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女難危行・拉致した皇女と六人の嫁  作者: 雛人形
七夜城の陰謀
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向かう場所

続きがようやく書けました、よろしくお願いします。

 四日目の早朝、旧開拓村へと侵入する為に中継基地へと向かった。


 当初の計画は、隊長達が中継基地へ侵入して乱戦を起こしている隙に、俺達がその敷地を抜けると言う物だったが、何故か中継基地から敵兵の姿が消えていた。既に、こちらを発見して誘き寄せる罠かと警戒し、敷地へと入るのを躊躇った。


 だが、本当に周囲に敵兵の気配は無い。


「夜中に移動してしたのかもしれない……」

「この場所には少なくても、二十名は居た筈なんですが……」


 俺達が隠れていた場所から、ここまではそんなに距離は無かった。しかも見方が夜中に交代で、見張り番をしていたのだ、そんな人数が移動すればすぐに連絡が来る。だけど、一度も敷地内を監視していた者からは、異変を知らせる連絡なんて無かった。


 「敵の動きどころか、物音すらしませんでした」


 見張り番からの報告は、そういう事だった。

 つまり、一夜の内に二十名程度の敵兵は、何処かへと姿を消したという事だ。


「全員でこの先へ抜けるより、この場に残る者が居た方が良くないですか?

「うん、俺達が抜けた後に、挟み撃ちは御免だしな」

「では隊長達に、この場所に残って貰いましょ」

「了解しました。我々は、この場所で待機します」


 もし途中で敵兵が現れたら、この場で敵を惹き付けてもらう。俺達の存在を、可能な限り察知されない様に、中継基地へと敵兵を留める役回りだ。もし、敵が大挙して現れた場合、隊長達は最悪全滅してしまう。


 俺達に出来る事は、そうならない事を祈るしかない。


 二手に分かれた後、開拓村の方へと進んだが何処にも敵の姿が見えなかった。首都を制圧した事で、本当に警戒を解いたのか?。だが、俺達があの場から逃げたのは、敵も気が付いている筈なのだ。無事に脱出した俺達が、向かう先をこの森へと定めて来るのは、当然分かりそうな物だ。にもかかわらず、敵が警戒している雰囲気が全く無いのは、一体何故なのか?。


「敵が、全く居ないって……」

「まさか、本当に全員引き上げたのでしょうか?」

「それにしたって……、見張りの一人も居ないって、有り得ないでしょ」


 敵が姿を消して、俺達がこの場へと足を踏み入れやすくしている。と、いう罠も考えられるが、最悪な事態としては、この場所が、俺達の捜している目的地では無かったという結果の時だ。数万居ると予想している敵は、全く別の所に集結している?。


 俺達は目的地を間違えた。見当違いの場所を探りに来たとしたら、敵が本当に集結しているその場所を捜す為、更なる移動をする事に成る。森林を当ても無く彷徨う事になり、敵に見付かる確立が上ってしまう。


「ここから見ても、開拓村に敵が居る雰囲気が無いわ……」


 俺達は、前回来たのと同じルートを辿って来た。忘れられた神殿の入り口は、俺達の目前に見えている。俺達の予想が当っていたら、この場所に居る筈であった数万の敵に不意打ちをかけて、一気に殲滅する作戦だった。


「俺達は……、違う場所に来てしまったのかなぁ?」

「そんな筈無いわ……、だってこの森で彼女達は……」


 忘れていた……、この森の秘密を捜索しに行った二人は、ここで命を失った。アネスとラミカの二人が命を失う様な事、或は者が居たのは疑いようが無い事なのだ。この森に、敵の秘密が何も無いはずが無い。そして、この森林の内で疑わしい場所は、ここ以外に考えられる場所は無い。


「この村に……


 マリネが何かを言おうとした時に、異変に気が付いた。

 それは、神殿の方から感じられた……。


 俺達は、眼をこらして神殿を見詰ると、その奥から敵の大軍勢が姿を現した。

 その光景は、巣穴から兵隊蟻が地上へと現れる様に良く似ている。


「やはり、当りよ! 、神殿中に潜んでいたのね」

「待って……、あれ良く見てください!」


 イリスに言われて、神殿から出てくる者を凝視してみる。

 

