第59話 運命の決戦、ダイvs怪獣……勝てると思ってた自分がバカでした。
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[M72S1FBAW 四連装ロケットランチャー]
このプラントに来た当初、ダイが四本脚に追い回された際に使用したロケットランチャー。それがダイが手にした武器だった。
思い出深い事もあるが、ロケットランチャーと言うのは非常に威力の高い武器だ、その威力な超速球手榴弾の比ではない。
これでまず、怪獣の残りの左腕を破壊する。それでチェーンガンの銃撃は終わりだ。
「行っけぇー!」
銃撃を躱しならなびくマントを翻して、ダイはロケットランチャーを撃つ。直撃コースだった、これは確実に当たる。
と思ったが、しかし残念ながら当たらなかった。狙いが外れたんじゃない、怪獣がひょいっと避けたんだ。
怪獣。あの鈍重そうな図体で意外と軽快に動けんのかよ。どんだけ反則的なポテンシャルを持ってんだ。
「くそっ、もう1発……いや、それより先に―――」
流石にダイも避けられると分かって同じ所は撃たなかった。ならば避けられないように、動きを封じるのが先だ。
「脚を壊す!」
怪獣はその巨体と比較して腕は小さめだが、脚は太く大きい。あの巨体を支える為なら当然なんだが、その分非常に狙い易いぜ。
そしてそんだけ大きな脚だ。さっきみたいにひょいっと避けられるか?
―――ズドォーン!
避けられる筈が、無かった。ロケット弾は呆気ないくらい簡単に直撃したぜ。これで怪獣の脚は破壊できたか?
「やったか……いや、やってない」
マジか。ロケット弾の直撃を受けても怪獣の脚は健在だった。
ダメージは見受けられるが大した損傷じゃない。この怪獣、波動装甲無しでも素の防御力が高かったのか。
そりゃ腕と違って見るからに重装甲な脚だが、波動装甲無しでもロケット弾に耐え得る防御力とか、また反則的なポテンシャルかよ。
一体どんだけ高性能なんだよ。本当にこの怪獣1機で世界征服できるじゃねぇーのか?
そしてまたチェーンガンを集中砲火してくるし。ダイも全力疾走で逃げ回るが、このままじゃ埒が明かなねぇー。
ダメージが無い訳では無いが、ちんたらやってると怪獣のエネルギーが回復しちまうかもしれない。そんな事になったら今度こそ詰みだ。
そうなる前に何とかするっきゃねぇーぞ、ダイ。
「レーザー!」
ダイはロケットランチャーを捨てて、再度レーザーで床に転がる発煙弾を爆破し、煙を充満させて煙幕を作る。
取り敢えず目くらまし、これで銃座を立ててもう1度滑腔砲でも使えば今度こそ脚を破壊できるだろ。
だが、今度の煙幕は上手く決まらなかった。まさかの爆撃を受けたからだ。
―――ズドォーン!
「うぎゃあああああ!?」
何が起こったのか分からず横転するダイ。思わぬ爆撃にマントが少し焦げてしまい、せっかく充満させた煙幕は一瞬で吹き飛ばされてしまった。
振り返って見ると怪獣の大きな脚太腿の側面から、連装されたミサイルポッドが姿を見せえていた。
[地対地極超音速ミサイル]
み、ミサイルだと!? しかも名前からして滅茶苦茶えげつない類のミサイルっぽいし。
今更になってミサイルまで持ち出すとか冗談も大概にしろよ。
それにあのミサイル、連装の数が数十発単位である。まだまだ撃ってくるぞ、こりゃあ。
「くっそー!」
ダイは超速球手榴弾を使ってミサイルポッドの1つを破壊しようとしたけど、生憎狙った方のポッドは手榴弾が直撃する前に閉じてしまった。
流石に外装越しでは破壊できないか。しかも反対側のミサイルポッドがこれ幸いとばかりに撃って来やがるし。
「じゃ、ジャマー!」
躱し切れないと察したダイはジャマーを使ってミサイルの追尾機能を狂わせ、難を逃れた。
どうやらミサイルはジャマーで何とかなりそうだ。しかし煙幕を吹き飛ばせれたのは痛い。
煙幕は1度に多量の発煙弾を使う。前以てコンテナに詰めた発煙弾の数は把握しているから、残りがもう僅かしか無い事も分かっていた。
つまり、もう煙幕は作れないんだ。マジかぁー。
「だぁー!」
兎にも角にもダイはまた全力疾走で逃げ回る。それと同時に怪獣もチェーンガンをぶっ放してきた。
たまにミサイルも撃ってきたがこれはジャマーでやり過ごせる。しかし着弾すると爆発もするし爆煙や爆風の衝撃波もくるから地道にやり辛くなった。
それにまずはあの外装、滑腔砲でも無いと有効打は与えられそうに無いが、しかし滑腔砲の為に銃座を設置する余裕も無くなってしまったし。
こうなると携行武器で何とかするしかない。それもロケットランチャーより強力な武器で。
「あれだ、あれを使ってやる!」
ダイが全力疾走の中で新たに手にした武器は―――まさかの鉄パイプだった。
イングリッドと同じくらいの長さに、歩兵機の手で握るには少し大き目の太さ。そんな鉄パイプがダイの武器だった。
見るからにただの鉄パイプで何が出来るのかと思うかもしれないが、しかし侮る事無かれ。この鉄パイプはな、ただの鉄パイプじゃないんだぜ。
それこそこの鉄パイプはな、滑腔砲さえ上回る程の威力があるかもしれない秘密兵器なんだよ。
「くらえ、グレネードジャベリン!」
グレネードジャベリン、訳すと榴弾投げ槍。それがこの鉄パイプに付けた名称だった。
単純過ぎる名前の通り、この鉄パイプは爆薬を仕込んだ投擲用の武器だ。ゲッコーバイク、発煙弾に続く、ダイの秘密兵器第3弾だぜ。
ダイはそのグレネードジャベリンを槍投げよろしく投擲、怪獣の左脚目掛けて投擲した。
狙いは良い、投擲速度も申し分ない。そして脚を狙われたら怪獣は避けられない。直撃は確定だ。
―――ズドォオオオオオン!!
