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女難危行・拉致した皇女と六人の嫁  作者: 雛人形
悲しき破壊の女神 一
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女神の遺跡2

続きです、よろしくお願いします。

 

 私達は、伯母様の屋敷でニクスの居場所を突き止めることが出来た。


 異世界人のユキヒト達とハグれ、力の解放を失っている私達は、迂闊にその場所に近寄る決め手に欠けていた。そんな私達にラケニスは、第二の魔女という強い助っ人を派遣してくれていた。私達は、彼女の叱咤を受けて、ニクスの居場所へと向かう決意を固めた。


 地竜で一気にその場所へと、乗り込みたい所だったけど。

 途中からは、地竜を降りて細い獣道を行く事になってしまった。


 「ロゼ様……、道を間違えないで下さいよ……」


 私が、方向音痴だと知っているマリネは、道に迷うのを心配している。

 こんな深い森で、道に迷ってしまうと。

 いくら魔物が居ないとは言え、普通なら帰れなくなってしまう。


 「う……、ちゃんと合ってるわよ……多分」

 「ちょっとぉ……、こんな場所で女六人で遭難とか、勘弁してよ」


 皆の冷たい視線が……、流石に地図で確認する。

 この地図も書庫に在った物で、普通に出回っている物とは違う。大昔に書かれた物で、地図と言うより地形を描写した本に近い。木々の変化は有るものの、描かれた絵と見比べて進んでいる。


 うっそうと繁る、木々や草を掻き分け進んだ先に、遂に池を発見した。

 確かに、四つの池が視界に入ってきた。


 あの中央に、ニクスの身体がある筈なのだが……。


 中央に見えたのは、墓碑というより……、古墳?。

 私達は、古墳を目の前にして、背を伸ばし身体をほぐした。

 

 「ふぅ、やっと着いたわね!」

 「ここに……、ニクスが居るのね」

 「それに……、あの連中もね」


 ラクテルが言った直後だった……。

 

 『皇女よ……、貴様らは遠足にでも来てるつもりかね?』


 突然、目の前に五人の黒衣が姿を見せた。

 私達が、複数の黒衣を目にするのは、これが初めてになる。

 

 そして、今日を最後にしなければ━━。


 「あなた達の好き勝手は……


  ヒュッン!


 「ぐわっ!」


 私が連中に向かって、宣戦布告の台詞を言ってる最中に、横並びに立っていた黒衣が一人、黒い槍状の物で貫かれ倒れ消滅した。やったのはラクテル、彼女は私の言葉を最期迄聞く事無く、攻撃を開始してしまった。


 彼女の戦いを初めて見たけど、黒衣を倒したあの武器は鞭なの?、普通の鞭ならあんな突き抜ける様な事にはならないから、魔法鞭てとこかしら?。

 

 「私は、あんた達と話し合いに来た訳じゃないからねぇ」

 「ちょっ、一撃?、凄っ!」

 「私達、あんなに一人に苦戦してたのに……」

 

 マリネがびっくりするのも当然、私も開いた口が塞がらない。

 屋敷の庭で、三人を相手に無傷もこれで納得した。 


 仲間を喪っても動じる事無く、一人が言う。


 『わはははは、流石は第二の魔女、感服したぞ』

 「今直ぐ、消えるなら許してあげてもいいわよ?」

 『ふっ、冗談ではない……、だが我らでは相手に不足だろ?、良い相手を紹介して差上げよう』


 「へー、是非とも逢わせて欲しいわね、そんなのが居るならね」

 『よかろう……、紹介しよう!』

 

 その黒衣は、天に向かい手を伸ばした、すると魔法陣が上空に現れた。その中から、巨大な羽を広げた異形の者が、地上へと下りてきた。直後に、一人の黒衣をその手に掴み……、喰らった。


 その片手で黒衣を鷲掴みで、食べた巨大さは、到底ひとが相手をできる域を超えている。永久凍土で現れた、氷の魔人に匹敵する大きさ……、魔力に限ったらそれ以上か?。


 私達に攻撃を仕掛けて来るかと、身構えていたら、黒衣を食べた?。

 敵とはいえ、目の前で人が魔物に食べられるのを見るのは、堪えられない。

 皆が、顔を背ける。


 「な……、な、なによアレ、黒衣を食べた?」

 「なんて、おぞましい事を……」

 「最高クラスの悪魔を、仲間を生贄に呼び出した様です……」


 ズグロがそう言った。

 

