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第23話 絶対絶命の攻防戦、奇襲をやられたらやり返す。倍返しだ!!

 システム補助、エラー中


 そろそろこの表示なんとかしてほしい。


 エラー中でシステム補助が使えないとか分かり切ってる事を見せつけられても憂鬱になるだけなんだけど。


 そしてシステム補助が使えない現状で際限なくやってくる四本脚や煙突人間相手に勇ましい奮闘を見せたダイは見事だと言える。


 だがそれでもシステム補助が無いと殲滅力は落ちるし、四本脚どもが立て直したら逃げ隠れするしか無くなる。


 故にこの奮闘が終盤戦にどれだけ貢献できるかだったんだが、まさかこの時奴が真上にいるとは思わないよな。


「っ!?」


 ダイは足元に陰りが生じた事で何かヤバいと察しってその場から飛び退いた。


 結局、遅かったけどな。


 真上からの直接攻撃と言う奇襲にイングリッドは痛手を負わされた。コックピット周りの胴体は無事だったが、左腕と左脚がごっそり抉り取られてしまったんだ。


 左半身が殆ど無くなった状態、それはこの攻防戦で最大のダメージだった。


 それも真上から直接仕掛けてくる奇襲戦法、そんな奇抜な手段に打って出たのはどいつかと言うと


「あ、頭無し!?」


 そいつは頭無しだった。


 何故頭無しが上から降ってきたのか、まさか飛行能力があるとは思えないぞ。こいつらは所詮電子戦特化型だし。


 だがそれも上を見れば分かる事だった。頭無しは両手の爪を使って天井を掴み、ぶら下がりながら移動していたんだ。まるで猿のようにな。


 なんて手間のかかる事を……。


 そもそもシステム補助が使えないのは頭無しのジャマーのせいだが、その頭無しは全滅したと思っていた。


 だがコンテナと頭無しの残骸の山の中にまだ生き残りがいるからシステム補助が使えないものだとばかり思っていたが、実際はそうじゃない。


 そもそも残骸の山は煙突人間の波動砲で吹っ飛ばされたんだ。生き残りがいてもその時にやられていたと気付くべきだろう。


 つまり今の今までシステム補助が使えなかったのは、頭無しの別働隊がいたからなんだ。それも天井に。


 その数、約10機。


 奇襲を仕掛けてきた奴に続いて天井から次々に下へ降りてくる。


 ダイが高台に陣取ったままなら、そのまま天井を伝って奇襲するつもりだったんだろうな。ダイは下にいる四本脚に集中していたから。


 そしてその奇襲は見事に成功した訳だ。イングリッドの左腕と左脚をごっそり持って行かれたのはこの局面だと非常に痛い。


 それだけじゃない。四本脚も煙突人間も立て直してしまった。既にガトリングガンを撃ってくる奴もいる。


「ヤバっ!」


 ダイは右腕と右脚の力だけで跳躍、その後片足ケンケンでコンテナまで逃げる。システム補助がない状態でやるには、相当神経をすり減らす作業だ。


 だがその途端に四本脚のガトリングガンが火を噴き、イングリッドの右脚を破壊しやがった。


「うぎゃぁっ、んにゃろう!」


 それでもダイはめげずに右腕で床を思いっきり叩いて跳んで、コンテナまで辿り着く事ができた。


 そこから必死に這ってコンテナの影に隠れたが、そこからは煙突人間の波動砲が襲ってくる。


