7.初デート
サングラス、帽子、マスクをしてスティーブと2人で歩く街。
時間は夕方の6時過ぎだ。
「私、父親以外の男の人と2人きりで歩くの初めてなんだ。」
「え、本当に?」
「うん、男の人と2人きりにならないようにしてきたから。」
「わぁ、本当に嬉しい。ソフィアの初デートが僕なんて、光栄だよ。ソフィアはデートに誘っても、全然してくれなかったしね。」
「えっ、デート!?」
「男女2人でお出かけってデートでしょ。」
「たしかに。。デートだと思ってなかった。」
「僕はソフィアの事が好きだし、付き合いたいって思ってる。僕は他の全てを失ったとしてもソフィアさえいれば幸せだと思えるくらい、君を愛してるんだ。だから、僕と付き合う事を少しでも考えてくれたら嬉しいな。」
「う、うん。」
「え、考えてくれるの?今まで、今は付き合うとか考えられないって断られてばっかりだったから、凄く嬉しい。ありがとう。」
今、私がマスクとサングラス、帽子をしていて良かった。
多分今私の顔は真っ赤だ。
スタジオから20分で着くと思っていたラーメン屋さんには、結局1時間以上かけて着いた。
スティーブが色々なお店に興味津々で、寄り道しながら向かったからだ。
喜ぶスティーブを見ていると、なんだか私も嬉しくなり、私も買い物を楽しんだ。
2人で楽しく買い物をしている様子を写真で撮られてる事にも気づかずに。
スティーブはラーメンを美味しいと喜んでくれて、私とスティーブは2人でラーメンを食べてる写真を自撮りしたりもしていた。
駅前のタクシー乗り場で解散をしたのは夜の8時くらいで、2時間の楽しい初デートはあっという間に終わった。
日本は治安がいいから、変装していればボディーガードに囲まれずに歩けるのが、とても楽に感じる。
でも、すぐにSNSで私とスティーブのデート写真が出回ってしまったのだった。
2人でラーメンを食べてる写真も撮られていて、驚いた。
私はSNSに2人でラーメンを食べてる自撮り写真をアップして、
「スティーブとレコーディング後にラーメン食べたよ!とってもいい曲ができたから、みんなに聴いてもらえる日が楽しみ!スティーブは私のいい友人だよ!」
と英語と日本語で同じ文章をあげて、親しい友人である事をアピールした。
スティーブから
「おすすめしてくれたラーメンおいしかったよ!また食べたいな!レコーディングも、いい曲ができて満足してるよ。」
とコメントがあり、それに対してもたくさんのコメントが来た。
更にアランからも
「新曲が楽しみ!」
とコメントがあった。
去年の7月に私のことをアランがフォローしたことも話題になっている。
それ以降アランからのコメントが度々届いて、「ありがとう」など当たり感触のない返事をしている。
私とスティーブはお互いにフォローしてるけど、私はアランの事をフォローし返すのはやめることにした。
アランと彼女は8月に別れて、それ以来アランの女遊びの話題はインターネットで目にしなくなっていた。
翌朝(月曜日)には早くも私とスティーブのデートについていくつも記事が書かれていて、こんなに大事になるとはと驚いてしまった。
「ねえ、スティーブと付き合ってないって言ってたのにどう言う事?インターネット見たんだけど。」
学校に来て早々、不機嫌な三条に話しかけられた。
「スティーブとは友達だし、レコーディング終わってから一緒にラーメン食べに行っただけだよ。」
「買い物してる写真とかも出回ってるのに?」
「ラーメン食べに行くついでに寄り道しただけだって。」
「夜の街でデートって書かれてるけど、本当に付き合ってないの?」
「付き合ってないって。付き合ってたら、三条達に言うよ。」
「でも、スティーブと仲良さそうだよね。」
「友達だし、仲はいいよ。三条達と友達なのと同じだよ。」
