↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
女難危行・拉致した皇女と六人の嫁  作者: 雛人形
悲しき破壊の女神 一
67/90

女神の遺跡一

66話です、よろしくお願いします

 夜が明けて、日が刺し始めた頃。

 ようやく私は、ニクスの居場所の手掛かりを見つけた。

 その後私は、死んだ様に眠りに落とされ、再び動き出したのは昼過ぎの事。

 

 それは、捜していた全員が同じだった。


 ひとり、又ひとりと、ふら付きながら私の傍へと寄って来る。

 最後にラクテルが横に立ち、私の話を聞きに来た。


 「それで……ロゼ皇女、ニクスの居場所って何処なの?」


 ラクテルの質問に答える為、私は壁に掛けてあった森の地図を外した。机の上の邪魔な本を腕で払い落とし地図を置き、指でその場所を指し示した。地図の真ん中より上、他より色濃く表示された地図の一角には、五つの楕円の形があるが、池を表している。その中心地点を私の指は指している。


 「この位置に、ニクスの墓碑が在るみたい、その下に本体が眠っている筈よ」

 「そこまで入った人は、居るんでしょうか?」

  

 ラミカの質問には、首を振って誰も居ないと答えた。

 だか、念の為に執事にも聞いてみる事にした。


 「いえ……、森の奥へ入ったと言う話を聞いた事は御座いません」

 「ありがとう、もういいわ」

 

 彼は代々この家に仕えている人物で、その彼が知らないと言う事は、入った者は居ないのだろう。 


 「じゃ……、本当に在るかは行って見ないと、分からない訳ね」

 「そうなりますねぇ……」

 「この色の薄い部分しか、人は入らないわ、狩りもこの範囲でしかやらない」

 「色が濃くなる程、危険て事ね?」


 只……、この森には魔物は生息していない、直接は危険は何も無い。

 昔からこの地の者は、あの森の奥へと入るべからずを、守っているだけ。


 「奥へ行くと怖い魔女が起きてきて、殺されると……脅されてたわ」

 「この領内に居る人達は、ずっとそれを守っている訳?」


 女神の事なんて誰も知ってやしない、昔から入っては為らぬと伝えられてきた。言い伝えに反して、奥へ入って確めるなんて冒険を冒さないでしょう。普通の領民達では、そんな勇気を持ち合せていない。


 「まあ行ってみましょうよ、黒衣が居ても私が相手するから、安心しなさい」

 「うはぁ……、すごい自信家だ!」


 マリネに自信家と冷やかされても、全く動じる様子が無い。

 この人、根っからのワンマン体質なんだ……。


 しかし……、そうは言われてもやはり不安は拭えない。

 私としては、もう誰一人も喪いたくは無い…………。


 そんな想いに駆られていると、私の後ろから影が近付き、首を極められた。


 「グエッ……」

 「ふふ、皇女様はいやに尻込みしてるわねぇ、そんな玉じゃ無いでしょ」


 暫らく、バタつく私を愉しんだ後、腕を緩めて放してくれた。


 「もう! 、死ぬかと思ったじゃないっ!」

 「貴女が余りに、似合わないからよっ」

 「はぁ?」

 「好きな男が出来て、気弱に成ったのかしら?」


 ド ━━ ン っと、脳天まで火柱が上がった気がした!。


 「なななななな…、なにを……」

 「あら?、ど真中だった様ね!」

 「ロゼ様……、可愛い!」


 自分でも今……、真っ赤な顔をしているのが分かる。


 「くぅう……」

 

 猛烈に恥かしくて、顔を上げられてない私が居る……。

 穴があったら逃げ込みたい!。


 「誰かが、傷つく事を恐れてるみたいだけど、皆は覚悟してるんじゃないの?、黒衣の連中を相手にしてる時点でねっ!」


 私は、そっと顔を上げた。

 全員、ラクテルの言葉に頷いていた。


 「みんな……」

 「覚悟なんて……、とうに出来てます!」

 「行きましょ、ロゼ様!」

 「それに……、私達が動けば牽制出来ます」

 

 イリスの言葉に、ハッとなる。

 

 私達が動かなければ、黒衣の連中は、ユキヒト達を安心して追う事に専念してしまう。だけど私達が、ニクスの本体を捜しに向かえば、此方にも対処しなければ成らなくなり、連中の注意を逸らせる。都合良く考えたら、奴等の戦力も分断する事にもなる。


