表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
26/239

第21話 絶体絶命の攻防戦、起死回生の兆し来たぁー!!

 システム補助、エラー中


 エラー中……。


 エラー中だってよ……。


 システム補助が使えなくなったって……。


 ちょっと待ってくれよ、波動砲が無くなったばかりだって言うのに今度はシステム補助まで……。


 もうこれ、ただの量産機だからな。そこらのコンテナに収まっている量産機となんら変わり無いからな。


 まぁ他はコックピットが無いから乗り換えも出来ないけど……それこの状況だと更に良くない事だから!


 神様に嫌われたとは知っていたけど、ここまでとは流石に思わなかった……。


 だってさぁ、システム補助が使えなくなって尚且つ、ただ今絶賛絶体絶命の攻防戦の真っ最中だぜ。


 四本脚、推定90機……また増えたよ。


 加えて頭無し、システム補助がエラーになった元凶どもだ。こいつらは推定40機から少し減った。


 俺としてはシステム補助がエラーになって終わったと悟ったんだが、意外にもダイはそっから根性を見せてきてな。今も必死で戦ってるんよ。


 システム補助は無くなったが、やる事は死骸脚に隠れて二人羽織状態でガトリングガンとライフルを連射するだけ。


 これくらいならシステム補助に頼らなくても何とかなるんだが、流石に弾がバラついて当たりが少なくなった。


 今まで減る事はなくとも増える事もなかった四本脚が遂に増えてき出してな、こっちも必死に撃ち返さないと一瞬で蜂の巣にされそうなんだわ。


 故にダイは頭無しの殲滅が出来ない、完全に手が回らない状態なんだ。


 頭無しは高台の5段目に差し掛かった辺りでライフルを向けて撃破してるけど、弾が当たらないし手間がかかるからあんまり撃破したくないんだ。


 無駄に数がいる四本脚は狙わなくても当たるけどな。


 だからダイはなるべく頭無しを放っておく事にした。システム補助が使えないのにそれでいいのかと思うだろうが、ダイには策があった。


 頭無しだけを一掃できるとっておきの秘策がな。だがそれはまだ使えない、もう少し頭無しを引き寄せてからでないと。


「だ、ダメだ。次の死骸脚に乗り換えよう……」


 どっちかと言うとそれが一番の問題だった。


 システム補助が使えないと別の死骸脚に乗り換えるのも相当大変でな、イングリッドの操縦はピーキーだから慎重にしないと高台から転げ落ちる事になる。


 しかし時間をかけたら蜂の巣にされる。高台だから身を引くくすれば多少当たらなくなるけど、それでも当たる弾は当たる。


 慎重かつ迅速に、当たり前の事だが命がかかってくるとなると余計なプレッシャーも付いてくる。


 ダイはこの乗り換え作業をシステム補助を失ってからも何度かやり遂げていた。その度にイングリッドの外装が剥げていったけどな。


 ぶっちゃけ最初の乗り換えの時点で大破してもおかしくなかったんだがな、しかしダイはその苦境にしぶとくも耐え抜く事ができたんだ。


 次第にコツを掴んだのか段々素早く乗り換えられるよにもなった。それだけでなく操縦そのもののコツも掴んできているようだ。


 ひょっとしたらシステム補助に頼らなくてもいけるんじゃねぇかって思ったりもしたけどそんな事はない。全くもってない。


 言うても追い詰められた状況だからな、たまに躓いたり転んだりしてヤバい状況に陥った事も何度かあったさ。


 やっぱシステム補助という補助輪がまだ必要なんだわ。


 それで新しい死骸脚に乗り換えたはいいんだけどな、死骸脚もとうとう残機3となってしまった。


 たったこれだけで未だに増える四本脚を殲滅……出来る訳ねぇーだろ、馬鹿野郎!


 90機いるんだぞ、90機。しかも絶賛増殖中。死骸脚1機でおおよそ30機以上も潰せってか? ふざけんなぁ!


 常に増えるから撃破数がさっぱり分かんねぇんだけど、システム補助がなくなってから死骸脚1機で5機も撃破できたかどうかだ。90機? 無理に決まってんだろ、頭無しだっているんだぞ!