「その割には僕と2人で出かけてくれた事なんてないでしょ。」
「2人で出かけて誰かに見られたら困るし。」
「スティーブとは2人で出かけてるでしょ。」
「あれはその場の流れというか、ラーメン食べるだけならいいかなというか。。」
何となくしどろもどろになってしまう。
「じゃあ、僕とも2人でラーメン食べに行こうよ。」
「三条と食べに行って、今回みたいにみんなに写真撮られたら三条だって嫌でしょ。スティーブも私も注目されてるのに慣れてるけど、三条はプライベートまで監視されるような生活は嫌でしょ。」
「ソフィアとデートができるのなら、僕は構わないよ。」
「いや、でも…」
「おはよう、ソフィア、三条。何、痴話喧嘩してるの?」
「おはよう、綾。痴話喧嘩なんてしてないよ。」
「ソフィア、インターネットで見たんだけど、スティーブと付き合ってるの?ソフィアのデート写真なんて初めてでびっくりしちゃった。」
「いや、あれはデートのつもりは無かったというか…レコーディング終わった後にラーメン食べに行っただけだし。。付き合ってないよ。友達だよ。」
「友達ねぇ。。私たち口固いし、私達だけには言っちゃいなよ。」
「だから本当に違うんだって。確かに付き合ってほしいとは言われてるけど、断ってるし。。」
「え、そうなの?スティーブってソフィアの事が好きなんだ!あんなスーパースターに好きだなんて言われるってすごい!」
綾ちゃんのテンションが上がり、その後はいつものメンバーに根掘り葉掘り昨日の事を聞かれた。
「ソフィアはスティーブに会えていいなー。私も一度でいいから会ってみたい。」
由奈はスティーブのファンで、昨日の事を凄く羨ましがられた。
「うーん、せっかくスティーブも日本に来てるんだし、スティーブも私達と一緒に遊ばないか誘ってみる?」
「えっ!?いいの?」
由奈がすごい勢いで反応した。
「スティーブも予定があるだろうから、来るかは分からないけどね。木曜日に帰国するらしいから、それまでに放課後で遊べる日が無いか聞いてみようかな。」
「えー、すごい嬉しい!」
「みんなは今日、明日、明後日の放課後の予定空いてる?」
「「「「「空いてる」」」」」
「部活も休めるし。」
「今電話してみるよ。」
「スティーブの電話番号も知ってるの!?いいなー!会えなかったとしても、私も電話でいいからしてみたい!」
「え、いいなー!私も電話してみたい!」
「俺も!」
「電話出てくれたら話終わったら変わるね。電話出るかなー。」
スティーブに電話すると、すぐに電話に出て驚いた。
「はーい、スティーブだよ。」
「こんにちは。ソフィアよ。」
「ソフィアから電話なんて珍しいね。嬉しいよ。どうしたの?」
「スティーブが帰国する前に夕方で空いてる日ないかな?って」
「えっ、もしかしてデートのお誘い?」
「ち、違うよ!仲のいい友達がスティーブのファンで、みんなで一緒に遊べたら嬉しいんだけど、スティーブも忙しいよね。こっちは5人グループなんだけど。。」
「いや、観光以外の予定も無いし、行くよ!ソフィアの友達にも会ってみたいし!」
「え、せっかく日本に来てるのにいいの?」
「全然大丈夫だよ!むしろ行かせて!遊ぶのっていつ?」
「私たちは放課後ならいつでもいいんだけど。スティーブはいつがいい?」
「じゃあ、今日はどうかな?何時に学校終わる?校門の前で集合しよう。」
「分かった、ありがとう。15時30分に終わるよ。」
「優徳大学附属中学校だよね。」
「うん。友達がスティーブと話したがってるから変わってもいい?」
「もちろん。」
飛び上がりながら凄く嬉しそうに電話をする由奈と清田を見ていて、私も嬉しくなった。
こうして急遽私の友達とスティーブが会うことが決まった。