直撃と同時に凄まじい爆発音が鳴り響く。そりゃそうさ。何せ鉄パイプの中にはな、手榴弾を15個も詰め込んでいるんだからな。
きっかけはフロア探索の時に見つけた、壊れた水道管だった。何気なく拾ってみたんだが、その時に気付いたんだ。
この水道管のパイプ、手榴弾がすっぽり入るんじゃね?ってな。
試してみらた丁度入る大きさだったんだよ。それで考えたんだ、この鉄パイプに入れられるだけ手榴弾を入れて起爆させたら凄い爆発力になるんじゃねぇーかってな。
それでイングリッドの全長程の鉄パイプを切り取って、先を絞ってストッパーにしてから15個もの手榴弾を詰め込んだんだ。
それで末端の方の安全装置を外して地下5階の恐竜の死骸相手に当ててみる事にした。そしたらさぁ、何と言うか瞬間的に連鎖爆発を起こしてな、恐竜の死骸を木端微塵に吹っ飛ばしたんだよ。
凄まじい破壊力だった。滑腔砲でさえ貫通止まりだったのにグレネードジャベリンはそれを上回る絶大な破壊力があったんだ。
しかもこれは銃座を必要としない。これならチェーンガンの乱射の中でも使えるし、投げるだけなら隙も少ない。
あとはこれがどれ程怪獣に通用するか。波動装甲ならまだしも、ただの外装なら効かない訳ないだろ。
さぁ、どうだ?
「……やったぁ! 効いたぞ!」
効果は絶大だった。怪獣の脚は太腿が抉れていて、中のミサイル諸共破壊している。
恐るべきグレネードジャベリン、あの怪獣にやっとまともな1撃を与える事が出来たぜ。
全壊した訳では無いが、怪獣は破損した左脚を庇うように右側へ重心を傾けて、バランスを取りながら立っている。
その様子を見ただけでもこの損傷は怪獣にとって中々の痛手だったに違いない。それに、あの脚ではもう軽快には動ないだろ。
これは本当に勝てるかもしれない。グレネードジャベリンはまだまだあるし、それに……秘密兵器はまだ他にある。
覚悟しろよ、怪獣。ダイが1週間かけて用意した秘密兵器は、第5弾まであるんだぜ。
「よし、次だ!」
ダイはまた新しいグレネードジャベリンを拾いに走り出した。
次はもう片方の脚でも狙おう。両脚がやられれば怪獣とてあの巨体だ、立てなくなって倒れるかもしれない。そうなったら勝利は目前だぜ。
ダイは近くにあるグレネードジャベリンに目を付け、それを拾いに全力疾走する。
―――ズドォオオオオオン!!
「うぎゃあああああ!」
なっ! 爆発した!? ……いや、破壊されたのか!
怪獣がいつの間にか、チェーンガンの狙いをダイでは無く床に散らばっている武器に集中させていた。より厳密には武器の中のグレネードジャベリンに。
今までこんな事は無かったが、流石の怪獣もグレネードジャベリンは無視できないと察して先に対処しようと破壊し出したのか。
てかミサイルまで使って来たぞ。余程グレネードジャベリンが脅威だと見たな、怪獣。
「や、ヤバッ! 早く回収しないと!」
ああ、そうだ。早く回収しろ、ダイ。
唯一有効打を与えられるグレネードジャベリンを失ったら、もう本当に打つ手が無いぞ。怪獣に破壊される前に回収するんだ。
しかし怪獣も賢いものでな、ダイが回収しようとした先にグレネードジャベリンがあると分かるや否や、先回りするようにチェーンガンで破壊していく。
ヤバいぞヤバいぞヤバいぞ、このままじゃグレネードジャベリンが全てお釈迦になっちまう!?
