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女難危行・拉致した皇女と六人の嫁  作者: 雛人形
悲しき破壊の女神 一
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願い

続きですよろしくおねがいします


 遺跡で、意識を無くした俺は、暗闇の中で目が覚めた。

 水中へ吸い込まれた様な、足下に何も感じないこの感覚。

 これは……、前にも経験している。


 〝ハル……、アネスは?〟


 暗闇が支配している視界の中に、彼女達は居なかった。

 

 「ハルっ! 、アネスっ!」

 大声で叫んでみたが、反応は無かった━━。

 又、バラバラに飛ばされてしまったのか?。


 不安だけが広がる中、目の前に光点が現れ、眩しい閃光となり目が眩んだ。

 顔を上げ、目を開くと俺は池の傍に立っていた。


 現実の光景ではない事は、音が何もしない事で判断できた。

 しかし、ここは一体?。


   『ここは……、私とあの人が暮らした場所』

 

 頭の中で声が響いてきた……、この声に聞き覚えが有る。

 ニクスの思念体からの物だ。


 「あんた……、ニクスなのか?」


    そう……、私は長い間、人の災いと成って来た。

    異世界人よ、あなたに頼みが有る……。


 ニクスは返事の代わりに、語り始めた。

 何かを俺に頼みたいらしいが。


 「女神のあんたが、俺に何を頼むというんだ?」


    この私を、完全に滅し去って欲しい……。

    今回、防げてもいずれ……。

    私は、もうこの世界を傷つけたくない。


 破壊の女神ニクスは、俺に完全な消滅を頼んできた。ラミカの故郷の地でも、この世界を傷つけたくないと言っていた。破壊を司る者が、それを否定している、彼女はこの世界で何に触れたのだろう?。


 池の傍に、二人の人物が姿を見せた。

 どう見ても、その姿は仲の良い恋人同士か、夫婦にしか見えない。


    私と……、あなたと同じ異世界人。

   

 神と人が、同じ生活形態をいとなんでいた?。

 そんな事が可能なのか?。


    破壊神の私を、彼の強さは圧倒的に凌駕していた。

    私は、その強さに惹かれ、彼の傍に居る事を望み、

    自らの力を滅し、人に転生して彼と暮らし始めた。


 その本体が、アデル領の森に眠っていると言う事か。

 

    暫らく一緒に暮らしていて、彼の力が失われている

    事に気が付いたけど、もう私は彼を愛していた。

    離れる気持ちには、成れなかった……。


 ニクスと共に暮らしていた人は、俺と同じ様に、七名の女性から愛された異世界人。彼が力を失っていたと言う事は、七名の誰か、或は全員の愛を失ったか?。 


    そして、あの日が来た。

    七名の女性から、彼は……、殺された。


 一瞬、閃光が放たれ俺の目には、ニクスと彼が殺される場面が映っていた。七名の女性の声は聞こえないが、口々に何かを叫び二人を剣や魔法で、なぶり殺しにしていた。


 彼女達の、唇の動きはこう語っていた。

 この裏切り者! 、と。


 力を失った彼には、七名の凶刃や魔法から、彼と妻となったニクスを守る手段は無かった。只、彼女の身体を庇い全員の恨みを一身に受け、やがてその命の火は消えていった。 


 一度は、愛されていた者から恨みの念で、殺された。

 彼女達の恨みを受けた彼の辛さと、その要因と成ったニクスの想い。


 どっちが辛かったのだろうか?。


 彼が死に、彼女達は去っていった。

 この時、ニクスはまだ生きていた、そこへ一人の老人が姿を見せた。

 老人は膝を折り、ニクスに言葉を掛けているが、それを聞けなかった。


   死に瀕した私には、神としての力が戻りかけている、

   このままでは、私は彼を殺された恨みで、再びこの

   世界を壊してしまう。

   

