ごめん、可愛いくないって言って
「こんにちは」
「……こんにちは」
「何をしようとしてるんですか?」
「……罪を、償おうと思って」
「償う……?」
女性はうつむいたまま話し始める。
「私の言葉で、友達が……いなくなってしまったんです」
「……詳しく、聞かせてもらえますか」
「はい……」
少し震える声。
「クラスで“誰が一番可愛いか”って話になって……
その子が“私が一番”って言ったんです」
「……」
「でも、私は……ノリで……」
言葉に詰まる。
「“そんなことないよ。自分の顔見なよ”って……言ってしまって……」
「……」
「笑いを取らなきゃって思って……」
静かな沈黙。
「……ノリで言ってしまうこと、ありますよね」
「……はい」
「でも」
導子はゆっくり言葉を選ぶ。
「言葉って、思ってる以上に強いものなんですよね」
「……」
「人を励ますこともできるし、
逆に、深く傷つけてしまうこともある」
女性は小さくうなずく。
「……分かってます」
「うん」
「……だから、謝りに行こうと思って」
顔を上げる。
「……でも、もう遅いですよね」
「……」
導子は少しだけ間を置く。
「“遅い”かどうかは、分からない」
「……え?」
「でも」
まっすぐ見る。
「ここで終わらせることは、その子のためにはならないと思う」
「……」
「あなたが今感じてる後悔って、ちゃんと本物ですよ」
「……」
「その気持ちを持ったまま、生きていくことも“償い”の一つだと思う」
「……苦しいです」
「うん、苦しいよね」
否定しない。
「でも」
静かに続ける。
「その苦しさを知ってるからこそ、
これから誰かに優しくできると思う」
女性の目に涙が浮かぶ。
「……」
「その子に言えなかった言葉を、
これから出会う人に届けてあげてほしい」
「……」
「それが、少しずつ“意味”になっていくと思う」
長い沈黙。
「……私」
声が震える。
「ちゃんと、生きます」
導子は小さくうなずいた。




