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第34話 無人機はどこからやってくるのだろう……月から? んな訳あるか

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「ヤバ……ヤバ……ヤバ……ヤバ……ヤバ……ヤバ……ヤバ……ヤバ……ヤバ……ヤバ……ヤバ……ヤバ……ヤバ……ヤバ……ヤバ……」


 衝撃の事実に気付いたダイは壊れたレコードのように同じ事を呟き続けていた。


 てかダイが壊れた。


 食料があと1食しか残っていないと言う絶望的事実に直面させられて、何と言うかもうお先真っ暗となったからな。


「ヤバ……ヤバ……ヤバ……ヤバ……ヤバ……ヤバ……ヤバ……ヤバ……ヤバ……ヤバ……ヤバ……ヤバ……ヤバ……ヤバ……ヤバ……」


 食料が確実にあるのは地下4階、そこまでの道のりはまだまだ長い。


 道中でカロリーメイトなる何かを見つけられるかもしれないが、あまり期待しない方がいいな。


 それくらいだったら地下4階を目指すべきだが、あと1食の食料でどうにかなるだろうか? ……無理だろ。


「ヤバ……ヤバ……ヤバ……ヤバ……ヤバ……ヤバ……ヤバ……ヤバ……ヤバ……ヤバ……ヤバ……ヤバ……ヤバ……ヤバ……ヤバ……」


 方法があるとしたら地下7階の大頭無しがいたフロアのエレベーターだ。厳密にはエレベーターの通路。


 あのエレベーターの通路は下の地下8階に繋がっているが、上も繋がっている様子だった。


 もし地下4階まで繋がっていれば……いや、4階とは言わずとも地下5階まで行ければ大幅なショートカットになる。


 そこに期待するしかねぇか。しかし不安要素もある。


「ヤバ……ヤバ……ヤバ……ヤバ……ヤバ……ヤバ……ヤバ……ヤバ……ヤバ……ヤバ……ヤバ……ヤバ……ヤバ……ヤバ……ヤバ……」


 いやダイの状態じゃなくてな。ほら、大頭無しみたいな中ボスみたいな奴が現れるとも限らんじゃん。


 食料が無いって事はダイ自身のエネルギーが無いって事だ。そんな状態で中ボスと戦える訳が無いし。


 中ボスに限らず、無人機はそこかしこにうじゃうじゃいる。この地下8階にまで湧いて出てくるくらいだしな。


 それらを対処していくだけでも相当な体力を使う事になる。この空腹に耐えねばならん状況の中でな。


 ……いやこれ、どう考えても詰んでるよな。


「ヤバ……ヤバ……ヤバ……ヤバ……ああああああああああああああ!!」


 お、やっと復活したか? それともぶっ壊れたか?


「あああああ! もう考えたって仕方ねぇー! とにかく上まで行ってやる!!」


 ……ああ、そう言えばこれ、やけくそになるパターンだった。


 しかしやけくそになったダイは中々やるようになる。眠気も忘れてな。


 言っておくが本来らな睡眠を取る時間だったんだぜ。しかし食料のストックが無いと分かって一気に吹っ飛んだ、これは寝てる場合じゃねぇーってな。


 ダイは生まれ変わったイングリッドの装備を整えて直ぐに拠点を出た。


 取り敢えず目指すはエレベーターの通路があるフロアだ。


 拠点からフロアまでの通路以外は落盤で幾つも塞いだからもう四本脚とかが現れることはない―――と言ってたそばから出て来やがった!?


「邪魔だぁー!」


 しかしダイは四本脚が現れた異変に気付かずジャマーを使って動き止めると、接近してナイフで一突きにして撃破。


 手際はいいが何故また湧いて出てきた気にならんのか? いや気にする余裕がないのか。


 でも理由は直ぐに分かったけどな。落盤で塞いだ筈の通路が開通していたんだ。マジかぁ……。


 結構幾つも塞いだ筈なんだが、四本脚どもがコツコツと通路を開通していったらしい。コイツら手間がかかる事をしてからに。


 まぁいい、とにかく今はエレベーターのフロアに向かうべきだ。


「よしっ……て、わぎゃあああああ!! なんじゃこりゃあああああ!?」


 辿り着いたフロアはどういう訳か四本脚がいた。それも1機や2機じゃない、フロアを埋め尽くさんばかりの数だ。


 嫌な思い出がよみ返るぜ。絶体絶命の攻防戦……。


 だがこれだけの数の四本脚が一体どうして―――んがぁぁぁぁぁ! エレベーターの通路からだ!!


 この四本脚ども地下7階のフロアからエレベーターの通路を使って降りて来やがるよ。ダイがメンテナンスドックを持ち運ぶ為にわざわざ作った足場を使ってだ。


 しかも現在進行形でな。未だに上から降りて来ているんだ、四本脚は。


 どうするよ、これ? 戦うか?