   私に残った全てを使い、我の中に息づく命を成長させた。

   その子を老人に託し、その血をわが本体には、絶対に

   近づけぬ様に頼んで、私は命を滅した……。


 この老人と言うのは、賢者の事なのだろう、幼い子を育てやがて大人になり、次の命を紡いでいく。その生まれた全ての子供達を、この世界の賢者は見定めてきた。


   頼む、異世界人よ。

   貴方の持つ刃で、今一度私を本体ごと、全てを滅して欲しい……。

   子孫の血を持って、私を起こしその刃で、滅してくれぬか。


 「それが、あんたの望みなのか……」


   そう……、二度とこの世界へ戻って来ぬ様に。


 「わかった、約束する……」


   感謝する……、異世界人よ。

   じきに、この空間から仲間と合流できる場所へと繋がるだろう。


 「仲間と合流?、全員とか?教えて……


 俺は、全ての言葉を話し終える前に、再び意識が遠退いて行った。

 暗闇の空間へと戻された俺は、ニクスの言った仲間と合流する場所へ、繋がるのを待った。


 その時は、不意に訪れた。

 俺の身体は、見えない渦に引かれる様な感覚に、引き込まれていった。





 「どうした?、もう抵抗する事は諦めたか?」


 高位悪魔に対して、絶対有利で戦っているラクテルも、その強大な身体と魔力に決定打を欠き、倒しきるには至らない。空中戦を挑んでいるズグロにしても同じ、総合的な能力では、魔獣を圧倒している筈なのに、魔獣は常に私達を背にする位置で戦うため、ズグロは超大な魔力を放つ事が出来ない。


 二人から引き離された私達四人は、既に……、じり貧な状態に追い込まれている。空中に待機している黒衣達は、私達が黒球を破壊する度に、新しく球を生成して放ってくるのだ。


 「はあ、はあ、はあ……、これは厳しいわねぇ」

 「ロゼ様、まだ……、やれますよ!」

 「ええ、私だってまだまだ行けます!」

 「皆さん、もう少しです頑張りましょう!」


 弱音を吐いたつもりは無いのに、身体は動かなくなっている。

 他の三人も、既にボロボロの状態で、言葉は勢いを保っているが、見るからに限界なのは、誰の眼にも明らかに成って来た。


 「ユキヒト様……、もう一度……」

 「私らが……、こんなに危ないってのに、何してんだか……」


 私は、戦っている内に彼が掛け付けてくれるのでは?、っと期待をしていた。

 勿論、いまもそれは変わらないのだけど。


 「流石に……、間に合わないのかな」


 殺されかけて、彼への想いが募ってくる。

 ユキヒトに逢いたい……、と。


 『最初の威勢は……、無くなった様だな、ではそろそろ終りにしよう』


 四人の黒衣は、両腕に黒球を二重に生成させている、ひとりが倍の二十の球を浮かび上がらせた。あれを今放たれたら、私達にはもう回避する余力は無い。


 私達が倒れたら、ズグロもラクテルも力を抑える必要は無くなって、すぐに倒してくれるだろう。最悪の破壊の女神復活は、彼女達が防いでくれる筈。


 それには……、この場に居ない三人もきっと。

 だが、最後に一言叫んでやるっ!。


 『さらばだ……、皇女殿下っ!』



  ユキヒトのぉ……、 馬鹿あ━━━━!!


 黒衣が腕を振るう……、その時。

 空間その物を揺るがす振動が起き、黒衣達も空中でバランスを崩した。

 振動が収まった後、私達の目の前には、良く知った顔が姿を見せていた。



 「ユキヒトっ!! 、アネス、ハル!」

 「ユキヒト様っ! 、やっと来てくれた!」

 「助かったあ……」

 「ユキヒトさん……、遅いです!」


 ニクスの言った合流場所は、仲間全ての集まる場所だった。

 一人は知らない者が、巨大な奴と戦っている。

 空中戦をやっているのは、ズグロか……。


 そしてロゼ達は……、ボロボロの姿で俺を見て、涙を浮かべた。


 「ユキヒト……、私ら死に掛けてんだけど?」

 「ごめん……」


 皮肉を言ってきたロゼの姿も、酷いものだった……。綺麗な金髪も顔も、俺達を欠いた状態で死闘を繰り広げていたのが、すぐに分かる。

 

 「ぎりぎり、間に合ったのか……、ハルみんなの治療を」

 「はいっ!」


 本職のハルの治癒魔法は、彼女達を一気に回復させた。

 不意な事故で、引き離された俺達は今、ここに再び総員が揃った。


 「ほぉ……、ぎりで異世界人は間に合ってくれた様だな」


 「さてっ! 、総員そろいよっ! 、これまでの借りを返さなきゃ!」

 「ですねっ、かなり良い様にやられましたしね!」


 『くっ、間に合ったか……、だが、まだ終わりではない!』



 ニクスとの約束も有る。

 その約束を果たす為にも、黒衣はこの場限り、俺達が殲滅させる。





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