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第56話 運命の決戦、ダイvs怪獣……ついにこの日がやってきたかぁ

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 あの通信から1週間あまり、ダイは色々準備をこしらえて、地下3階にやってきた。


 怪獣のいる地下3階に。


 改めて見るとやっぱりでけぇーな。イングリッドの5倍は悠にある、プレッシャーも生半可なものじゃない。まるで勝てる気がしないぜ。


 焚きつけた俺が言うのも何だけど、やっぱ止めた方がよかったかな?


 怪獣はただ巨大なだけじゃない。外装は四本脚のガトリングガンをものともしない強固な装甲で覆われてる。お馴染みのライフルでは歯が立たないのは確実だ。


 それに波動砲。奴の波動砲は桁違いの威力だ。当たれば木端微塵(こっぱみじん)は勿論、着弾の衝撃波だけでも致命傷を与える程のもの。それを無尽蔵に連射してくるんだから手に負えない。


 それに武器はそれだけじゃないだろう。出会い頭にスキャニングしてみたけど、表示されたのは頭頂部と両膝にある[レーザーCIWS]3基と、両手の爪[グラップルクロー]だけだった。


 波動砲が表示されないのはイングリッドのデータベースに無いからだとして、他が表示されないのも同様の理由か、或いは単に隠れて見えないだけか。


 (いず)れにしても警戒するに越したことはないが、一番警戒すべきはやっぱ波動砲だな。


 あれは最も危険だ。単純な威力だけなら、あれが怪獣の最強武器で間違いない。それを主力武装(メインウェッポン)にしている時点でチートなんだが。


 それに戦場(フィールド)も良く無い。ここは完全にダイのアウェイだ。


 怪獣がいる地下3階はだだっ広い空間で障害物も装飾も何も無い、真っ平な床が広がっているだけ。まぁ所々に波動砲が着弾した痕跡が残っているけど……。


 そんな何も無い空間は立端(たっぱ)のある怪獣にはさぞ見晴らしの良い事だろう。いくらでも狙い撃ちし放題って訳だ。


 逆に怪獣もいい的になるだろうけど、それは障害物が有ろうと無かろうとあの巨体では変わらないし。そもそもあの強固な外装を突破できなければ話にならない。


 つまるところ機体の性能差だけでなく、地の利においても怪獣の方が圧倒的優位って事だな。ははは……死ねってか?


 こっちのイングリッドには怪獣ような体躯も外装も、おまけにあんな反則級の波動砲も無い。フォルムも装甲も火力も全て平凡なものばかりだ。


 だが、機動力はある。ダイのイングリッドはSWEMブースター搭載型の高機動特化歩兵機だ、スピードでなら勝負できるか。怪獣は見るからに鈍重だろうし。


 あとは今の武装でどう怪獣に有効打を与えるかだ。ぶっちゃけそれが一番の問題だけどな。


 今のダイの武装は愛用のアサルトライフルにジャストサイズ化した波動シールドと裏に予備弾倉4つ、それに今やお馴染みとなった攻撃手榴弾3発だ。


 太腿の収納ラックには右にナイフ、左に手榴弾をもう1発。何ら代わり映えのしない、いつも通り過ぎる装備。


 唯一変わっているのは―――マントだった。


 今のイングリッドは、何故だかマントを付けていた。何処からか見つけてきたシートを括りつけてマントのように見立てているんだ。


 何でマントなのかは聞くな。ダイもダイなりに考えがあっての事だ。


 このマントがどう役に立つのかは敢えて保留と言う事にする。決して格好をつけただけの無駄なマントでは無い。断じて無いからな!


 これらの装備だけで圧倒的不利なこの状況をダイはどう戦うか。はっきり言って勝ち目は全く無いんだけどな。


 機体の性能差、地の利の不利、おまけに武装の乏しさ、どれをとってもダイに勝てる要素は何もないんだ。


 だが、それは今に始まった事じゃない。今までだってそれくらいの苦境に立たされていたんだ。そしてその度にダイは奇跡を起こして勝ち抜けてきた。


 だからダイ、今度も奇跡を起こして見せろ。どう転んでも怪獣との直接対決は避けられないんだからな。


 さぁ、長い前置きもこの辺にして、ダイと怪獣の運命の決戦をお披露目といこう。


 地下3階に堂々と入ってきたダイのイングリッドと、それを出迎えるように待ち構えていた怪獣が見合っていたのはほんの一瞬の事。


 先に動いたのはダイだった。まずはどうしても、これを試しておきたい。


「挨拶代わりだ。くらえ、ジャマー!」


 ジャマーブラストだ。頭無しから奪い取った超が付く強力な妨害電波照射装置。これで無人機を狩った数はもはや数え切れないぜ。


 大抵の無人機はこれをくらって金縛りにあったかの如く静止した。同じ無人機なら怪獣相手にだって―――


 ―――ガァー!