 なんか、答えはでちゃった感じがする。


 「もぅ……、本当に良いのね?、無事な保障無いわよ?」

 「ロゼ様、ニクスを捜しに行きましょう!」


 私達は、気楽にゲームをやっている訳じゃない、誰かが倒れる事ばかり恐れていたら、縮こまって何も守れない、ラクテルの進言通り打って出よう。


 「連中も馬鹿じゃないわ、私の存在も知れた事もあるしで、何等かの手は討ってるでしょう。それを看破して連中を倒す事になるから、激戦となるのは覚悟しなさい」


 ずっと軽い口振りのラクテルが、この時だけ、その態度が変わっていた。今回はアネスとハル、そしてユキヒトが居ない、彼の不在は力の解放がない事を意味している。唯一私達に優位なのは、強力な助っ人の、ラクテルが付いてくれた事くらい。誰かが命を落と可能性は十分に高い、彼女の態度は、私達にそれを改めて覚悟させる。


 「ふぅ……、仕方ないわね! 、ちょっくら倒しにいきますか」

 「そうそう、当って砕けろよっ!」

 「ええ! 、砕けちゃ……」

 「馬鹿ねえー!」

 

   バシッ━! 

 

 「キャア━ぁ、痛ぁ……」


 ラクテルが、マリネの背中を引っ叩いた。

 軽快な音が部屋に響く……。


 「そう言う、気概を持ちなさいって事よおっ!」

 「は、はいっ! 、分かりましたぁ」


 余程痛かったのか……、マリネは涙顔で返事をしていた。

 重苦しく成り掛けた空気は、軽快な音と、皆の笑みと共に消えていく。

 良い感じに気持ちが解れた所で、悪漢退治と参りましょう!。


 女性六名は、颯爽と地竜にまたがり森へと向かった。

 私達は、ユキヒトを欠き、力の解放無しで黒衣の者との戦いに赴く。


ユキヒト達は……、大丈夫だろうか?。





 ━━ルベール領、遺跡。


 幾ら狭い国と言え、途中の草原で地竜を休ませる必要が有った。

 昼過ぎに、小さな池を見つけそこで休憩し、後はひたすら草原を疾駆する。

 目的地に着いたのは、夕方に近かった。


 「これは、遺跡を調べたら今日は此処で野宿だな」


 幸いな事に、帰りの方向から若干ずれた場所だった事。

 少しだけ、方向の修正をすれば、国境へと向かえる。

 

 この時は、そう思っていた……。


 「この遺跡、ラミカの故郷に在ったのと似てません?」

 「うん……」


 ハルに言われるまでもなく、俺もアネスもそう感じていた。三人で、石群の周囲を隈なく歩いて調べてみたが、黒衣が何かをやっていた痕跡を見付けるには至らなかった。


 「何も無いな……、只の指定場所だったのかな?」

 「意味無くこの場所を指定したとは、考え難いのだがな……」


 だが実際、何も無い。

 この地に固執する必要が無いと成ると、急にロゼ達が心配に成って来た。

 アデル領で、何か起きている事だけは、確信持って言える。


 俺と離れている為に、力の解放は失われている。その状態で黒衣の集団と渡り合える物なのか?、前回もかなりの苦戦を強いられたのに、複数相手だと……。


 「ロゼ達は……、無事かなぁ?」

 「きっと無事に決ってますよ!」


 何も根拠の無い言葉でも、ハルに言われると、何故か信用してしまう。

 外周を捜索し終え、中央部の一番大きな石へと近寄ってみた。

 一見、なんの変哲も無い、只の石にしか見えない。


 「此れも……、何の痕跡も無いなぁ」

 「ほんとに、何もありま……


 ハルが中央の石に、手を触れた瞬間……、彼女の言葉は止った。

 

 「ハル……?、どうかしたか?」

 彼女は何も答えず、石に手を触れた状態で微動だにしなくなった。


 「おい! 、ハルっ!何が起きた?」


 今迄、風一つ無かった草原に……、いや違う石群の内側だ!。

 強風が巻き起こり、周囲の風景が回りだした。実際に地面が風景ごと周るなんて、そんな事は在りはしない。しかし俺達にはそう見えた居るのだ!。


 更に強い風と、目眩の様な感覚が襲って来た時、俺達は意識を失った。

 

 

 それから暫らくして、三頭の地竜が遺跡へと訪れていた。

 送り出した物の、胸騒ぎでも起きたのか?マキシが様子を見に来た様だ。


 「彼らの姿が見えない……」

 「マキシ様、向こうに地竜が三頭放置されてしました」

 「彼らに……、引き渡した奴か?」

 「はい、荷物も鞍に全部残した状態です!」


 「此処は良い、お前達は遠くに居ないか調べてくれ」


 命令で二人の騎士は、それぞれが反対の方角へと捜索に向かった。

 一人、遺跡の中に残ったマキシが呟いた……。


 「まさか……、この場所から消えたと言うのか?、馬鹿な!」


 遺跡の周囲には、風は無く。

 唯一人、マキシがポツンとその場に居るだけであった。



 





 



有難う御座いました

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。