 「命を代償に……、禁忌の呪法を?、なんて奴なの!」

 「あの巨体では、私が相手をしましょう!」


 あの悪魔には、ズグロが白龍に戻り戦うしかない、誰もがそう感じた。

 しかし、黒衣はさらに言葉を私達に向けてきた。


 『おっと! 、龍王には別の相手を御用意させてもらおう!』

 「なんですって!」


 その黒衣は今度は地に向け、手をかざす……。

 大地に巨大な魔法陣が描かれ、そして今度も巨大な魔物が現れる。


 「魔獣……、こんなものまで、召喚していたのか」

 「こんなの本当に居たのね……」


 巨大な三つの獣の顔は、大きく開いて威嚇している、背には巨大な羽を持ち、尾は舌をチラつかせてた蛇になっていた。


 力の解放を失っている私達に、優位が有るとしたら、ラクテルとズグロの二人しか居なかった。その二人に対して、専属の強力な相手を用意されていた。


 私達の少ない優位性が、これで奪われる形と成った。


 『さあ、宴の用意は完璧だぞ、存分に 愉しんで頂こうか!』


 四人の黒衣が空へと舞い上がると、悪魔と魔獣の攻撃が始まった。

 

 「みんなっ!逃げなさい!」

 

 ラクテルの言葉に従い、皆は散開した。ラクテルは無謀とも思える突撃を悪魔にかけて、注意を惹きつけていた。ズグロは元の姿へと戻り、魔獣の体当たりを受け止め凌いだ。


 悪魔への突撃をしながら、ラクテルは私達に叫んでいた。


 「こいつを倒すまで、生き延びなさいねっ!」

 「わかった……耐えてみせるわ!」

 『ふふふ、力を失っている貴様らに、いつまで耐えれるかな?』

 「ふんっ、耐えて見せようじゃないっ!」


 ラクテルは、悪魔を相手にその軽快な動きで、魔法鞭を駆使して戦い始め、ズグロは魔獣を相手に空中戦に持ち込んでいる。


 そして私達は、黒衣四人を同時に合いに戦うことを、強いられている。

 黒衣四人が、両腕の周囲に黒球のリングを浮かばせた。


 「その球体は、どこまでも追尾してくるぞっ!」

 ラクテルから注意の激が飛んで来る。


 『注意した処で……、こいつらには回避などできん!』


 黒球が弾け、私達へと一斉に黒い散弾となり、襲い掛かってくる。避けて外れた弾丸は、地をエグリ再び私達に矛先を向ける、まるで生き物の様に私達を狙ってくる。


 「あんなの一発でも喰らったら……」

 「きゃあ━━!」

 「ラミカっ!」


 私達の中で、一番不利なのはラミカだった。

 夜なら、彼女の本来の力が解き放たれるが、今は昼間で普通の人間と変わらない。魔法を使え無い彼女は、短剣で弾くか避けるしかないが、頼みの脚を黒球がエグリ、重症を負ってしまった。


 「脚を見せてっ!」

 すぐさま、イリスが彼女の脚を治癒にかかる。

 そのイリスにも、黒球は容赦無く狙いを向け迫る……。

 

 ラミカの治療をしている彼女には、迫り来る黒球に対処はできない、止めてしまえば出血多量で、ラミカは死亡する。だが、一つでも黒球が命中してしまえば、イリスの命は失われてしまう。


 イリスが倒れれば、おのずとラミカも命を喪う。


 私にも、黒球は執拗に迫り、火球で吹き飛ばすので手が塞がっている。

 イリスに向かう攻撃を、弾く時間を取る事ができない……。


 ラクテルは、優位を保って戦っているが、高位悪魔との死闘を終える事は無理の様だ。ズグロにしても、魔獣との空中戦で、地上の私達を援護する余裕が無い。


 激戦必死、最初にそう覚悟をしていたけど、早々と二人の命が潰えかけた!。


 イリスに迫る黒球、その前へと躍り出たマリネは、指で剣をなぞり魔法剣を発動させ構える。マリネは魔法剣でそれを散らし、反転して自分を狙ってきた黒球を、見事に散らしていく。


 「マリネ……やるじゃない!」

 「はい、ここでやられる訳にいきませんから!」


 その通りだ!。

 ここで、私達はやられる訳に行かない!。

 又、彼に逢うためにも……。


 かれは……、ユキヒトは今どこに?、声が聞こえるなら助けてっ!。

 私には、心でそう叫ぶしか出来なかった。

 


 

有難う御座いました。

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