 その頭無しだけどな、ちょいちょい5段目まで登って来る奴がいるから迎撃の度に四本脚の撃破も滞るんよ。


 ダイは9段目にいるからまだ余裕はあるんだけどな、しかし5段目で留めておかなきゃならない理由(わけ)があるんだ。


 だからなんとか5段目に留めているんだけど、この手間をかけてるだけで死骸脚の耐久力がごっそり減るし、秘策もまだ使えない。


 どうしろって言うんだよ。八方塞がりじゃねぇーか。


「うぎゃっ! だ、ダメだ。乗り換えないと」


 四本脚は増える一方だから総火力も上がって来てるし死骸脚がやられるのも必然と早くなる。これで残機2、四本脚は90機前後から全然減ってない。寧ろまた増えてるし。


 イングリッドの外装も限界だ。次の死骸脚に身を寄せてボロボロの外装を外し、予め用意しておいた交換パーツを付ける。持久戦を想定していりゃあこれくらいの用意はするさ。


 だがこのままじゃ敗北必至だ。外装は元に戻っても死骸脚が無くなれば一瞬で蜂の巣にされるの確実だからな。


「……こうなったらあれを使うしか」


 あれと言うのはダイが苦肉の策で用意した秘密兵器だ。


 ただ頭無しを一掃する秘策と違って、ついで程度で用意したものに過ぎないからあんまり期待はできないんよ。


 その名も弾帯玉手榴弾。第1ラウンドで撃破した四本脚の中から死骸脚に使わない奴のガトリングガン弾倉を開けて、中の弾帯に繋がった弾を全て抜き取った。それを手榴弾に巻いただけ。


 手榴弾にはな、攻撃手榴弾と破片手榴弾と言うものがある。


 攻撃手榴弾は火薬の爆発力のみに頼った手榴弾だ。


 範囲が狭いから市街地なんかでは重宝されるし、至近距離での威力は非常に高く、爆風なら障害物を避けて当たる特徴がある。


 それに対して破片手榴弾は外装の破片を爆発力で飛ばし攻撃する手榴弾だ。


 飛び散る破片はそれなりの威力があるし、何より非常に広範囲に及ぶ殲滅力が期待でき、野戦などで重宝される。それこそ投げた本人さえ危険な程にな。


 この攻防戦では攻撃よりも破片の手榴弾の方が有効なのは当然。ダイはその破片手榴弾を、攻撃手榴弾に弾帯を巻き付ける事で即席に作ってみた訳だ。


 即席過ぎてあんまり期待できねぇけどな。


 イングリッドから見て桃缶サイズの手榴弾が弾帯を巻いた事でバランスボールくらいのサイズに肥大化したけど、それを9段目のコンテナの下に隠しておいた。


 ダイは足場の隣のコンテナの蓋を開いて、フックランチャーで弾帯玉手榴弾を1つ手に取る。


 これがどれ程の役に立つか分からねぇけど、せめて四本脚の動きを少しでも止めてくれりゃあ上出来だ。やってみるしかねぇ。


 やれ、ダイ!


「いっけぇー……あ」


 ダイは勢いよく投げた、明後日の方向にな。


 システム補助がないからな、多分こうなるんじゃないかって予想はしてたけどな、俺もダイも。


 だから使うのを躊躇ってたんだが……やっぱこうなるんだな。投げた弾帯玉手榴弾は横壁に当たってバウンドして四本脚群衆の手前、それも右側のほぼ隅。


 最悪のポジションだぜぇ……。


 そして爆発して―――


 ―――ズドシャァァァァァン!!


「うぇ!?」

 うぇ!?


 なんか今までの手榴弾からは想像できないような爆発音だったけど!?


 てか何故かあらぬ方向から銃撃された―――いや、弾帯玉手榴弾から飛んだ弾がこっちにまで来やがったんだ!


