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女難危行・拉致した皇女と六人の嫁  作者: 雛人形
悲しき破壊の女神 一
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待ち伏せ

続きです、よろしくお願いします

 

私達が呑気に歓談している時……。

 

 第三の魔女ラクテルは、庭で黒衣相手に大暴をしていたらしい。

 ラクテルは、庭を散歩とか言って離れて行ったけど。

 どうやら、彼女は黒衣が居る事を最初から、気が付いていた気がする。

 

 

 ラクテルさん……、敵の数を、減らしてくれたのは非常に有難いのですが……。


 「さ……三人相手に無傷ってっ!、貴女バケモノ……?」

 「あら、手間を省いてあげたのに、バケモノとは失礼ねえ小娘ちゃん」

 椅子にどっかと座り込んで、脚を組みカップを口にする前に、一言。


 くっ……、又、小娘ちゃん言われた……。

 しかし、古き魔女の実力は半端じゃないと分かった……。


 実際私達は、彼女が戦っているのを見て居ない。どんな戦法かしらと、非常に興味深いのだけれど、私達はユキヒトが力を解放するまで、かなり苦労した。その同等の奴を三人相手にして、無傷だなんて……。彼女の力量は、私達が想像していたより遥かに上ね、少なくても力を解放した彼と、同等以上という事に成るわ。


 「このお茶、美味しいわねぇ、御代わり貰えるかしら」

 「恐縮です……、ただいまお持ちします」


 執事にカップを差し出し、御代わりを催促している。

 ほんの少し前に、命の遣り取りをやっていた者とは思えない、落ち着き様。

 流石は、伝説の古き魔女と言った処かしら……。


 お茶の味が気に入って、追加を注文するラクテルを見ていて、感じた。

 ニクスの居場所が特定できたら……、彼を待たずに先制攻撃を仕掛けて、思念体のニクスを取り返せるんじゃない?。かと、その事は、ズグロも感じた様子で私に囁いてきた。


 「ロゼ皇女、主殿を待たずに先制が出来そうだが……」

 「ズグロも感じたのね、私も今そう考えてた……」

 「只、敵の数が分からない為、かなり危険が伴いますが……」


 確かに……、余裕で戦えるのは彼女だけ、白龍に戻ればズクロは果てし無く強力に成るが、場所がもんだいと成ってしまう。ラクテルの強さに眼が眩み、迂闊な事をやってしまえば、私達は勇み足を踏み、取り返しのつかない失態を引き起こしてしまう、その可能性だって捨てきれない。


 「貴女の銀髪……、素敵ねぇ……、私も銀髪にしようかしら?」

 ラクテルは、イリスの髪を指で軽く摘み、その髪を誉めて自分の髪を見る。

 

 「イリスさんの髪……、本当綺麗ですよねぇ、羨ましい……」

 マリネは自分の髪は黒で短くて……、男みたいだと、言いたげな顔をした。

 女の眼から見ても、彼女とハルのショートは、可愛いと思うのだけれど……。

 

 「あら……、貴女のショートも素敵よ!」

 「マリネさん……、ショート凄くお似合いですよ、とても可愛い」

 「そ、そうですか……?、ユキヒト様もそう思ってくれてたら……」


 マリネから彼の名前が洩れた……。

 その事で、ハッと我に返ることに成った。


 彼の居ない時に、もし万が一にも誰かを喪う事に成ったら?。

 私は……、彼にどう言い訳して謝れば良いのか、想い付かなかった。

 

 私達は一度、不幸な事故で仲間を喪っている。

 もう二度と、あんな思いをするのは御免よ……。


 ユキヒトが居る居ないに関わらず、誰かが危険に曝される可能性が高いなら、避けるべきではないのかしら?。私達は、誰かと健全な試合をやってる訳じゃない、命の危険は覚悟している。しかし、得体の知れない相手を前に、万全の体制が取れないならやはり、ここは避けるのが正解よね?。


 「ズグロ、やはり……、今は止めましょ!」

 「そう……ですね、それが懸命な判断でしょう」


 変にスッキリとした気分に浸っていた私だが、肝心な事を忘れていた。


 「ロゼ様っ! 、書庫っ!」

 「あ……、いけない忘れてたわっ! 、皆地下へ行くわよ」

 