 数が減ったから単発発射になったが、奴の波動砲は1発でも驚異的な破壊力がある。コンテナ1つでは防ぎ切れない。


 その結果、波動砲は容赦なくコンテナを破壊し、その後ろに隠れていたダイのイングリッドも見事に吹っ飛ばされて床に叩きつけられた。


 それを見計らっていたように、今度は四本脚が待ち構えていた。


 床に叩きつけられたダイのイングリッドに四本脚は容赦なくガトリングガンを浴びせる。これはもう回避のしようがなかった。


 なす術も無く徹底的にガトリングガンを浴びせられたイングリッドは見るも無惨な姿に変わり果ててしまう。


 左腕に両脚がなくなった状態にも関わらず、外装は全て剥げてしまって残ってはいない。


 剥き出しになったフレームもズタボロで原型が分からなくなるまで破壊されていた。どう考えてもこれは大破している、亡骸そのものだった。


「はぁ……はぁ……ひぃぃぃ」


 その様子を()()()()()()()()()()はゾッとするしかない。


 傍目から。そう、ダイもイングリッドもまだやられてはいない。しぶとく生き残っていた。


 大破したのはコンテナの中にあったコックピットの無いイングリッドだ。こいつを囮に床へ叩きつけるように転がしておいた。


 ダイの乗っているイングリッドは破壊されたコンテナと一緒に吹っ飛ばされて、床に落ちる際にその下へ隠れる事ができて、そして今も身を潜めているんだ。


 破壊されたコンテナがうまくカモフラージュになってくれなかったらヤバかったな。でないと直ぐにバレて同じように蜂の巣にされていた事だろう。


 囮にしたイングリッドからは予め左腕と両脚を拝借しておいた。右腕1本あればそれくらいできるからな。


 それらを抱えたまま吹っ飛ばされた後、奴らが囮を容赦なく銃撃してる間に全てのパーツ交換させてもらった。これで五体満足に復活だ。


 一方で四本脚どもはダイがやられたと思っているだろう。このままここで隠れているのは良くない、この隙にこの場から撤退すべきだ。


 ダイは身を潜めつつも、四本脚に気付かれないよう慎重に移動する。


 だが、その時見つけてしまった。高台で煙突人間から波動砲を撃たれた時、下に散らばった弾帯玉手榴弾の1つを。


 確かに今ならダイがやられたと思っているから撤退するのに最高のタイミングではあった。


 だが、逆に言うなら奇襲を仕掛ける絶好のタイミングでもある訳だ。


 撤退か奇襲か。お前はどちらを選ぶ、ダイ?


「…………」


 ―――ズドシャァァァァァン!!


 選んだのは奇襲だった。仕返しとばかりに弾帯玉手榴弾を四本脚どもに投げ込んでやったんだ。


 先程と変わらない見事な豪速球で投げ込まれた弾帯玉手榴弾は密集した四本脚や頭無し、煙突人間のど真ん中で爆発し、多大な被害をもたらした。


 爆撃の近くにいた奴らは勿論大破し、遠くにいた奴らも損傷したり怯んだりして動けなくなっている。


「ここで一気に決める!」


 そしてダイは機能停止していた四本脚からガトリングガンを奪い取って別のコンテナの上に仁王立ちしていた。


 直後に乱射されたガトリングガンの凄まじい殲滅力が四本脚や頭無しを薙ぎ倒すように撃破していく。


 特に煙突人間、今の弾帯玉手榴弾で何機かがやられ、後はもう数える程度しか残っていない。


 ダイはその残りを集中的に狙い、煙突人間を真っ先に殲滅した。これで波動砲はもう来ないぜ!


