第37話 やって来ましたリターンマッチ……したんじゃくて、されたんだがな
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ズドォォォォォン!!
冒頭から凄まじい爆発音で済まない。
これはダイが爆破を敢行した音だ。四本脚を量産していた隠しフロアの生産場を完膚無きまでに爆破を敢行した、な。
起動していない四本脚は武装が揃っていたんでな、シールドの裏にあった手榴弾を生産場に満遍なく撒き散らして、後は1つ爆発すれば全て誘爆する。
その結果、見事な大爆発となって生産場は木っ端微塵に吹っ飛んだよ。生産された無起動状態の四本脚は勿論、それを作っていた精密機械の数々も徹底的にぶっ壊してやった。
これでもう四本脚が増える事はない。他に生産場が無ければの話だけど。
ついでに四本脚を上の階にあげるエレベーターは丁度降りてくるところだったんでな、開く瞬間を見計らって爆破した。
だからエレベーターの中にいた頭無しは勿論、エレベーターそのものも破壊された。
どうせ馬鹿正直にエレベーターを使って上にあがるつもりは無かったしな。そんな事して万が一敵が待ち構えていたら詰むし。
だったらエレベーターを破壊した後で、自力でシャフトを登った方が寧ろ安全だろ。
爆風が治って静かになった頃に、通路で待機していたダイはまた隠しフロアの生産場へ入った。中は粉々に破壊され尽くして、見る影もないガラクタのフロアと化している。
「よし、まずはこれでよし」
次にエレベーターだ。ここも破壊されて中の籠が下に落ちている。
これは好都合だった。これでシャフトを登り易くなったし落ちた籠の天井が丁度足場になっている。
早速足場に乗って上の階を見上げた。高さから見て1階層分しか上がれないな。まぁ贅沢は言わんけど。
取り敢えず上に向けて両腕のフックランチャーを撃ち込み、シャフトの壁に足を付けてワイヤーを巻きながら上にあがる。
上の扉に差し掛かったところで一旦止まり、まずは扉を少し開けてその隙間を頭の上に乗せたゲッコーに覗かせて中の様子を確認する。
少し見ただけでも分かる、ここも生産場の1つだ。無人機は見当たらないしレーダーにも反応は無いから入っても大丈夫だろう。
ダイは扉をこじ開けて中へ入った。特に待ち伏せとか罠とかは無く、無事に中へ入れたけど油断はしない。まだ何かあるかもしれないしな。
ここも何かを生産しているみたいだが、具体的に何を生産していたのかパッと見の印象では分からない細かなパーツばかりだけど。
そして下から運ばれた30機程の四本脚の姿は無かった。メインコンピューターを搭載されて、このプラントに解き放たれたのだろうか。
30機かぁ、地味に多い数だよな。
「ここも爆破するか」
だな、また無人機が増殖するかもしれないし今の内にぶっ壊しておくに限る。
その前に事前調査はしておくけど。案外何か掘出し物があったりするかもしれないしな。
事前調査は何事にも大事だぜ。
「……これはメインコンピューターか。こっちはジャマーブラスト、FCSもある。電子機器を主に作っているのか」
フロアによって作っている物が決まっているのかもしれないな。
それから色々調査したけど目新しいものは特に無く、これと言ってプラントの秘密に迫る進展とかも全く無かった。
まぁそんなもんだろうけどな。そう毎回毎回何かしらの発見があってたまるかってんだ。
じゃあ調査結果は特に無しと言う訳で、爆破するか。
手榴弾はまだ下の階に幾つも残してある。それを持って来てまた満遍なくバラ撒き木っ端微塵に爆破してやるか。
あと爆破する際は巻き添えにならないようにしないと。下の階層では開けた大穴から通路に出てやり過ごしたし、ここでも通路に出てやり過ごすか。
「……あれ?」
ふと思ったんだが、ここ出入口が……無いんじゃないか?
