔法は放つ準備中に、両断されたのだろうが、彼女の戦闘開始の攻撃で、俺達は既に臨戦態勢を整えていた。
マリネの剣を手にしている限り、俺の身体能力は、常人とは懸け離れた物に成っている。地を蹴りロゼと敵将の間に飛び込む、ギィンと耳に突き刺さる金属音を響かせた剣閃。俺と敵将ボルグの剣は、ロゼの前で交差した。
「ぬぉっ! 、貴様が異世界人かっ!」
「ああ! 正解だよ、あんたの相手は俺がしてやるよっ!」
「そのデカイ騎士はユキヒトに任すわ!」
「了解だ、任されてやる!」
ロゼは俺達から距離を取った後、紅蓮の火柱を放ち始める。地面から吹き上がる火焔は、死霊兵達を次々と灰へと変えていく。敵を殲滅していく攻撃は、彼女の火焔だけでは無い、アネスの周囲には数百の白銀の矢が具現化されている。それは、彼女の右手の動きで高速の閃光と成り、敵軍を貫いていった。
俺は、敵将ボルグと剣を交わしながら、死霊兵の後方の木陰に隠れて居る者の存在に気が付いた。
俺達の前方に敵将ボルグは居た。
が、アネスを後方から追って来た者が居た?。
〝もう一人の、敵将か……?〟
アネス達は、後方から別働隊に不意打ちされて、広場へと飛び出し所を、挟撃されたと言う事に成る。それを指揮していたもう一人の敵将が居ても、なんら不思議じゃない。
「森の中に敵将がもう一人居るぞっ!」
俺は、ボルグから一旦離れ敵将の存在を知らせた。
すぐに反応したのは、アネス。
「私がやるっ!」
森方へと視線を移し、敵将を確認すると駆け出した。
進行方向にも、当然敵が居るのだが。
邪魔な敵の前でジャンプすると、死霊兵の身体を足場にした彼女は、その集団を飛び越えて抜けて行く。
「何だ、こいつらの強さは……、このんなの相手に出来ぬ!」
呟いた後に、自分に目掛けて駈けて来る姿を視認すると、反転して逃げ出す。
「ふん、森の中へ逃げ込めば、弓矢とて、当らんわ!」
アネスは足を止め、弓を構えた。
白銀光の矢が、森の中へと逃げる敵将の姿を狙う。彼は矢を受けない様に、木々の陰を背にして逃げている。普通なら、当然彼を射る事は不可能であり、この時点で弓を収めるのだが。アネスは躊躇う事無く、白銀の矢を放った。
「馬鹿め、当る筈が……
敵将、カシューの言葉は途切れた。
直線で飛ぶはずの矢は、大きく孤を描くと彼の身体を貫いていた。
「そんなぁ……、在り得……ない!」
歴史の一文が……、この時に書き換わった。
アネス達を追い込み、死に至らしめた筈の者が消えた。
「ふんっ、騎士が背など見せて逃げるからだ!」
「見方がやられたのに……、随分と冷たいなっ」
「貴様達には、関係の無い事だっ!」
広場に集結していた敵兵は、逃げた敵将を倒した後に戻って来たアネスと、最初から全開で魔法を討ち続けているロゼ、そしてそれをサポートしていた二人によって、間も無く殲滅するに至っていた。
「私達も加勢するわっ!」
激しく剣閃を飛ばしている俺達の傍へ、敵兵を始末し終わった彼女達も駆けつけて来た。だが、俺は彼女達の加勢を断り、神殿の奥へと向かわせた。この森の秘密をあばき、それを排除しなければ成らない、それがこの森へと来た最大の理由だ。
「いいわ、皆……神殿奥へ行くわよ!」
「ユキヒト、この馬鹿者がっー!」
「はは……、なんか随分と久々に、アネスの馬鹿者が聞けた気がする」
彼女達の後姿を見送って居ると、敵将の剣戟が重さを増してきた。俺達の斬り合いは、互角に見えていたが、若干俺の方が押されていた……、雑魚が一掃されたと成れば、彼女達は当然加勢に入る。そうなれば、流石に自分にも勝ち目が無い事は、この敵将なら理解していた筈だ。
瞬間に剣の重みが増したのは、俺からコケにされたと取ったのだろうが。
「貴様一人で、私に勝てるつもりかぁあ……なめるなよっ!」
「勝てなきゃ、彼女達から殺されるからなっ」
ロゼ達をこの場から離した理由は、神殿の奥を早く調べる他にも有る。
俺は、力の解放を彼女達と繰り返している内に、有る事に気が付いた。
『ユキヒト様……、何かするつもりですね……』
『主殿、気が付かれていたか……』
〝ああ……、最初は何と無くだったけど、今さっき確信したよ〟
『何をですか?、ユキヒトさん』
〝魅せてやるよ……〟
「何をするつもりか知らんが、私に勝てる訳がないっ!」
敵将ボルグは、これまでの戦闘でその疲れを全く見せる事無く、最速の打ち込みを繰り出してきた。以前の俺だったら、この刹那の速さに追従する事は叶わなかったのだが、それは今も同じかもしれない。
しかし……、その瞬速の突撃から繰り出される剣閃も、今の俺には……。
突撃が開始された直後、再び剣の交差を示す、激しい金属音が響く。
「馬鹿な!、貴様に、追従できるはずは……」
突撃を受けた俺の身体は宙に舞い、自分の剣で両断した筈が、受け切られたのを見た彼の口からは、驚きを隠せない声が洩れた。
「確かにね、すげー速かったよ」
「絶対に貴様には、反応出来る筈無かったのだっ!」
敵将ボルグが、信じられないのは当然だ。
確かに俺は、奴のあの速度に反応が遅れた……、だがそれを補う物が在る。
俺は、一瞬時間を止めて遅れをちゃにした。
イリスの時間を止める力は、俺にも宿っている。
「そして、もう一つだ……」
「うぬう……」
今度は、マリネの剣が紅蓮の焔を纏い、その焔は剣を伝わとボルグの身体へと伝わった。
「ぐわぁあああっ!」
全身を灼熱の焔に焼かれ、狂った様に剣を振り回す。その動きは、焔を勢いが増すに連れて小さくなっていき、地面を焦すのみになった。
『ユキヒト様、これって……』
〝うん、ロゼの火炎だよ……〟
何故こんな力が、突然現れたのか?、それを詳しく考えている余裕は無い。
ロゼ達は先に進んでいる。
敵将ボルグを倒した俺は、神殿奥へ進んだロゼ達を追う。
有難うございました。