 急ぎ広間を走りぬけ、地下への階段を駆け下りて書庫へ行った。

 書庫の鍵で扉を開けて中へと入った……。


 「ゴホッ、ゴホッ埃っ……、もの凄っお」

 「ケホッ、これ、息が……けほけほっ……」

 「これは……、ごほっ……堪らないわっ!」


 へやを占領していた埃のせいで、私達は一旦部屋の外へと退避した!。

 イリスが魔法で部屋の埃を一網打尽にして、外へと排出するまでの間、私達は咳きが止る事が無かった。完全に埃が外へと出て行ったのを確認して、再び部屋の中へと足を踏み入れた。


 確実に、埃は消え去ったのだけど……。

 「カビ臭いわね……、これくらいは我慢しましょ……」

 

 私は未だしも、イリスは……かなり苦しそうな顔した為、外へ出る様に促した。

 元々が皇帝の血縁でもある彼女には、この部屋は拷問にも等しかったみたい。

 

 「でも……、人手が多いほうが……」

 「いいから……、イリスは外っ!」

 手伝いたい気持ちは嬉しいし、分かるけど、体調崩されたら堪らない……。


 「御免なさい……」

 

 イリスは済まなさそうに、書庫から退出し入り口で覗いていた。

 部屋の外から、客観的に見渡したら私等は大掃除をして居る様に見えるに違いない。


 「へーこりゃ凄いわぁ、貴女の伯母……、良い物残してたわね」


 皇国の歴史に限らず、かなり古い本が所狭しと、本棚に詰められていた。

 既に、失われたとされる貴重な書物がこの部屋に、保管されている。

 部屋の中を一周しながら、何冊か手に取りそれを確認していたラクテルが、そう言っている。


 「片っ端から調べるしか……、ないのかしら?」

 部屋の本棚に有る本、全部で一体幾つ有るのやら……。

 これを、全部調べるとなると気が遠くなりそうで、頭がクラクラしてくる。


 「これ……、凄い時間掛かりそう━!」

 「ロゼ様……、一体、何冊あるんですか?、一日じゃ終りませんよ……」

 「私だって知らないわよ……、でもやるしかないわね」


 斯くして、私達と書庫の本との睨み合いが始まった。

 

 途中で何度も、イリスがお茶を届けてくれ、皆は休憩しながら格闘を続けている。夕方になってもそれは続き、等々、食事までこの部屋の外で取る羽目に成った。夜遅くになっても、本達との格闘は終わりを見せず、順番に仮眠を取りながら、蝋燭の明かりを頼りに作業は続けられた。


 夜が空けて、日の光が部屋の外に、差し始めたのが分かった頃。

 一冊の本の中に、森の魔女に関する、真実が記述された文章を発見した。


 「やっと……、見つけたわ」


 それを見つけた後。有る者は床に座り、有る者は壁に凭れ。

 私と言えば、机に腕を投げ出して、本に埋もれて昏睡状態に突入していた。


 爆睡中の私達に、毛布を掛けてくれたのがイリスと分かったのは。

 眼が覚めて、頭が覚醒した後のこと。




━━港町テグー。


 薬草を売る事で多少は懐が豊かに成った事も在り、早速空腹を満たしに行く。

 港町の食堂だけに、その料理の殆どは海鮮料理ばかり。

 

 「ん?、海の食べ物は嫌いだったか?、この街はどこに入っても……」

 「いや、大丈夫だけど……」

 

 手に持ったお品書きを見ても、料理が分からない!。

 そんな、もたもたしてる姿を見たハルは、直ぐに気が付いてくれた。


 「ユキヒトさん……、料理が分からないですよね、私のと同じにします?」

 「ごめん……、ハルと同じので……」

 「はーい」


 料理を決められなかった理由は二つ……。

 一つは、名前を見ても料理が分からない!。

 もう一つは、この世界の魚は……、どれもグロテスクだ……。


 だが味だけは、無茶苦茶美味い!。

 出された料理を、物の見事に平らげた。


 「宿だけでも先に見つけて措くか……」

 空腹も解消され、先に安い宿を探す番となり、席を立とうと……。


 「伝言を預かってます、街の入り口でお連れ様達がお待ちです」

 店員の伝言を聞いた直後、椅子を後ろに倒して立ち上がった。


 「ロゼ達が来たっ!」

 「良かったです、もう心配要りませんね!」

 「凄いな……、どうやって見つけたのか……」


 あまりに唐突な事で、もう少しで料金を払わずに飛び出し掛けた。ロゼ達と合流出来さえすれば、もう何も不安要素は無くなる。俺達は、一目散に待ちの入り口へと、とに角急いで駆け出した。