「フックランチャー!」
ダイは腕のフックランチャーを駆使してグレネードジャベリンをやっと1本回収できた。ここまでしないとダメってか。
それからもグレネードジャベリンを必死で回収しようとするも、怪獣も必死になって破壊する地味なイタチごっこが続いた。描写で表現したくない光景だな、こりゃあ。
チェーンガンだけならまだしも、ミサイルまで撃ち切ってしまう勢いで連射するもんだから滅茶苦茶苦しめられたぞ。
しかも怪獣はグレネードジャベリンを破壊しながらも地味にダイを攻撃しつつあるから反撃する余裕もなかったし。
いっそグレネードジャベリンを諦めて超速球手榴弾でチェーンガンごと腕を破壊してしまうのも有りだったかもしれないんだが、しかしテンパっていたダイにそこまでの冷静な判断はできないってもんだ。
結局、怪獣のチェーンガンとミサイルを躱しならフックランチャーを駆使して回収できたグレネードジャベリンは、たったの3本だけだった。
これは地味に苦しいな。せっかくの秘密兵器があと3本で終わりと言うのは。
どうするか? この3本のグレネードジャベリンをどう怪獣に使うか?
残りの脚を破壊するか? ……いや、片脚を損壊させた時点で動きは封じている。わざわざもう1本使って両脚とも破壊する必要は無い。
それよりも先に波動砲を破壊しよう。エネルギーが回復する前に破壊しないと後々厄介だし。
「よし、まずは頭からだ!」
ダイは怪獣の横に回り込むように全力疾走する。脚を損壊した怪獣に素早く旋回する事はできない。
故に簡単に背後を取れるって寸法だ。背後を取られたら、どうにもできないだろ、怪獣。
「っ!? し、尻尾が!」
しかし背後に回り込むと、尻尾の先端がダイに狙いを定めていた。
まさか波動砲……いや、エネルギー切れでそれは使えない筈―――
「どわぁあああああ!?」
―――使ってきた。波動砲ではなく、尻尾そのものを。
長い尻尾を鞭のように振るって鈍器の如く叩きつけて来やがった。成る程、非常に関節の多い尻尾だ。波動砲が無くてもそれ自体が凶器となり得るのな。
その尻尾に殴り飛ばされ壁に叩きつけられたが、何とか体勢を持ち直して追撃のチェーンガンを躱す。
「ええい、もう1回だ!」
そして懲りずに回り込みの再チャレンジに挑んだ。
尻尾が来ると分かれば躱し様もある。次に同じ轍を踏まなければいいだけの事だ。
再び怪獣の背後に回り込む。そしたらまた尻尾が炸裂したが、しかし今度は躱す。
だが怪獣の尻尾はその一撃では終わらなかった。振るった尻尾を巧みに操り、続け様に叩きつけようと怒涛の連続攻撃を仕掛けてきたんだ。
「うわぁあああ! わぁ! わぁ! わぁ! わぁ! わぁ! コノヤロー!!」
これを躱しながら進むのはかなり神経をすり減らす作業だったが、それでもダイはこの連撃を潜り抜け、最後に超速球手榴弾で尻尾を攻撃した。
手榴弾は見事に直撃したが尻尾がまだ動いているところを見ると大した損傷ではないのだろう。だが、槍を投げる隙はできた。
グレネードジャベリンを構えた瞬間、ゆっくりと旋回する怪獣の横っ面をダイはバッチリ捉えている。
「これで終わりだぁ、怪獣ぅー!!」
グレネードジャベリン、投擲。
渾身の一撃たるグレネードジャベリンは、真っ直ぐ怪獣の横っ面に飛来し、その頬に命中―――直撃した。
―――ズドォオオオオオン!!
凄まじい爆発音と爆煙が舞い上がる。怪獣の頭は爆撃に飲まれてしまった。
あの太い脚をも破壊するとっておきのグレネードジャベリンだ。怪獣の頭も直撃したんなら破壊できた筈だろ。いや、そうに違いない。
「やったか……?」
爆煙が晴れる中、徐々に破壊された怪獣の顔が見えて……来ない?
いや、と言うか怪獣は―――
「む、無傷だと!?」
む、無傷だと!?
バカな! 怪獣の頭は、全くの無傷だった。
どうなっているんだ? いくら装甲が厚く硬いとしても無傷は有り得ないだろ。これじゃまるで……まるで、波動装甲?
「ま……まさか………………」
その結論に辿り着いた瞬間、怪獣は口の中から青紫色の炎のような光が灯し出した。
あれは、波動砲だ。
怪獣はもう波動砲が撃てる。そして波動装甲も機能している。つまり―――エネルギーが回復してしまったんだ!
怪獣のエネルギーが、こんなにも早く回復してしまうとか想定外にも程がある。あり得ないような回復速度の速さだ。
「ダメだ……これは勝てない」
ああ……これは勝てない。怪獣にはどうしたって、初めから勝ち目は無かったんだ。
怪獣観察日記その4
怪獣は45mの鈍重そうな巨体で、割と軽快に動くことができました。
波動装甲無しでも、素の防御力が非常に高いです。
脚の太腿の中にはミサイルが内装されていました。数えると、片方で24発もありました。
あと長い尻尾は鈍器としても凶悪的でした。
お終い。
『……大事な事を忘れてるぞ。エネルギー回復が早過ぎんじゃぁあああああ!!』




