外伝14話 そして“敵”は議論を終えた
a「ジェノサイド・ギアが倒されたと言うのは本当なのか?」
b「ウム、プラント7に放置していた旧型だが、それが何者かによって破壊された。確かな情報だ」
c「馬鹿な。旧型とは言えジェノサイド・ギアだぞ。何故そのような事が? 我らの誰かが手を下した訳ではあるまいな?」
d「口を慎め。まるで我らを疑うような発言、この場においてそれは看過できんぞ」
e「よせ、2人とも。プラント7のジェノサイド・ギアは我らにとっても障害たる暴走機。手を下せるならそれに越した事は無い」
f「だがそれが無かったと言う事は、手を下したのは我らでは無いと言う事だ。」
a「それが信じられぬ。即ち、我ら以外でジェノサイド・ギアを破壊し得る者がいると言うのか」
e「信じ難いのはここにいる全員がそうであろう。ディガロにしろ、クロステーゼにしろ、あれを倒し得る者がいるなど到底受け入れられぬ」
g「敵はサーパストか。クロステーゼ子飼いのオベルタスしか考えられんが、しかしクロステーゼには技術が無い。ヴィンデルバンドはまだ実用段階でも無いと言うのに」
h「バーズの報告では、プラント7はイレギュラー以外に目立った異変は無いとの事だが。ならば一体何が―――」
c「待て、そのイレギュラーとは何だ? バーズの報告は把握していないぞ」
h「……プロトタイプηがいたそうだ。搭乗者もいたが」
c「何っ!? 何故回収しなかった!? プロトタイプの回収は“神命”である筈!」
i「しくじったそうだ。とは言え、ηはジェノサイド・ギアより下層にいたとの事。どちらにせよ回収は不可能だったと言う事だ」
h「しかし当のジェノサイド・ギアが破壊されたとあれば、ηの回収も可能となる。問題は何故ジェノサイド・ギアが破壊されたか、だ」
b「現状考え得るはηでは無いのか?」
d「有り得ん、セカンドシリーズは不完全に終わった。ηも例外ではなかろう」
e「それにプラント7は不可侵領域だ、完全だったとしてもあの場所へ足を踏み入ればどうなるか、それは何よりも我らが知っている事」
j「現状のηはただの歩兵機と変わらないと言う事か。しかしバーズの報告によれば、搭乗者はズブの素人だと言う。ジェノサイド・ギアの破壊にηが関わっている可能性は極めて低いのではないか?」
h「同意だな。しかし暴走したジェノサイド・ギアの自爆と言う訳でも無い、あれには安全装置が搭載されていたのだからな」
e「そうなると可能性は、ディガロかクロステーゼの何れかになるか。双方に怪しい動きはあったのか?」
f「ディガロには、特にない。今は実践データを渡した波動兵器の開発に夢中だ、何かを起こす様子は見られない」
c「波動兵器か。禁断の果実を手に入れた愚民どもが、それをどう使うのか見物だな」
f「まだ早い、今は泳がせる時期だ。波動兵器をなるべく扱えるようにしてからでないと、事の被害は我らにも及ぶやもしれん。クロステーゼとぶつけるのはその後だ」
h「ディガロの話はもういい。それよりクロステーゼはどうか?」
i「クロステーゼは先の戦闘で壊滅寸前だ。それに、オベルタスが失踪したそうだ」
d「オベルタスが? 離反したのか?」
i「いや、そうではなさそうだ。プロトタイプζを回収した際に追撃して来るオベルタスが、そのまま行方をくらませたらしい。詳細は分からないが―――」
k「―――俺が倒した」
a「な、何と!?」
e「カラディック、それは本当か!? オベルタスを倒したと言うのは!?」
h「オベルタスはサードシリーズの開発に必要な人材だぞ。何故勝手な真似をした?」
k「無論捕獲も試みたが、あの女はこちらの手に堕ちるような賜物ではあるまい。寧ろ我らの手に余る事も危惧された。故に倒したのだ」
a「殺したのか、オベルタスを?」
k「亡骸は確認できなかったが、おそらくは生きていまい。しかし万が一と言う事もある。ディガロに情報を流し、オベルタスを見つけ次第始末するよう操作していただこうか」
i「止むを得ぬか。操作は行うが、そうなると少し危ういか?」
j「何か問題でも?」
i「クロステーゼの疲弊状況をディガロにリークした。間も無くディガロの特殊部隊が行動に移るだろうが、オベルタスのいない今では全滅も有り得るかもしれん」
f「ならば、そろそろ潮時なのだろう。クロステーゼも利用価値は薄れてきた、もう壊滅させても構わないのではないか?」
c「同意だな。ディガロの奇襲にやられるなら、それまでと言う事だ」
i「ならクロステーゼは放置するで相違ないな」
d「無論だ。しかしオベルタスが失踪したとなれば、ジェノサイド・ギアが破壊された真相が見当もつかんぞ」
b「ヴィルフリート・ダオスロード、よもや奴が動いたのか?」
d「口を慎め。何故奴が動く必要がある、それも我らに黙って。先にも申したが、身内を疑うなど看過できんぞ」
f「しかし、どうだろうか? ここ最近ヴィルフリート・ダオスロードの活動には違和感を覚える。身内を疑うなど以ての外だが、しかしヴィルフリート・ダオスロードはこちら側とは言い切れないのでは無いか?」
g「ウム、一理あるやもしれぬ。ηをディガロに手渡したのも、それを日本に持ち込んだ事実をクロステーゼにリークしたのも、奴の独断と言うのだからな。疑わぬ方が無理な話だ」
d「ならば貴殿らは、ジェノサイド・ギアを破壊したのもヴィルフリート・ダオスロードの一存だと言うのか?」
e「どうであろうか。ヴィルフリート・ダオスロードは神格付の従格。そこのところはどうなのだ、神格付?」
l「…………」
a「答え無しか」
h「どちらにしろ調査隊を編成して偵察を行うべきだ。調査隊はジェーンの方で任せて良いな?」
j「よかろう、しかし場所はプラント7だ。不可侵領域に踏み入れるとなれば不安も多い。ジェノサイド・ギアが破壊された件も含めて、要警戒せねばなるまい。プラント7の管理者はブラザー・カストルだったな」
g「ウム、管理者であれば地の利も利くであろうし、不可侵領域でも不安は軽減される。念の為ブラザー・ポルクスも向かわせ合流させるとしよう」
e「それにプラント7にはバーズの従格も赴いていたな。ならばその従格も向かわせた方が、何かと都合が良いのではないか?」
b「いいだろう。我が従格、アグナム・バーズも調査隊として向かわせるとしよう」
f「では最後に、神格付から何か進言はあるか?」
l「…………」
c「どうやら、何もないようだな」
a「ではこれにて、会議を終了とし解散する」
『解散』
l「…………」
l「………………」
l「……………………おや、もう会議は終わりか?」
一方その頃ダイは……
「――――――――」
……あれ、ダイ?
…………まさか死んだりしてないよな、ダイ?
………………ダイィィィィィィィィィィィィィィィ!!?