 あの事故せいで、俺達は離れ離れと成っていたが、やはり直ぐ近くにではなかったが、この辺りの土地に飛ばされて居た様だ。恐らくは、イリスの追跡魔法で、俺達を捜していたに違いない、索敵範囲に俺達が入った事で、この街へやってきてくれたのだろう。


 「はあ、はあ、はあ、はあ……、ロゼ達……、何処だ!」

 

 言われた通りに、街の入り口へと息も絶え絶えに、辿り着いて彼女達を捜した。だが、ロゼ処か誰一人その場に姿が見えない、入り口は一箇所しか無いのは確認済みで、間違っては居なかった。


 「あれ?、此処で合ってますよね?」

 「うむ、此処以外に入り口は無かった……」


 合流場所に指定された位置に来たが、彼女達が居ない為。

 俺達は、辺りを満遍なく見渡して捜していた。


 ガサッ、ガサッ!

 

 傍の木陰から音がして……、そして見知らぬ女性が此方へと歩いてきた。

 この辺には三人共、知り合いは居ない筈?。


 「森の奥で、巨熊を倒したのは……、貴公達で間違い無いか?」

 

 騙された……、罠だ!。

 俺と、アネスはハルの前に立ち、彼女を守った。


 「貴様……、騙して措いて行き成り質問か?」

 「答えずとも、お前が弓を持っている事で分かる。お前だな……」


  ギィ━━ン!


 金属音が響く━━。

 「ユキヒト……、お前!」

 「アネス、下がれ弓じゃ不利だぁ!」


 「ほぉ、驚いたなこれは……、私の居合い防いだか!」

 「ったく……、意味不明に襲ってきやがって」


 この刀では人は斬れない……、だが防戦は出来る。

 誰かが、来るか此の女が、諦めるまで凌げれば良い!。


 お互い刃を押し離れた。

 即、女は間合いを詰めに飛び込んで来る…………、速い!。

 更に……、女と思えない剣圧をしていた。


 〝この馬鹿女……強えっ!〟


 「エルフだけかと思ったが……、やるな貴公っ!」

 「誉められても、ちっとも嬉かないがね!」

 

 今……、互いにぎりぎり間合いの外、後一歩で……、間合いに入る位置。


 入った!。


 女が地を蹴り瞬速の突撃、剣を振り下ろす……。


 ドクン……、刹那鼓動が鳴った。

 女が突き斬って来る姿が、脳裏に浮かんだ……。


 振り下ろし……じゃない、突き!。


 身体を翻し、刃でその突きの軌道を捌いた……。


 女は、その突きに絶対の自身を持っていた。突きを交わされ、一瞬固まる。

 その一瞬は、剣の斬りあいに措いては、致命と成る……。


 俺は刃をその女の首へと、当てた!。

 

 「お見事っ! 、避けられるとは……」

 「さて、首を落とされても文句無いよな……」

 人を斬れない刀で、言う台詞では無いけど、脅し位にはなるだろ?。


 「ユキヒトさん……、待って……。何か事情が?」

 「行き成り斬りつけて来て……どんな事情だ?」


 ハルは本当に優し過ぎる……、アネスの怒りが普通の反応だ!。

 だけど……、何故、襲われたのか?、聞いても良いかもしれない。


 「お願いします! 、お止め下さい!」


 別の木陰から女が飛び出て、俺の前にひれ伏した……。

 女が顔を上げると……、見覚えが在った。


 「あれ……、熊に襲われてた……」

 「はい……、お話を聞いて貰えませんかぁ?」


 襲ってきた女も、態度が変わった……。


 「無礼を承知で……、貴公達を試させて貰った。話を聞いては貰えまいか?」


 何やら、異国の地でも面倒な事に成りそうな雰囲気に成ってきた。



有難うございました

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