そう言えば下の階も。ダイが適当に大穴を開けてたまたま見つけただけだったよな。それ以外に出入口は……無かったぞ。
思い返したら下の階は通路の行き止まりを爆破して見つけたんだ。しかも行き止まりだった壁は二重構造になっていた。
まるで見つからないようにひっそりと建設されたかのよう。しかも後から新設したみたいだし、そのせいで通路が行き止まり状に塞がったのかもしれない。
ひょっとしてこれ、ヤバいんじゃね? ここはかつて俺が調査に来たプラントだか、その当時よりも何かヤバい感じになってるぞ。いや、マジで。
俺がここに来た時は普通に従業員とかいたし、無人機なんざ徘徊していなかった。おそらくこんな隠しフロアみたいなところも無かったと思う。
「……いやいやいや、おかしいだろ。少なくともここには30機程の四本脚が運び込まれたんだ。そいつらがプラントの何処かへ解き放たれたのなら、その為の出入口がある筈だろ」
おおっ、中々鋭いじゃねぇーか。
確かにあの30機の四本脚が何処かに隠れられるとは思えないし、間違い無くこの隠しフロアの外に出たんだろう。
ならその出入口が何処かにある筈、とにかく徹底的に調べるしかないな。
とにかく徹底的に、とにかく徹底的に……ヤベェ、マジで見つからねぇ。
まさか本当に何も見つからねぇーパターンかもしれねぇーぞ。手探りで調べても何も無いし、レーダーで見ても隠し通路みたいなものもありゃしない。
じゃあ四本脚は何処へ消えた? それこそまるで、ここの従業員みたく忽然と姿を消したかのようなじゃないか。
「一体どうなっているんだ、このフロア……いやプラントそのものは?」
こりゃあ俺が想像してたよりも相当根の深い秘密が隠されているみたいだ。覚悟を決め直す必要がありそうだな。
さてどうしたものか、どこもかしも密閉されたとあっては手詰まりだしな。
いっそまた爆破で穴を空けるか? 何かしらの突破口になるかもしれないし。
「仕方ない、やるか」
手始めにその辺の壁をぶっ壊すか。何処を壊しても変わらないだろうし。
ダイは壁に近づいて排気口を見つけた。取り敢えず手元にある手榴弾を1つ、その排気口にねじ込んで爆破してみるか。
そう考えていた時だった。
―――グゥゥゥゥゥン
「な、なんだ!?」
突然の異様な機械音にダイは警戒する。
何が起こったのか、直ぐに周囲を見回すが何も異変は無い。音だけだ。
一体何の音なのか、実は冷静に見ると直ぐに分かったんだ。
壁だ。
壁が、動いていたんだ。開いたと言うべきか。
横幅に長い、フロアの端から端まで続いている壁が動いていたんだ。天井に吸い込まれるように上がっていってな。
隠し扉……だとしてとこの大きさは反則だろ。
しかも開いた先に歩兵機が待ち構えているとか、不意打ちからのフルボッコだし。
「な、が……」
油断はしていた。だがレーダーは小まめにチェックしていた、眼前の壁が開いた先の歩兵機が立っているにも関わらずレーダーには未だ反応がない。
相手の歩兵機はジャマーか何かを使っている。そう察した時、敵は頭無しじゃ無いのかと思ったがそうじゃなかった。
何故ならそこに立っていた歩兵機をダイは知っていた。それも目の当たりにした瞬間、声も出せなくなるような相手だ。
『―――――――――』
歩兵機は壁が開く前からこちらに気付いていたらしい。しかもダイには理解できない言語だったが、敵はたしかに言葉を発していた。
つまり、有人機だ。人が乗っている。
このプラントに来て初めて会えた人、でもダイは全く嬉しくなかった。
何故ならその歩兵機は―――
「が……眼帯野郎!?」
その歩兵機は、眼帯野郎だったからだ。
イングリッドよりも大柄な体格でプロレスラーを彷彿とさせる、左眼に掛かったバイザーがまるで眼帯のような事から眼帯野郎と呼んだ歩兵機だ。
かつて同級生の日向ハヤセを誘拐し、ダイに戦闘を挑んできた謎の歩兵機。ダイの初の歩兵機戦の相手だ。
『―――その声、最上ダイかっ!?』
わざわざダイの言語に合わせてくれた。親切なのかそれとも会話が成り立たないと不都合があるのか。……後者だな、絶対。
「ど、どうしてお前がここに……!?」
『それはこっちの台詞だ! クロステーゼに掻っ攫われて行方を眩ましたと聞いていたが、まさかこのプラントに身を潜めていたのか。クソがぁ!』
眼帯は悪態を吐くと背中に背負っていたハンマーを手に取った。そして容赦なくダイに叩きつける。
しかしダイもそれくらい躱せた。バックステップ後退で回避し、今さっき使おうとしていた手榴弾を豪速球で投げてやる。
眼帯野郎は鎖骨部位に内装したレーザーCIWSで迎撃したが、距離が近過ぎたせいで爆風をまともに受けて怯んだ。
『き、貴様ぁー!』
その隙を逃さないとばかりに、ダイはジャマーをブラスト照射した。これで奴の動きを―――
『小癪な真似をしてんじゃねぇーぞ!!』
―――止められなかった。
そうだった。有人機相手じゃ機能障害が関の山、無人機と違って普通に動けるんだった。
「うぎゃあー!?」
ダイは直ぐに飛び退いて眼帯野郎のハンマーをギリギリで躱す。原始的な武器だが当たったら一溜まりも無いだろうし。
それから連続でハンマーを振って来たが、ダイはそれも回避、回避回避と連続で回避していった。
『ちぃっ、ちょこまかちょこまかと! 往生際が悪いぞ、ゴラァ!!』
こんな所で往生してたまるかぁ!
