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女難危行・拉致した皇女と六人の嫁  作者: 雛人形
悲しき破壊の女神 一
49/90

あの世

続編ですよろしくおねがいします

   あの世に行ったってどういうこと━━━?。


 「ふむ、別に、死んで逝った訳では無い、安心せい」

 

 あの世て……、生きた生身で行ける物なの?

 安心しろって……、はいそうですか!、そんなお気楽な人居ないって……。

 気軽に行くとこじゃないでしょ━━。

  

 「あの世に観光しにでも行ってるわけ?、違うわよねっ」

 「無論じゃ、遊びになど行かせておらん」

 「あの……、ラケニス様。ではユキヒト様は、何をしに行ったのですか?」


 そうよ……、私らも此処へ遊びで来ていない━━!。

 彼の世とやらに、何しに行ったのか説明して貰わないと、納得出来ない。


 「小僧は、彼の世を統治者の一人、夜叉姫に逢いに行っておる」


 プチッ!

 ピクッ!


 「なっ!、女ですって!」

 「わ……わ笑えませんねロゼ様……」


 まさか……、ラケニスが戯れ起こして女を口説かせに行った?。

 とかじゃ無いでしょうね……、この婆さんなら面白がって言いかねない!。

 マジだったら、如何してくれよう……。


 「戯けが! 、ぬしら小娘が危惧しとる様な事では、ないわぁ!」

 「じゃ、何しにいってるのよっ?」


 私も、マリネにしても、女に逢いに行ったの一言で、済むとでも?。

 二人で、ラケニスを睨み付けてやった。


 「力を授かりにじゃっ。無論、上手く行けばの……、話じゃがな」

 「上手くって……、失敗する事も有るの?」

 「当然じゃ、寧ろ……駄目な可能性の方が強いかのぉ」


 失敗した場合…………、どうなるのよ?、命を喪うなんて事に…………!。

 マリネはどう感じてる?、顔を向けて彼女を覗いて見ると。

 隣のマリネの顔も、同じ事を懸念してるなぁ。

 

 そもそも、私等が居るでしょう?。

 まだそれ以上に力が必要なの?。

 

 そんなに強さを集めて何と戦う心算なのよ?、意味が分からない。

 此の時は、そう思ったけど、得たいの知れない集団を相手に戦う可能性がある。使える物なら新たな力は十分に魅力的な筈なのに、この瞬間の私には嫉妬で眩み、その考えは浮かばなかった。

 

 「まあ、命までは喪う事は無いじゃろ、最悪でも……、ボロ雑巾で叩き出される程度じゃろうて、その内にふらっと戻って来よう」 


 半年間も私らを放置したまんまで、一体、此処で何してたのよ……?。時間ならね、沢山余ってた筈なのに、厄介事が起きた時を狙い済ました様に、そんな場所に行かなくて良いでしょ……。


 私らに、何も告げずに行かなくても……。


 「ニクスが破壊に目覚めたら厄介じゃし……、茶菓子突いて、悠長に待っとる訳にもいかぬか……」

 

 婆さん……、何か考え込んだ?。

 時間が勿体無い、うだうだやってないで早く呼び戻して欲しいわ。

 

 「私……、そこへ行って呼び戻します!、私を行かせて下さい」 

 「ちょ、アンタ何を……、行ける筈無いでしょ━━!」

 「だって、あの人は行けたじゃないですか……、なら私も!」


 あちゃあ、この子本気だわ……、そんな、ほいほいと行けるのかしら?。

 行けたとしても……、彼の世でしょ、死ぬのよね……?。

 「確かに、主らが行った方が早そうじゃ……」


 何?、行ける訳?。


 「よし……、小娘達、送ってやるから小僧を連れて来るが良い」


 ラケニスが肩肘付いてたのを止め、手を振りかざすと……。


 私達の足下に魔法陣が、出現し光を放ちながら上昇を始めた。

 足下から上と身体を通過しながら、身体が消えて行く。


 「そんなっ、急に……、まだ心の準備が……

 全てを口にする前に私達の身体は、魔法陣によって彼の世とやらに。

 飛ばされた━━。


 「むぅあの事を言い忘れたわい。まぁそっちのが面白いから良いじゃろ!」




 三日前から夜叉姫の館に居る俺だが……。


 「次は、何の話で我を、楽しませてくれるのじゃ?」


 ずっとこの調子が続いている。

 流石に三日目とも成ると話題も直ぐには、浮かんで来ない。

 

 時間は……、捨てる度に有る、暇潰しに付き合わなくも無いが。

 最初は、妖艶極まりない艶やかさに、確かに見惚れていたのも事実だ。


 此処へ着たばかりの時は、随分とからかわれた。

 わざと、脚を組み直したり、胸元を肌蹴させたりと。

 

