あの世
続編ですよろしくおねがいします
あの世に行ったってどういうこと━━━?。
「ふむ、別に、死んで逝った訳では無い、安心せい」
あの世て……、生きた生身で行ける物なの?
安心しろって……、はいそうですか!、そんなお気楽な人居ないって……。
気軽に行くとこじゃないでしょ━━。
「あの世に観光しにでも行ってるわけ?、違うわよねっ」
「無論じゃ、遊びになど行かせておらん」
「あの……、ラケニス様。ではユキヒト様は、何をしに行ったのですか?」
そうよ……、私らも此処へ遊びで来ていない━━!。
彼の世とやらに、何しに行ったのか説明して貰わないと、納得出来ない。
「小僧は、彼の世を統治者の一人、夜叉姫に逢いに行っておる」
プチッ!
ピクッ!
「なっ!、女ですって!」
「わ……わ笑えませんねロゼ様……」
まさか……、ラケニスが戯れ起こして女を口説かせに行った?。
とかじゃ無いでしょうね……、この婆さんなら面白がって言いかねない!。
マジだったら、如何してくれよう……。
「戯けが! 、ぬしら小娘が危惧しとる様な事では、ないわぁ!」
「じゃ、何しにいってるのよっ?」
私も、マリネにしても、女に逢いに行ったの一言で、済むとでも?。
二人で、ラケニスを睨み付けてやった。
「力を授かりにじゃっ。無論、上手く行けばの……、話じゃがな」
「上手くって……、失敗する事も有るの?」
「当然じゃ、寧ろ……駄目な可能性の方が強いかのぉ」
失敗した場合…………、どうなるのよ?、命を喪うなんて事に…………!。
マリネはどう感じてる?、顔を向けて彼女を覗いて見ると。
隣のマリネの顔も、同じ事を懸念してるなぁ。
そもそも、私等が居るでしょう?。
まだそれ以上に力が必要なの?。
そんなに強さを集めて何と戦う心算なのよ?、意味が分からない。
此の時は、そう思ったけど、得たいの知れない集団を相手に戦う可能性がある。使える物なら新たな力は十分に魅力的な筈なのに、この瞬間の私には嫉妬で眩み、その考えは浮かばなかった。
「まあ、命までは喪う事は無いじゃろ、最悪でも……、ボロ雑巾で叩き出される程度じゃろうて、その内にふらっと戻って来よう」
半年間も私らを放置したまんまで、一体、此処で何してたのよ……?。時間ならね、沢山余ってた筈なのに、厄介事が起きた時を狙い済ました様に、そんな場所に行かなくて良いでしょ……。
私らに、何も告げずに行かなくても……。
「ニクスが破壊に目覚めたら厄介じゃし……、茶菓子突いて、悠長に待っとる訳にもいかぬか……」
婆さん……、何か考え込んだ?。
時間が勿体無い、うだうだやってないで早く呼び戻して欲しいわ。
「私……、そこへ行って呼び戻します!、私を行かせて下さい」
「ちょ、アンタ何を……、行ける筈無いでしょ━━!」
「だって、あの人は行けたじゃないですか……、なら私も!」
あちゃあ、この子本気だわ……、そんな、ほいほいと行けるのかしら?。
行けたとしても……、彼の世でしょ、死ぬのよね……?。
「確かに、主らが行った方が早そうじゃ……」
何?、行ける訳?。
「よし……、小娘達、送ってやるから小僧を連れて来るが良い」
ラケニスが肩肘付いてたのを止め、手を振りかざすと……。
私達の足下に魔法陣が、出現し光を放ちながら上昇を始めた。
足下から上と身体を通過しながら、身体が消えて行く。
「そんなっ、急に……、まだ心の準備が……
全てを口にする前に私達の身体は、魔法陣によって彼の世とやらに。
飛ばされた━━。
「むぅあの事を言い忘れたわい。まぁそっちのが面白いから良いじゃろ!」
三日前から夜叉姫の館に居る俺だが……。
「次は、何の話で我を、楽しませてくれるのじゃ?」
ずっとこの調子が続いている。
流石に三日目とも成ると話題も直ぐには、浮かんで来ない。
時間は……、捨てる度に有る、暇潰しに付き合わなくも無いが。
最初は、妖艶極まりない艶やかさに、確かに見惚れていたのも事実だ。
此処へ着たばかりの時は、随分とからかわれた。