 怪獣だって……効く訳無いよな。大頭無しも普通に効かなかったし。


 次に動いたのは怪獣だった。定番の波動砲を撃とうと口を開く。その口の喉元には大きな砲門がバッチリ見えていた。


 しかし先に怪獣が動いたにも関わらず、先に仕掛けたのは後手に回ったダイの方だった。


「だったらコイツだ。受け取れぇー!」


 放ったのはダイが1ヶ月かけて培った大技、超速球手榴弾だ。


 初速は時速500kmに達する投球は運動エネルギーだけでも銃弾の威力がある。それに加えて至近距離での破壊力が高い攻撃手榴弾は運動エネルギーを乗せて更に威力が跳ね上がる。


 そして何よりも、この速さで投擲されると如何にCIWSの迎撃力を以ってしても対処できないと言う迎撃不可の技だと言う事。


 その超速球手榴弾を怪獣の口元に放った。装甲の分厚い出っ腹でさえ一撃で破壊したんだ。怪獣の外装だろうと有効打は与えられる筈だろ。


 ―――ズドォーン!


 直撃、とはいかなかった。残念な事に超速球手榴弾は迎撃されてしまったんだ、怪獣の頭頂部のレーザーCIWSに。


 迎撃不可とは言ったものの、実際この超速球手榴弾がそれだけの投球速度を出せる距離は限られている。今の怪獣との距離ではその速度を維持できなかった。


 まぁそれは予想通りだ。そして怪獣は何事もなかったかのように波動砲を撃ってくる、これも予想通り。だから―――


「逃げる!」


 ダイはマントを翻して逃げた。地下3階に入った出入口へ―――って、のっけから逃げんのかい!


 波動砲を躱すだけかと思ったら、そのまま逃げ出しやがったぞ、コイツ!?


「うぎゃあああああ!」


 着弾した波動砲の衝撃に煽られながらも、ダイは出入口へ一目散に走り出した。しかし、ここで逃がしてくれる程怪獣も甘くは無い。


 怪獣の波動砲は途轍もない威力でありながら割と連射が利く。その第二射でダイと出入口の間に着弾、衝撃に煽られて出入口に近付けさせなかった。


「うぎゃあああああ! ち、近付けない!?」


 更に怪獣の波動砲がダイを襲う。1発1発が着弾時に衝撃波を放ち、直撃は躱せても出入口から遠ざかるように誘導されていた。


 この怪獣、ダイを逃がすまいと戦術を立てて戦ってやがる。厄介な事をしてくれるな。


「ダメだ、プランAは失敗だ!」


 ダイの考えたプランAとは、最初の超速球手榴弾で有効打は与えようとするものだ。もしそれが失敗しても出入口を抜けてトンネル状の通路まで逃げ込めれば怪獣は追撃できない。


 その後でまた地下3階に戻って最初の一撃を仕掛けると言う、言うなればアプリゲームで言うところのリセマラ作戦だった。


 堂々とすると言った割にせこい作戦だな、ダイ。


 まぁ本気で怪獣を倒そうと言うのなら現実的な作戦ではあるけれども、しかし怪獣は2度も取り逃した経験上、今度こそは逃がさないようにと追い込みをかけていた。まさか無人機の分際で戦術を立てるとはな。