 ガトリングガンの殲滅力で煙突人間は全滅できた。後は四本脚と何機か残ってる頭無しだけ。


 しかしガトリングガンもイングリッドの腕で撃てば(いず)れ肩が外れる。


 敢えてガトリングガンを自ら持って撃つのは、コンテナの上と言う絶好の射撃ポイントで使いたかったからだ。


 多少リスクを背負ってでも一番厄介な煙突人間をここで全滅させるにはそれしかなかったからな。


 結果は重畳だ。煙突人間は全滅できたし四本脚もかなりの数を殲滅できた。大した戦果だぜ。


 だが四本脚もまた撃ち返してきた。流石にこのまま撃ち合いになるのはマズいと判断して一旦コンテナの影に身を隠す。


 さて、ここからどうするか。


 向こうはシールドも持っているから撃ち合いになれば四本脚に分がある。しかも向こうは数の暴力もあるしな。


 先に頭無しから殲滅するか? システム補助が復活したら色々手数も増えるだろうし。


 と、そんな時こっちに近付いてくる足音を耳で察知。これは……四本脚か。


 普通なら慌てて逃げるところだが、ダイは逃げずに四本脚がコンテナの両サイドから現れるタイミングで手榴弾を投げてやった。


 普通の攻撃手榴弾だが、わざわざ接近してくる奴にはこれで十分だ。


 結果、両サイドから来た四本脚は簡単に倒せた。


 けど上からきた手榴弾はどうにもならなった。


「うぎゃあっ!」


 即座に退避。それで思い出したぜ、隠れてたら手榴弾で炙り出されるコンボを。


 直ぐに別のコンテナへ退避したけど、このままじゃジリ貧だな。


 どうするか? 煙突人間がいなくなった今、もう一度高台に上がる事が出来ればこっちも反撃できるんだがな。


 だが高台は1段目から6段目が崩れてしまってるから、低い所で7段。波動砲で壊された箇所も7段に留まっている。


 横向きで積み上げられたコンテナは2段分で歩兵機の全高足らず程、つまりイングリッドの3倍以上もある高さを登らないといけない。


 イングリッドの脚力では3、4段が関の山だから7段となるとよじ登るしかないけど、そんな事してたら集中放火を食らうだけだ。


「あ、そうだ」


 ダイは何か閃いたらしく、イングリッドの後頭部バックモニターで確認するとまた四本脚が炙り出しに手榴弾を投げてきてるのを目視した。


 すると隠れているコンテナの上の蓋を開けて、その蓋で手榴弾をガード。手榴弾はコンテナの中に吸い込まれていった。


 そして再び蓋を閉めるとダイはコンテナの蓋の上に飛び乗った。


 勿論集中放火を受けたけど、そこは予めくすねておいたシールドで防ぐ。どうせ中の手榴弾が爆発するまでだ。


 当然直ぐに爆発してコンテナの蓋は爆風で持ち上げられる。それに乗っていたイングリッドも一緒に。


 それによってイングリッドはコンテナ5段分くらい持ち上げられ、そっから更に跳躍して高台に辿り着く事が出来た。


 大した発想力だぜ。俺には到底真似できんわ。


 さて高台には上がれた。なら当初の戦法通り、シールドで防御しつつこっちはガトリングガンの直射と跳弾の撃ち分けで四本脚のシールドを躱しつつ撃破していく。それだけだ。


 問題があるとしたら死骸脚が無い事だな。イングリッドの腕でガトリングガンは撃ち続けられない。


 限られたガトリングガンの銃撃、システム補助もないから撃破の手間も増える。頭無しはともかく、未だ増え続ける四本脚はどうしたものか。


「……少ない」


 少ない? 何が?


 ん?


 え、あ、あれ?


 なんか……少ない?


 四本脚が、数が少ない!?


 あのおぞましい程にいた四本脚が、今は20機前後しかいなかった。


 大破した四本脚がそこら中にいるから20機前後と言うのも確かでは無いかもだけど、4本の脚でしっかりと立っているのはどうもその20機だけっぽい。


 どういう事なのか、辺りを見回しても他にいる様子は無く、残存してる四本脚は間違いなくこれだけだ。


 倉庫の出入口はコンテナやら残骸やらが散々としているけど通路は確保されてる。なのに増援らしい四本脚が入ってくる様子が無かった。


 つまりこれって、打ち止め?


 やたら増え続けた四本脚も、遂に底が見えたって事か?


 なら、残っているこいつらを撃破すれば終わりって事?


 四本脚約20機、頭無し7機。


「勝てる!」


 ダイはシールドを壁にしてガトリングガンを乱射した。まず狙うは頭無し、無防備なあいつらは容易に殲滅できる。


 システム補助無しでもそれは変わらなかった。7機いた頭無しは直ぐに全滅、これでシステム補助も復旧する筈―――


 [システム補助、エラー中]


「なんで!?」

 なんで!?