「……回れぇ右、ずらかれぇぇぇぇぇ!!」


 うむ、賢明な判断だ。


 ダイのエネルギー事情を鑑みれば体力を使う戦闘は少しでも避けたいところだからな。


 しかしそうなると拠点に戻れば追い詰められて、またあの攻防戦になる。それだけは絶対にごめんだ、特に今の状況ではな。


 なら残すは1つ、四本脚が開通した通路を通ってトンネル状の通路から上へ行くしかない。


 寧ろこっちの方が少数を相手にするだけで済みそうだ。選択の余地無し、猛ダッシュだ。


 しかし随分速くなった筈の猛ダッシュだが、ブースターをオフにしてると機重が増したせいで元の猛ダッシュに戻っている。


 いざとなったらブースターを使うが、今のところはオフのままで良いと判断、今はダイの脚力だけで走り抜ける。


 当然後ろから四本脚が追ってきたが、構わず猛ダッシュだ。逃げ切れ、ダイ。


 それにもうヘマはしない。さっきはやけになって少しばかり暴走しちまったが、冷静になればもう四本脚に遅れを取る事は無いんだ。


 何せ今のイングリッドはレーダーもセンサーも復活してるし、ジャマーだってある。


 猛ダッシュで通路を進んでも向かってくる四本脚は予め分かるしジャマーで先制すればシールド防御も意味がないから、動きを止めて簡単に撃破できる。


 たまにフロアで3、4機編成の四本脚もいたけどジャマーを駆使したら後はライフルで瞬殺できるまでに到った。


 因みにエレベーターの通路から追ってきた四本脚は今も追って来ている。そろそろやるか。


 ―――ポイッ……ズドォーン!


 手榴弾を1つ投げてやった。四本脚はレーザーで迎撃したが、爆発の衝撃で落盤を引き起こす事に成功。これで暫くは追ってこれまい。


 レーダーで見てもかなりの数がやられているのが確認できたし、本当に大丈夫そうだ。


 まぁやられた代わりに増援がぞろぞろやって来たけど。


 落盤で塞いだ通路が開通する前に逃げるが勝ちだ。トンネル状の通路はもうすぐそこ、急げぇー!


 ……しかし、しかしだ。今更だけどコイツら、一体どこから湧いて出て来るんだろうな。


 割と余裕が出たダイも考えずにはいられなくなった。四本脚を初めとした無人機どもは一体どこから来るのかと。


 地下8階には元々そんなにいなかったし地下7階は多分全滅させた筈だ。そうでないと困る、あの絶体絶命の攻防戦で200機くらい撃破したんだからな。


 ならこの湧いて出た奴らは、普通に考えると地下6階より上から来たと考えるのが正しいんだが、しかしどうにも解せん。


 地下6階から来たとするなら何故絶体絶命の攻防戦では無く今頃なのか? 無人機側からするとタイミングが悪過ぎるだろ。


 なら他にどう考える? どこからやって来たとしても結局は同じ疑問に行き当たるからなぁ。ひょっとして、やって来る発想自体が間違いなのか?


 やって来る訳では無いのだとしたら他に―――


「ああっ、しまったぁー!」


 と、いつの間にか地下7階まで上がって来ていて、気付けば大頭無しのいたフロアの手前で出っ腹8機とバトったフロア、それに続く通路まで来ていた。


 けどここの通路って自爆した出っ腹のせいで塞がってしまってたんだ。これは開通させるのは無理だな。


「仕方ない、迂回しよう」


 まぁそれしか無いよな。


 この先のフロアにはもう1つ通路があった。迂回してその通路に出られればフロアに辿り着けるし、その先のエレベーターのあるフロアにも行ける。


 しかし迂回となると未開地だ。この先はどうなるか分からんからな。かなりの戦闘になるのは間違いないだろう。


 ええい、考えてる暇は無い。とにかく行動あるのみだ。






 それからダイはかなり歩き回った末に迷い果てていた。


 ちょろちょろと現れる3、4機編成の四本脚やたまに単独の出っ腹も相手にしたけど、語る程の事は特に起こらず順調に撃破していっては先に進んでいた。


 ところが目的のフロアへ迂回するだけのつもりが物凄い遠回りに、モニターの移動軌跡を見ても自分が今どこにいるのか分からなくなってしまう時がある。


 ―――グサッ


 また出くわした四本脚の最後の1機にナイフを刺す。これで何機目だろうか?