 その都度、どぎまぎしているのを見て、愉しんでいた様だ。

 何処かの性悪婆さんと、良く似ている……。


 だが、触れる事も叶わぬ食べ物に、何時までも呆けていられない。

 婆さんの言っていた、力が何なのか?。

 それだけでも、早く聞きたい物だ……。


 「あの、夜叉姫さん?」

 「貴様! 、無礼であろう!」


 傍で控えていた武官らしい男がいきり立ち、剣にてを掛けた。


 「構わぬ! 、控えて居れ」

 

 この世界でもやっぱり縦社会……、上の者には逆らう事は許されない……か。

 見た目からして、そんな感じは強かった。

 

 建物は、日本建築に近い造りに、中国の宮廷官吏、武官の姿着に言葉遣い。

 只、夜叉姫だけは随分と軽装で、細く白い身体の露出度の多さに、ただ目のやり場には困った……。


 ロゼ達の様な服装も可愛いが、東洋系も捨て難い。

 

 「で……、なんじゃったか?、異界の民よ」

 「力を貰えると聞いて、来たんだけど……」

 「その話………か、ほれ、此れの事じゃ」


 夜叉姫が、手を前に突き出すと、一振りの刀が彼女の手に握られた。


 「此れが、その力じゃ……、欲しいかや?」

 「貰えるのなら、あははは……」


 「只の、なまくら刀かも知れんぞ?」

 「そんな事は無い筈、それがどの様な刀か知らないけど、そこの武官の二人、姫さんが刀を出した時の慌て様が、普通じゃ無かったけど?」


 慌てて、夜叉姫の身体を制止するでなく、刀の方へと手を伸ばしてた。

 余程、大事な物だと、その位は分かる。


 「ほぉ、よう観ておった……、主に授けんでも無いが、条件が有る」


 でたよ……、何時も此れだ。

 教えたり、くれたりする時は、限って条件提示してくる……。

 そりゃまっ、只で貰おうって俺も、考え甘いんだけど。


 「その前に……、珍客が増えた様じゃ」


 座敷の空間に魔法陣が出現した。

 武官二人は、瞬時に夜叉姫の前へ護衛に出た。


 「大事無い……、性悪女……奴の戯れじゃ」


 陣から女性ふたりを吐き出して陣は消滅した。

 座敷に落とされた二人は、尻餅をついて…………。

 慌て裾を手で塞ぐ。


 「ちょっ、見えた?」

 「ユキヒト様……、見たでしょ!」


 行き成りロゼとマリネが表れた。

 首を振って否定はしてみた……が。

 二人とも疑惑の眼差しで俺を見ている。


 「ふたりとも……、如何して此処へ?」

 「はぁあ、如何して……ですってぇ?。あなたねぇ! 、半年も音沙汰無しで私らを放置してた上に、遠路訪ねてみれば、今度は、彼の世へ女に逢いに行ったと。私達がそんな事を聞かされ平然と、はいそうですかっと、笑って呑気にあなたを待つとでも思ってた訳?」


 「俺に……逢いに来てくれたんだ」

 「うん……、ふたり……でね」


 起き上がり詰め寄られて、怒りを一気に捲し立てられた。

 ビンタの一発でも来るかと、覚悟したが別の物が……。


 胸と背中の前後から、二人の身体で挟み込まれ動けなくなった。

 ずっと連絡もしなかった俺に、彼女達は逢いに来てくれた。こんな場所まで来るって事は、何かが起きているのは、想像に難くない。此処まで呼びに来てくれた彼女達の気持ちが、言葉に出来ない程に嬉しい。


 「うぬら、塔に居る性悪女の差し金じゃな」

 「そうよ……、この人を連れて帰るわ」

 「ユキヒト様、帰りましょう!」


 前後に張り付いた状態で顔だけ、夜叉姫に向けて答えていた。

 彼女達まで来てしまったからには、何時までも此処には居られない。

 夜叉姫から刀を頂いてから、早々に帰るとしよう。


 「そうだ……、条件て何?」

 「少し待つが良い……、ひい、ふぅ…………、七つ……、揃っておるのか面白い。小僧、これは呉れて遣る好きに使うと良い」


 夜叉姫は、俺に手渡しで刀を俺の手に置いた。


 「あれ?、条件が有ると言ってなかった?」

 「主がそれを使うと、面白そうじゃし、それだけの理由だ」


 「用事は済んだでしょ、帰るわよ!」

 「そうですよ、早く帰りましょう」

 