 まだ頭無しがいるのか? まさかまだ天井にぶら下がっているのかと思ったが、そんな間抜けはいなかった。


 ならまだ何処かに生き残りがいるのか? どこだよ、クソったれ! そこら中やられた四本脚だらけで全然分からん!


 仕方ない、このままシステム補助無しで四本脚を殲滅するしかねぇーな。


 なるべく狙いを正確に、およそ20機となると腕が外れるかどうかギリギリの瀬戸際だ。無駄弾を減らして的確に狙わないと。


 なんとか全滅させたい、この瞬間に。しかしそんなダイの願いも簡単に打ち砕かれた。


 まさかガトリングガンが弾切れになるとはな。


「た、弾切れ!?」


 そう、ガトリングガンが弾切れになった。どうやらこれを使っていた四本脚は相当な無駄弾を使ってくれたらしい。


 マジかよ。


 マズいな、まだ2、3機しか撃破出来ていないのに。


 どうする? ライフルに切り替えるか?


「……いや、弾はまだある!」


 ダイは高台の9段目に上がった。所々波動砲に破壊されたけど、まだ9段目の足場は少し残っている。


 ダイはその9段目のコンテナの蓋を開けて、中から弾帯玉手榴弾を取り出すと、それを勢いよく投げた。


 豪速球、とはいかなかったが中々の高速球で、四本脚もレーザーで迎撃するのが少し遅れ、近距離で爆破した。


 今のでまた2、3機ほど巻き込めたが、それ以上に四本脚が怯んで動けなくなる。


 この隙にダイはガトリングガンを乱射、無防備を晒した四本脚を一掃していった。新しい弾帯玉手榴弾の弾帯をガトリングガンに繋いでな。


 この9段目のコンテナには弾帯玉手榴弾をストックしてあったんだ。前以てその弾帯を解いてガトリングガンに繋ぎ直すだけでまた撃てるようになる。


 この隙を突いて四本脚を半数以上も一掃する事に成功した。遂には四本脚も数える程度しか残らなくなったが、そっからが問題だった。


 四本脚も考えたらしく、狙い撃ちされないよう常に動き回りながら銃撃して来やがったんだ。数が減った分、動きに制限が無くなったのか?


 これはマズい。システム補助無しで動き回る四本脚を直射や跳弾で狙うのは無理がある。


 ならば弾帯玉手榴弾を使うべきかとも考えたが、このコンテナのストックはこの1個で最後だった。


 他にもストックのあるコンテナはある。安全策を取るなら、そちら側に移動するか?


「いや、ダメだ。それくらいだったら……」


 何を思ったのか、ダイはガトリングガンとシールドを捨てて再び下に降りた。


 そして着地と同時に左腕から伸びるフックランチャーのワイヤーを握りしめて振りかぶる。


 左腕はパーツ交換したからフックランチャーも復活している。ダイはこれを予め弾帯玉手榴弾に引っ掛けておき、下に降りる直前に起爆するよう安全ピンを外しておいたんだ。


 あとは爆発するまでの間にワイヤーで振りかぶって四本脚に叩きつけるだけ。ハンマー投げの鉄球みたいにな。


 これのポイントはダイ自身を囮にして四本脚の注意を逸らし、弾帯玉手榴弾の迎撃を避ける事にある。


 そして弾帯玉手榴弾が爆発してからライフルを構えて接近戦に挑む。相手が動き回るならこっちも動き回るしかないと判断したんだ。


 かなり荒っぽい手段だが、ダイも考えたんだ。安全策ばかりとっても裏目に出るばかり、なら多少荒っぽくも奇抜な手段に出る方が吉だろうってな。


「これで、終わりだぁあああああ!!」


 そう、これで終わりだ。


 この長い攻防戦の行く末も、この一撃で終わりになる瞬間が遂に来たんた。


 やっと終わりだ。

因みにこの攻防戦で出てきた四本脚は累計すると約200機に達していた。四本脚だけで、だぜ。今更思うとよく戦えたよなぁ。

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