ダイは回避しながらも体勢を立て直してライフルを抜いた。そして迷わず銃撃する。
以前は波動砲を霧散させる装置を左腕に装備していたが、実弾なら霧散は出来ない筈。
と思ったら眼帯野郎は左腕に装備していたシールドで防ぎやがった。シールドって、前はそんな物装備してなかっただろ。
『ちょっとは腕を上げたようだがな。おい小僧、波動砲はどうした?』
―――ギクリッ
眼帯野郎、このイングリッドが波動砲搭載型と同じ機種だと見抜いてやがった。随分風変わりした筈なのにな。
だったら察してくれてもいいと思うんだけどな。風変わりして波動砲が無くなってるなら、何があったか大体想像は着くだろ。
「は……外れた」
思い出したくない悲劇だぜ。
『はっ、この俺に波動砲も無しで挑んで来るとは……なめられたもんだなぁ!』
いや、挑むつもり無いし。そっちから襲って来たんだし。
勝手に逆上した眼帯野郎はまたハンマーを振り下ろしてきた。慣れてきたダイはこれもギリギリで躱すが―――
―――ズドォーン!
「なぁぁぁぁぁ!?」
爆発した。
ハンマーが床に叩きつけられた瞬間爆発した。バカな。
割と至近距離で爆風を受けたダイは衝撃のあまり吹っ飛ばされる。そして爆発した筈のハンマーは無傷のままだった。バカなぁ。
眼帯野郎はハンマーで左肩を叩く謎の行動をした後、再びダイを殴りに来た。
また爆発すると思って大きく飛び退いたが、ハンマーは空を切っただけで爆発はしなかった。どうやら何かに叩きつけてないと爆発はしないらしい。
だが逆にそれが良くない。
重量のある武器は威力がある分隙が大きい。だから躱されて隙をつかれるのが定番なんだが、これが爆発するリスクが伴うと隙が無くなってしまう。
ギリギリで躱すと爆風を受ける羽目になるし、大きく避けたら爆発させずに第ニ打を悠々と仕掛けられる。どうしろって言うんだよ。
しかも避けてる最中にダイはスキャニングで見てしまった。
[HDM48 マインハンマー]
マインって……地雷かよ!?
詳細を調べたら指向性の爆発地雷をハンマーの打撃部分に設置するものだった。指向性だからハンマー自体は破壊されないし、叩いた相手しか被害を被らない。
「地雷って踏む物じゃ……!?」
『誰が決めたぁ!?』
「うぎゃあ!」
また至近距離で爆発させられた。直撃ではないがこの衝撃はかなりきく。
「うぐっ」
何とか受け身を取るが、眼帯野郎は既にハンマーに地雷を設置し直していた。ハンマーで肩を叩く謎の動作を行なって。
よく見たら背中の左側に地雷ポッドがあった。肩を叩くように見えたのはポッドを叩いて地雷を付けていたんだ。
なんて手軽な。しかも地雷はまだありそう、打ち止め狙いは難しいな。
あのハンマー、まさかこんなにヤバい武器だったとは。まともに受けたら終わり、まともに受けなくても爆風がくる万能性。
これは簡単にはいかねぇーぞ。どうする、ダイ?
普通の地雷ならハンマーも破砕され兼ねないけど、この地雷は指向性の特殊な物だから設置面には多少の衝撃が伴うだけで爆発力はほぼ打撃面のみにかかる。でもこれって実は障害物除去用の作業工具で武器じゃないんだよな。……なんてものを使ってくるんだよ、眼帯野郎。