 あまりにびっくりして死骸脚に身を隠してしまったけど、恐る恐る四本脚の方を覗いたら……なんか最悪のポジションから半径10mくらいぶっ飛んでいた。バカな……。


 10機は軽く撃破したみたいだが、それ以上に他の四本脚全てが銃撃を止めている事に驚きだった。


 弾帯の弾を食らったからか、思わぬ爆撃に混乱しているのか、四本は完全にたじろいでしまって銃撃はおろかシールドを構えるのも忘れていた。


 ダイは少し遅れてハッと気付き、四本脚がシールドを下ろしている隙をついてガトリングガンで銃撃した。ついでにもう片方の手でライフルも連射する。


 無防備な四本脚はそこから面白いくらいに殲滅できて、気が付いたら20機くらい一掃できていた。


 まさか苦肉の秘密兵器がここまで功を奏すとは……恐るべし弾帯玉手榴弾。


 一気に5、60機くらいまで減らせたところで四本脚も立て直した。シールドを構えて防御をし直し、ガトリングガンで銃撃してくる。


 だがそれならまた弾帯玉手榴弾を使えばいいだけの話。ストックはまだあるし、あと2、3投も使えば全滅も夢じゃないかもしれない。


 そうと決まれば早速2投目だ。出来ればシステム補助で正確な投球をして欲しいところだが、贅沢は言えないだろう。


 頭無しもまだまだいる事だし……とか余裕ぶっこいていたら、頭無しが何機か5段目に差し掛かっていた。


 それどころかもう6段目に差し掛かろうとしてる奴もいて、気付かない内に殆どの頭無しがかなり上まで登って来よったよ。


 だが驚くべきはそこじゃない。


 頭無しは組体操みたく仲間を踏み台にして登るんだけどな、なら最後まで踏み台にされた奴はどうするかと言うと、コンテナに爪を立ててよじ登るんだわ。


 お陰で物凄く時間がかかったけど、最後尾の頭無しは漸く1段目を登り切って2段目に差し掛かっていた。


 これでやっと秘策が使える。


 この時の為に敢えて使わずにとっておいた秘策だ、思い知れ。


「ゲッコー!」


 索敵用に使うヤモリ型の小型ロボット、ゲッコー。カメラくらいしか搭載していないけどな、一応口の様なマニピュレーターも付いてあるんだ。


 そのゲッコーを有線で操作し、予め潜行させていたのさ。コンテナ階段の中にな。


 この階段状に積み上げたコンテナは6段目から9段目までしかきっちり積み上げていない。


 1段目から5段目は間隔を少し狭くしてギリギリ上に乗る程度に積み上げていた、縦の列も横の列もな。


 だから中はスカスカ、一番下の支えになっているコンテナのどれか1つでも壊れたら一気に瓦解する仕組みさ。


 そしてコンテナを壊すのも簡単、セッティングしておいた手榴弾をゲッコーのマニピュレーターで起爆させるだけだし。


 ―――ズドドドドドォーン!


 勿論セッティングした手榴弾も1つじゃない。


 支えになっているコンテナ全部を一気に破壊する為に手榴弾を幾つも並べて連鎖爆発するようにセッティングしておいた。


 結果コンテナの階段は1段目から5段目までが一気に瓦解した。階段を登っていた頭無し40機足らずは、その瓦解に全て飲み込まれていく。勿論ゲッコーも。


 さらばだゲッコー、お前の事は忘れないぞ。……交換品(代わり)は幾らでもあるけどな。


 ただ頭無しは飲み込まれはしたが全滅はしない。何機かは潰れてくれるだろうがそれでもかなりの数が残るだろう。


 だから追い討ちも用意してある。


 手榴弾の連鎖爆発はな、実は階段6段目の一番下のコンテナにまで及ぶようにしておいた。


 そのコンテナは(から)だから簡単に壊れるけど、上に積み上げたコンテナは四本脚の残骸とかを敷き詰めておいたからかなり加重してある。


 それらのコンテナを支えている空のコンテナが破壊されれば、必然と加重されたコンテナ5段分が倒れ込んで来るって寸法さ。


 ―――ポイッ


 おまけにダイは駄目押しの一手に弾帯玉手榴弾を1つ、コンテナが倒れ込む前に放り込んだ。


 意外と容赦ねぇーな。


 それから加重したコンテナが倒れ込んできて頭無しが踏み潰された虫のように叩き潰されていき、最後の弾帯玉手榴弾の爆破が瓦解したコンテナを少し盛り上げて再び沈んだ。


 ダイはガトリングガンで四本脚を牽制しながら下を見るとそこはもう瓦礫の山と言うか、コンテナと歩兵機の残骸の山だった。


 これはもう全滅しただろ。


 やったな、ダイ。流石にこの作戦を考案した時は中々驚かされたもんだぜ。


「やった……これでシステム補助が」


 ああ、頭無しがいなくなったのならシステム補助も復旧するに違いない。現にサブモニターの表示も―――


 [システム補助、エラー中]