「ちょっと……、アレって人?」

「死人ですねアレは……」


 ハルの言うとおり、神殿から出てくる大群に生きた人の姿は無い。

 そして、その数は既に敷地内に溢れるほどに成っている。 


 確かに、この村に敵の軍勢は居た。しかし今目の前に現れた軍勢を見て居ると、思うことが有る。神殿奥の空洞に、これだけの数が隠れる広さが在ったとは思えない。


「私達が戦っていた相手は死人てことなの?」

「いや……、少なくても宮殿内に侵入してきた者は違うだろう」


 最初に、宮殿に襲ってきた者達は、あからさまな死人には思えなかった、草原で戦った時の兵にも死人は居なかった筈だが、一旦集めた死人の軍勢に更に魔法を掛け、生きた軍隊に見せていたという事だ。


「死人を呼び出した後、人に化けさせて魔法で操っているのか?」

「どうやら、死霊魔術士が居る様です。しかしこの数は異常ですが……」

「これまでのも死霊術だとして、術者は数は?、一体何人が居る事になるのよ?。こんな大規模な死霊術を、一人や二人では不可能よ!」


 ロゼが言うには、普通は術者一人でせいぜい三体で、最大に操れた者でも十体が限度らしい。今目の前にいる死霊兵達の数を操ろうとすれば、近くに術者の大集団が居る事になる。だが、それらしい者は何処にも居ない。


「だから、これは普通の死霊術じゃない。数から見て、何処からか召喚した死霊を操っているとしか思えない」

「神殿奥で、死霊を召喚をしている者が居ると?」

「でも……、あの神殿の奥で召喚する意味が分かりませんねぇ……」 

 

 イリスはそう言って、首を傾げている。

 だが、何時までもこの状況を眺めている訳にはいかない。空洞内で召喚している者が居るなら、倒す。別の秘密が在るのなら、それを見つけ一刻も早く止めないと、無限に増えていくことに成る。


 ロゼの顔を見ると、彼女も俺を見て頷いた。

 今ならまだ、敵はこちらに気が付いていない。一旦敷地内の敵を殲滅し、空洞内へと突入を試みようとした……。


「ここなのね……」

 ハルが急に立ち上がり、呟いた……。


「敵に見付かるから、早く伏せてハル!」

 俺は慌てて、ハルの腕を掴み引き寄せた。


「ここって……、何がここなんだ?、ハル」


「この場所で、二人は殺された……」

「なに?、なんでわかるんだよ?」


 ハルは俺の問いに答えずに再び立ち上がった。

 そして……。


「駄目え━━! 、二人とも早く逃げてっ!」


 ハルは何を見ているのか?、彼女は再び立ち上がると、俺達には見えない何者かへとハルは叫んだ!。その絶叫は、集結している死霊兵たちに、俺達の存在を知らせるのに十分な物だった。一番近くの死霊が俺達を発見し向きを変えると、次々と体の向きを変え、俺達の居る方向へと一斉に移動を始めた。


 不意を衝くのは失敗した。

 見付かってしまった以上、もう戦うしかない。


「駄目だ見付かった……、ロゼ行くぞ!」

「皆、いくわよっ!」


 全員が敵に向かって構えた時、ハルの声が当たりに響いた……。


 嫌ぁ━━━━!!



 ハルが轟かせた絶叫は、俺達の周囲に異変を生じさせた。

 周囲の光景が俺達を中心に回り始める。


「な、何よ……、何が起きているの?」

「ハル! 、何をしたんだっ!」

「駄目……。立って居られません!」

「これは……、地面の振動じゃない……、時空振動?」


 ズグロが聞き慣れない言葉を使ったが、それを気にする余裕は無かった。

 俺は、ハルのもとに近寄ろうとしたが、目眩に襲われ体の平衡感覚が失われ、足がふら付いて近寄ることが出来ない。それは、死霊兵達も弾き飛ばしていた。それが目で確認出来たのも一瞬の事で、周囲の回転は更に加速して強烈な目眩を俺達に与えた。やがて立っていられない程になると、俺達は意識を失う事と成った……。


 再び意識を取り戻した時……。

 俺は、否……俺達は、自分の目を疑う事を、目の当りにする事に成った。



有難うございました。

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