 そこまでぞろぞろといる訳では無いけど彷徨い続けているせいで無駄に遭遇する機会が多いこと。


 戦闘は余裕で勝てるけどその度にダイの体力が奪われていくし、それに腹の虫がうるさいんだ。早く飯を食わせろぉぉぉ……と。


 このままではいかん、早急になんとかせねば。


 いっそ壁をぶち破るか? 手榴弾とか使って壁を吹っ飛ばして、それで強引に通路を作るか?


「……有りかな」


 そこは無しだろって釘を刺すところなんだろうけど、正直俺も有りかと思っている。


 このまま無駄に腹をすかして彷徨い続けるよりも多少強引な手に打って出るのも悪くないだろうからな。


 センサーを使えば壁の薄いところ分厚いところが直ぐに分かる。手始めにこの行き止まりの壁でも壊してみるか。


 てか、なんで通路に行き止まりがあるんだよ。ここのプラントの設計はどうなっているんだか。


「まぁいいや。やろ」


 ―――ポイッ……ズドォーン!


 ダイは少し離れてシールドで爆風から身を隠した。


 爆風が治まると、行き止まりの壁は大きなひび割れを起こしている。イングリッドの蹴りで十分ぐらついたから何度も蹴って無理矢理穴を空けた。


 そしたらまた壁だったけど。


「……二重構造かよ」


 なんで行き止まりを二重構造にするんだよ? それくらいだったら行き止まりの通路を丸々塞いでおけよ。


 仕方なくもう一個手榴弾を使う羽目になった。取り敢えずそこの死骸から今の内に補助しておかないとな。


 ―――ポイッ……ズドォーン!


 そしてまた手榴弾で壁を爆破した。しかも今度の壁は脆いみたいで、手榴弾の爆発1つで綺麗に大穴が空いてくれたよ。


 そしたらなんと四本脚が出て来たよ―――って、ええ!?


「よ、四本脚!?」


 ダイは直ぐにライフルを構えたが、しかし引き金を引く前に異変に気付いた。


 四本脚の様子がおかしい。


 空いた穴の先には四本脚がズラリと並んでいて、その数はあの攻防戦を彷彿する(おびただ)しい数が、綺麗に整列して並んでいた。


 だが、(いず)れの四本脚もダイに見向きもしない。それどころか動く様子も無い。


 まるで機能停止しているかのよう。いや、実際機能停止しているんだ。何故ならコイツら、レーダーに一切反応しないから。


 ダイは警戒しながら四本脚のいる大穴の中へ入った。


 そして分かったんだ。四本脚が機能停止したんじゃない、そもそもコイツらは機能していないんだ。今はまだ、な。


 背中に深い窪みがあった。これは以前四本脚を分解して分かったメインコンピュータースを搭載するペースだ。


 そのメインコンピューターがこれらの四本脚には搭載されていない。つまり無人機の頭脳が無い状態だ。


 分解された訳じゃない、まだ搭載されてないだけ。ここにある四本目は未完成な状態だ。それはここのフロアを見渡せば直ぐにピンと来た。


 ()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()


「四本脚は……いや無人機は、ここで作られていたのか」


 なるほど、通りでいくら倒しても湧いてくる訳だ。無人機は階層の中で製造されていたんだからな。


 製造機器は今でも動き続けている。割と音を立てずに絶え間無く続く流れ作業が延々と行われていた。


 四本脚の脚やら腕やらを部品一つ一つから作り、それらを組み上げて四本脚の未完成体を幾つも作られていき、徐々に数が増えていく。


 人がいないのに機械だけが勝手に動いているとはな。それとも誰かが動かしているのか? まさか無人機が動かしている? あり得なくは……ないか。


 だとしても不自然だ。ここの四本脚は機体も仕上がっているし装備も整っている。なのにメインコンピューターだけが搭載されていない。


 まるでこのプラントにあるイングリッドのようだ。コックピットだけが不自然になくなっているのと同じように、メインコンピューターだけがない状態。


 これはただの偶然か? いや、とても偶然だとは思えない。だとしたらこれは―――


「……マシナロイド計画」


 ふと、ダイはそんなことを呟いた。


 その途端何を思い立ったのかイングリッドをリクライニングモードにした。これでは操縦はできんぞ。


 次にした事はしまっておいた資料を手に取る事だった。この地下7階のフロアで見つけ、そこかしこに落ちていた、[Project MACHINEROID]と書かれた資料。


 直訳するとそれはプロジェクト・マシナロイド、マシナロイド計画と読めた。


「思い出した……そうだ、これってそう言う事だったんだ!」


 思い出した。……つまり()()()()()()()()()()


 2年以上前にこのプラントで計画されていた事を、ダイはここに来る前から知っていた。


 何故ならダイは―――

それより飯ぃー。

早く飯を食わせろー。

もうまる一日何も食って無いんだぞぉー。


……と、腹の虫は訴えていた。

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