「……うん、なんとなく分かってた」


 ダイもか……実は俺もだ。


 頭無しがシステム補助を阻害しているのは間違いない。なら未だシステム補助が復旧しないって事は、つまりそう言う事だよな。


「まだ生き残りがいるんだ。くそっ、どいつだ? これじゃ全然分からないよ」


 瓦礫したコンテナの山は一見頭無しを全滅させたかようにも見えて、生き残りがいたとしても何処だか分からない。


 生き残りも全く動く様子は無く、埋もれて動けないのか破損して動けないのか、はたまた死んだフリでもしてるのか、とにかく微動だにしないからどいつが生き残りか全く判別できなかった。


 つまりシステム補助の復旧は無理って事だ。大体予想通りではあるけれども。


 そう首尾よくはいかないとは分かってはいたさ、俺もダイもな。だがそれでも頭無しがほぼ全滅した事に変わりは無い。


 なら、これで四本脚に集中できるってもんだ。弾帯玉手榴弾も予想以上に使える事が分かったしな、だったらシステム補助無しで全滅あるのみだろ。


「いっけぇー!」


 ダイは再び弾帯玉手榴弾を投げた。四本の密集したど真ん中とはいかなかったが、今度は左寄りの奥の方だ。


 このポジションならさっきよりも殲滅力は上がる、少しずつだが投げ方もよくなってるぜ。


 だが、今度の殲滅力は0だった。


 なんでかって? 下に落ちる前に四本脚のレーザーCIWSで迎撃されたからだよ。


「そんなっ!?」


 最初はただの弾帯の塊としか見ていなかったから思わぬ爆撃に不意を突かれたようだが、今度は違う。警戒してやがったんだ。


 ヤバいぞ、これ。せっかく切札になり得た筈の弾帯玉手榴弾も使えなくなったか?


「ええい、もう一度だ!」


 ダイは懲りずにまた投げた。今度は怒りに任せた勢い重視で狙いはあんまり良くなかったが、勿論これも迎撃された。


 四本脚の手前でな。


「え?」

 え?


 迎撃された弾帯玉手榴弾の爆発力は最初程で無いにしても多少なりともの殲滅を果たし、また余波によって他の四本脚の動きも一時的に封じた。


 呆気に取られてしまったが、それでもダイはなんとかガトリングガンで動きの止まった四本を撃破していった。


 思わぬラッキーだった。まさかレーザーの迎撃だとタイムラグが生じるとはな。


 素の手榴弾なら瞬時に迎撃できたんだろう。だが弾帯が壁となったせいで迎撃が少し遅れるんだ。


 さっきは狙い重視で緩やか放物線軌道だったから余裕で迎撃されたが、今度の勢い重視は直線軌道だった。迎撃に到るまでラグが生じたんだ。


 ならば……


「もっと速く投げられたら……迎撃される前に当たる!」


 そうなるとシステム補助が未だ復旧しないのが尚更悔やまれるな。


 頭無しの生き残りも未だに姿を見せない。やるとしたら自力でやるっきゃねぇ。


「上等だっ! やってやるよ、コンチクショー!!」


 おおっ、珍しく気合い入ってるな。若干壊れ気味だけど……。


 取り敢えず目標は決まった。迎撃される前に直撃させる、そんな豪速球を編み出せ、ダイ!

冷静に考えるとな、破片手榴弾の破片って外装の一層だけなんだがダイの考案した弾帯玉手榴弾は破片代わりの銃弾を何層も巻いているんだ。しかも弾丸だからそれ自体にも火薬が入ってるし、そんなもの爆発したらとんでもない威力になるよな。ハハハ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