 これでプランAの目論見は失敗だ。しかしそれで終わるようなダイでも無いんだぜ、これがな。


「プランBだ!」


 ダイは怪獣の背後に回り込もうとする。広い空間ならそれも可能だし、あの巨体では方向転換もままならないだろう。


 だが怪獣の方向転換は思いの外速かった。しかも脚を動かさずに方向転換しやがったぞ。


 どうやら怪獣の脚の裏にはタイヤかキャタピラーでも付いているようだ。本当に弱点がねぇーな、この怪獣は。


 それに波動砲の連射を避けるのも滅茶苦茶苦しい。波動弾を避けるだけなら問題無いが、着弾時の衝撃波も考えて避けると信じられないくらいスタミナを消費する。


 やはり避けるだけでも怪獣相手では簡単にいかない。あっと言う間にスタミナ切れになりそうだ。


 ブーストを使えばある程度は楽になるのだが、怪獣との戦闘は持久戦になるだろうからな。なるべく温存できるなら温存しておきたい。


 それに、まだプランBがある。まずはそれの出方を見るのが先だ。


「行っけぇぇぇぇぇ!」


 怪獣を迂回するように全力疾走する中、ダイが逃げ込もうとした出入口から何かが飛び出してきた。


 パッと見たそれは牽引トレーラーのようだったが、しかしそうじゃない。それは無人機のバイクだった。


 乗り手無しで走る高速機動が売りの無人機バイク。それが2機、コンテナをワイヤーで牽引して地下3階に現れた。


 高速機動に特化したバイクはパワフルな走りをする。2機で走ればコンテナを牽引しても十分過ぎるスピードで走る事ができるのだ。


 そして何故無人機のバイクがコンテナを引いて入って来たのかと言うと、ダイが遠隔操作をしているからだ。


 イングリッドはゲッコーの他に、追加で2機までなら同時に遠隔操作が可能な事は以前から知っていた。


 それでなるべく損傷の少ないバイクを選んで遠隔操作できるように改造したのさ。


 この2ヶ月間、操縦技術と並行して整備技術も磨きをかけていたからな。バイクをイングリッドの遠隔操作下に置くよう改造する事は不可能ではなかった。


 よってバイクをゲッコーの如く遠隔操作して、トンネル状態の通路に待機しておいたんだ。ダイが怪獣の注意を引きつけている間に奇襲する為にな。


 名付けてゲッコーバイク、ダイが用意した秘密兵器だ。そして命名に拘らないのがダイの流儀だ。


 そのゲッコーバイクの侵入は怪獣にとっては予期せぬ事態だったろう。しかも迂回するダイを追って方向転換したから出入口は完全にノーマークだったしな。


 しかしそれでも怪獣の反応は早かった。猛スピードで突進してくるゲッコーバイクに首だけ振り向いて、直ぐさま波動砲を撃った。大した反応だぜ、全くよぉ。


 波動砲の直撃を受けたゲッコーバイクは2機まとめて呆気なく大破した。ついでに牽引していたコンテナも吹っ飛んで、中に入っていた武器も盛大にぶちまけた。


 そう、中の武器だ。ゲッコーバイクが運んでいたのは、大量の武器だった。


 コンテナ一杯に詰め込んだ武器は、どれもこれも高威力な物ばかり。持ち運びに難があったから、こう言った荒技で持ち込んだんだよ。


 これがプランB、高火力の武器を散りばめて滅多撃ちにする、シンプルだが堂々とした作戦だ。


「これでどうた!」


 ダイはここで再び超速球手榴弾を投げる。今度は迂回しつつ距離も詰めた。この距離なら迎撃は不可能だぜ。


 ―――ズドォーン!


 直撃した。うっしゃあ!


 あわよくばこれで波動砲を破壊できればと思ったが、流石にそこまではいかないな。怪獣は瞬時に口を閉じて波動砲を守ったんだ。


 しかも口を含めた顔全体も殆ど無傷だった。右頬が黒焦げになっていたが、目立った損傷は全く無い。流石に硬過ぎだろ、超速球手榴弾を受けて無傷とかありかよ。


 だったらもう、ゲッコーバイクに持って来させた武器しかない。超速球手榴弾で怪獣は怯んでいる。今の内に武器を取る。


「これだ!」


 床に散乱した武器の中からダイが選び取ったのは、あの因縁のある大砲だった。


 [2A58 125mm滑腔砲]


 それはこのプラントに来た当初、イングリッドに備わっていた波動砲付きの右腕が外れたの悲劇を起こした、あの滑腔砲だった。


 125mmの大口径は歩兵機が扱える火器の許容範囲を大幅に超えた破壊力がある。前回はこれの反動にやられて腕が外れたの悲劇にあっちまった。


 だが同じ轍は踏まない。今度は反動を緩和する為に簡易設置型の銃座を用意した。


 床に置いて足でスイッチを押せば簡単に設置できる非常にお手軽なタイプだ。持ち運びも比較的簡単に運べるからこれもコンテナに幾つか積んでおいた。


 簡易だが滑腔砲を問題なく撃てる事は事前に試し撃ちして証明済みだ。今度は外れたの悲劇じゃない、当たったの喜劇にしてくれる!


「くらいやがれ、怪獣!」


 ―――ズドォォォォォン!

怪獣観察日記その1


全長45m……だとおもったけど尻尾含めたら100mも有りそうでした。


頭頂部と膝小僧にレーザーCIWSを搭載してるけど、威力が眼帯野郎の眼帯レーザーより高威力ってどう?


手はグラップルクローと言う挟み切るクローだったけど、よく見たらクローに四本脚の引きちぎられた脚が引っかかってました……怖っ。


最後に足の裏にはタイヤかキャタピラーかが付いているようでした。


お終い。


『……小学生の絵日記かぁ!?』

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