わざと、脚を組み直したり、胸元を肌蹴させたりと。
その都度、どぎまぎしているのを見て、愉しんでいた様だ。
何処かの性悪婆さんと、良く似ている……。
だが、触れる事も叶わぬ食べ物に、何時までも呆けていられない。
婆さんの言っていた、力が何なのか?。
それだけでも、早く聞きたい物だ……。
「あの、夜叉姫さん?」
「貴様! 、無礼であろう!」
傍で控えていた武官らしい男がいきり立ち、剣にてを掛けた。
「構わぬ! 、控えて居れ」
この世界でもやっぱり縦社会……、上の者には逆らう事は許されない……か。
見た目からして、そんな感じは強かった。
建物は、日本建築に近い造りに、中国の宮廷官吏、武官の姿着に言葉遣い。
只、夜叉姫だけは随分と軽装で、細く白い身体の露出度の多さに、ただ目のやり場には困った……。
ロゼ達の様な服装も可愛いが、東洋系も捨て難い。
「で……、なんじゃったか?、異界の民よ」
「力を貰えると聞いて、来たんだけど……」
「その話………か、ほれ、此れの事じゃ」
夜叉姫が、手を前に突き出すと、一振りの刀が彼女の手に握られた。
「此れが、その力じゃ……、欲しいかや?」
「貰えるのなら、あははは……」
「只の、なまくら刀かも知れんぞ?」
「そんな事は無い筈、それがどの様な刀か知らないけど、そこの武官の二人、姫さんが刀を出した時の慌て様が、普通じゃ無かったけど?」
慌てて、夜叉姫の身体を制止するでなく、刀の方へと手を伸ばしてた。
余程、大事な物だと、その位は分かる。
「ほぉ、よう観ておった……、主に授けんでも無いが、条件が有る」
でたよ……、何時も此れだ。
教えたり、くれたりする時は、限って条件提示してくる……。
そりゃまっ、只で貰おうって俺も、考え甘いんだけど。
「その前に……、珍客が増えた様じゃ」
座敷の空間に魔法陣が出現した。
武官二人は、瞬時に夜叉姫の前へ護衛に出た。
「大事無い……、性悪女……奴の戯れじゃ」
陣から女性ふたりを吐き出して陣は消滅した。
座敷に落とされた二人は、尻餅をついて…………。
慌て裾を手で塞ぐ。
「ちょっ、見えた?」
「ユキヒト様……、見たでしょ!」
行き成りロゼとマリネが表れた。
首を振って否定はしてみた……が。
二人とも疑惑の眼差しで俺を見ている。
「ふたりとも……、如何して此処へ?」
「はぁあ、如何して……ですってぇ?。あなたねぇ! 、半年も音沙汰無しで私らを放置してた上に、遠路訪ねてみれば、今度は、彼の世へ女に逢いに行ったと。私達がそんな事を聞かされ平然と、はいそうですかっと、笑って呑気にあなたを待つとでも思ってた訳?」
「俺に……逢いに来てくれたんだ」
「うん……、ふたり……でね」
起き上がり詰め寄られて、怒りを一気に捲し立てられた。
ビンタの一発でも来るかと、覚悟したが別の物が……。
胸と背中の前後から、二人の身体で挟み込まれ動けなくなった。
ずっと連絡もしなかった俺に、彼女達は逢いに来てくれた。こんな場所まで来るって事は、何かが起きているのは、想像に難くない。此処まで呼びに来てくれた彼女達の気持ちが、言葉に出来ない程に嬉しい。
「うぬら、塔に居る性悪女の差し金じゃな」
「そうよ……、この人を連れて帰るわ」
「ユキヒト様、帰りましょう!」
前後に張り付いた状態で顔だけ、夜叉姫に向けて答えていた。
彼女達まで来てしまったからには、何時までも此処には居られない。
夜叉姫から刀を頂いてから、早々に帰るとしよう。
「そうだ……、条件て何?」
「少し待つが良い……、ひい、ふぅ…………、七つ……、揃っておるのか面白い。小僧、これは呉れて遣る好きに使うと良い」
夜叉姫は、俺に手渡しで刀を俺の手に置いた。
「あれ?、条件が有ると言ってなかった?」
「主がそれを使うと、面白そうじゃし、それだけの理由だ」
「用事は済んだでしょ、帰るわよ!」
「そうですよ、早く帰りましょう」
二人は、俺の腕を掴んできたが、肝心な事を忘れている。