 二人は、俺の腕を掴んできたが、肝心な事を忘れている。


 「あのさ、ちょっといい?、塔への帰り道て知ってる?」

 

 ふたりは、歩みを止めて固まった……。

 当然だか、俺もラケニスから聞いていない。只、帰りは心配しなくて良いとだけ言われていた。あの時の表情を想い返すと……。何かを企んで、楽しみにしている含みを孕んでいた顔だと、今更ながら気が付いた。


 「我が、元の世界へ送ってやろう、但し……

 「又……、条件があるのかぁ……はぁ」


 「ふん……条件ではない、この館の掟じゃ」

 「掟……?」


 嫌な予感がピリピリと、漂ってくる……。


 「この館を出て行く者は、身包み全てを剥がれた後に、出る決まりじゃ」


 夜叉姫は、さっと手を振り払うと……。

 俺達は一切の着衣を引き剥がれ、丸裸にされてしまった!。


 「だああああ」

 「きやああああああああ」

 「いやあああああああああ」


 館に響き渡る悲鳴が、部屋中を突き抜けていく。


 「それでは、さらばじゃ!」


 再び魔法陣が現れ俺達三人を、素っ裸の状態で元の世界へ運んだ。



 「あははははは、丸裸で戻り寄った、楽しいのぉ!」

 「笑ってないで、服を頂戴っ!」

 「いやぁ……あ、早く……下さい!」


 女性ふたりは、身体を丸め込んで微動だに出来ない。

 核言う俺も、動くとヤバイ事に……。

 

 俺達は、大笑いで悦に入っている婆さんに、何かをする余裕は無かった。

 男としては! 、女性の裸を拝めるのは嬉しい限りでは有る……。

 こんな状況で無ければの話だが…………。



 「処で、貰える物を貰ってきたのか?」


 何事も無かったかのように、淡々と聞いてくる。

 鷲掴みにした刀を、目の前に突き出してやった。


 じっと刀を凝視した後。


 「あのけち臭い奴が、ようも、此れを渡したものじゃの」

 「その刀、そんなに良いものなわけ?」

 「剣なら私が……居るのに」


 少し淋しげな顔をするマリネを横目にラケニスは続けた。


 「この刀はな……いや、今は止めて措こう」

 ラケニスは夜叉姫から貰った刀を俺に戻すと、自らの考えを続けた。


 「その刀も使うべき時に、その力を魅せてくれる筈じゃ、今此処で答えを聞くより、己が道を進む過程でそれを知る方のが、より感動的で意味も有るじゃろ」 


 何時もは、冗談に成っていない事ばかりを口にして困らせる癖に。

 珍しく正論ポイ事を吐き出した。

 でも、確かに居得てるかもしれない。


 そう言えば、肝心の彼女たちが此処へ訪れた理由を聞いていない。

 

 「二人とも、此処へ何をしに来てたの?」

 「あ! 、もぅっ本題を忘れてたたわっ!」

 「ニクスが攫われちゃったんです!」


 ロゼの呆けの後に、マリネから笑えない話を聞かされた。


 「攫われたって……、誰から?」

 「それがはっきりと判明してないのよ……、かなりヤバイ集団とだけ」

 「ラミカさんが首都へ来て、教えてくれたんです」


 そうか確か、ラミカはあの村に残って居た。

 詳しい話は聞かないと分からないけど、此処へ来た理由は理解できた。


 「他の皆には伝えたの?」

 「まだよ、あなたに最初に伝えに来たのよ」


 「小娘達が此処へ来た理由は、それが本命では有るまいが」

 「なっ! 、こ、こ此れが主目的よっ、な、なに言ってるのよ……ねぇ?」

 「そ、そ……そうですよぉっ!」

 

 意地悪な性悪婆さんの茶々が入って、ふたりは紅く染まっていた。二人は照れ隠しで誤魔化したが、別に言われなくても、彼女達の気持ちくらい伝わっている。


 それよりニクスが攫われた事実は放置出来ない。

 誰が、彼女の願いを邪魔して何を企んでいるのか?

 それを、探り当てニクスを奪還しなければ成らない。


 「無駄な時間は、此れくらいにして皆を集めよう」

 「そうね、行きましょう!」

 「はい、又……一緒に」


 「わしも気に成るで、少し調べておこう……」

 「ああ、頼むよラケニス、半年間、世話に成った有難う!」

 「よさんかっ……、気色悪いわ小僧……」


 そう言って、彼女は扉を開き、俺達は湖の畔へと現れた。


 誰の居場所を尋ねるか、三人で思案を始め帝国領へ向かうより、ゾーイでアネスとハルを迎えに行く事に決めた。




有難う御座いました。

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