反省して
あっ……」
「……何、ストーカー?」
「違います。たまたまです」
「……」
「今、どうしてるんですか?」
「……」
視線を逸らす。
「……どうしてるって?」
「……」
答えない。
そのとき――
「……あれ?」
導子が気づく。
「どうしたの、そのあざ……」
「……っ」
女性が一歩引く。
「おい、出てくんな」
「こっちおいで」
低い声。
「行ったら、どうなるか分かってるでしょ」
「……はい、お母さん」
「……」
導子と佐藤が顔を見合わせる。
「……娘さん?」
「……」
「……どうしたんだよ、その傷」
「この子たちが、言うこと聞かないから」
「……」
空気が一気に冷える。
「……旦那さんのところにいるんじゃなかったのか?」
「……ああ」
「連れてきた」
「……は?」
「だから、連れてきたの」
少しイラついたように言う。
「……それ、分かってるよな?」
「分かってる」
「でも、お金がないの」
「……」
「生きていくには必要でしょ?」
「……」
導子が静かに聞く。
「生活保護は……?」
「申請したよ」
「でも、“働けるでしょ”って」
「……」
佐藤が舌打ちする。
「当たり前だろ」
「……」
「努力もしてねぇやつが、通るわけねぇ」
「分かってるよ!」
初めて声を荒げる。
「……」
「分かってるって言ってるでしょ!」
「……」
「私が最低なのも、全部」
少し震えている。
「でもさ」
声が小さくなる。
「努力って……めんどくさいの」
「……」
「怖いの」
「……」
「うまくいかなかったらって思うと」
沈黙。
――――
導子が一歩前に出る。
「……怖いですよね」
「……」
「でも」
「……」
「このまま続けたら、もっと怖いことになると思います」
「……」
「だから、少しずつでも」
「……」
「変えていきませんか」
――――
「……」
女性は何も言わない。
そのとき――
佐藤が子どもたちを見る。
「……お前らはどう思ってんだ」
「……」
少しの沈黙。
小さい声で。
「……嫌い」
「……」
「でも」
顔を上げる。
「産んでくれたことは……ありがとうって思ってる」
「……」
「……」
女性の目が揺れる。
「……っ」
言葉が出ない。
――――
「……はぁ」
深く息を吐く。
「……分かった」
「……」
「……この子たち、返す」
「……」
「……もう、逃げない」
小さく言う。
「……多分」
「……」
完全じゃない言葉。
でも――
本音。
――――
「……行くよ」
子どもたちの手を引く。
今度は――優しく。
去っていく背中。
――――
「……」
「……なあ」
佐藤がぼそっと言う。
「……人間って、ほんと面倒くせぇな」
「……そうだね」
導子は静かに答える。