「あのさ、ちょっといい?、塔への帰り道て知ってる?」
ふたりは、歩みを止めて固まった……。
当然だか、俺もラケニスから聞いていない。只、帰りは心配しなくて良いとだけ言われていた。あの時の表情を想い返すと……。何かを企んで、楽しみにしている含みを孕んでいた顔だと、今更ながら気が付いた。
「我が、元の世界へ送ってやろう、但し……
「又……、条件があるのかぁ……はぁ」
「ふん……条件ではない、この館の掟じゃ」
「掟……?」
嫌な予感がピリピリと、漂ってくる……。
「この館を出て行く者は、身包み全てを剥がれた後に、出る決まりじゃ」
夜叉姫は、さっと手を振り払うと……。
俺達は一切の着衣を引き剥がれ、丸裸にされてしまった!。
「だああああ」
「きやああああああああ」
「いやあああああああああ」
館に響き渡る悲鳴が、部屋中を突き抜けていく。
「それでは、さらばじゃ!」
再び魔法陣が現れ俺達三人を、素っ裸の状態で元の世界へ運んだ。
「あははははは、丸裸で戻り寄った、楽しいのぉ!」
「笑ってないで、服を頂戴っ!」
「いやぁ……あ、早く……下さい!」
女性ふたりは、身体を丸め込んで微動だに出来ない。
核言う俺も、動くとヤバイ事に……。
俺達は、大笑いで悦に入っている婆さんに、何かをする余裕は無かった。
男としては! 、女性の裸を拝めるのは嬉しい限りでは有る……。
こんな状況で無ければの話だが…………。
「処で、貰える物を貰ってきたのか?」
何事も無かったかのように、淡々と聞いてくる。
鷲掴みにした刀を、目の前に突き出してやった。
じっと刀を凝視した後。
「あのけち臭い奴が、ようも、此れを渡したものじゃの」
「その刀、そんなに良いものなわけ?」
「剣なら私が……居るのに」
少し淋しげな顔をするマリネを横目にラケニスは続けた。
「この刀はな……いや、今は止めて措こう」
ラケニスは夜叉姫から貰った刀を俺に戻すと、自らの考えを続けた。
「その刀も使うべき時に、その力を魅せてくれる筈じゃ、今此処で答えを聞くより、己が道を進む過程でそれを知る方のが、より感動的で意味も有るじゃろ」
何時もは、冗談に成っていない事ばかりを口にして困らせる癖に。
珍しく正論ポイ事を吐き出した。
でも、確かに居得てるかもしれない。
そう言えば、肝心の彼女たちが此処へ訪れた理由を聞いていない。
「二人とも、此処へ何をしに来てたの?」
「あ! 、もぅっ本題を忘れてたたわっ!」
「ニクスが攫われちゃったんです!」
ロゼの呆けの後に、マリネから笑えない話を聞かされた。
「攫われたって……、誰から?」
「それがはっきりと判明してないのよ……、かなりヤバイ集団とだけ」
「ラミカさんが首都へ来て、教えてくれたんです」
そうか確か、ラミカはあの村に残って居た。
詳しい話は聞かないと分からないけど、此処へ来た理由は理解できた。
「他の皆には伝えたの?」
「まだよ、あなたに最初に伝えに来たのよ」
「小娘達が此処へ来た理由は、それが本命では有るまいが」
「なっ! 、こ、こ此れが主目的よっ、な、なに言ってるのよ……ねぇ?」
「そ、そ……そうですよぉっ!」
意地悪な性悪婆さんの茶々が入って、ふたりは紅く染まっていた。二人は照れ隠しで誤魔化したが、別に言われなくても、彼女達の気持ちくらい伝わっている。
それよりニクスが攫われた事実は放置出来ない。
誰が、彼女の願いを邪魔して何を企んでいるのか?
それを、探り当てニクスを奪還しなければ成らない。
「無駄な時間は、此れくらいにして皆を集めよう」
「そうね、行きましょう!」
「はい、又……一緒に」
「わしも気に成るで、少し調べておこう……」
「ああ、頼むよラケニス、半年間、世話に成った有難う!」
「よさんかっ……、気色悪いわ小僧……」
そう言って、彼女は扉を開き、俺達は湖の畔へと現れた。
誰の居場所を尋ねるか、三人で思案を始め帝国領へ向かうより、ゾーイでアネスとハルを迎えに行く事に決めた。
有難う御座いました。




