4-3.三条と初デート
朝9時、約束の時間ぴったりにインターホンが鳴った。
「おはよう、ソフィア。」
「おはよう、三条。今日は迎えに来てくれて、ありがとう。」
「こちらこそ、今日はデートの誘いを受けてくれて、ありがとう。凄く嬉しい。ソフィアのお家も素敵だね。」
「え、ただの普通の家だよ。三条の家なんて凄い豪邸だから、ちょっと恥ずかしいよ。」
「ううん、ソフィアが生まれ育って、住んでるって、凄く特別な家だよ。写真撮ってもいい?」
なぜか私の家の写真を外から撮る三条。
私たちは三条の家の車で、水族館へ向かった。
「ソフィアとデートできる日が来るなんて、凄く嬉しいよ。」
「ありがとう。」
「ねえ、手を繋いでもいい?今なら誰にも見られないから。」
ドキッとした。
確かに、運転士さんとはガラスのパーテーションで仕切られていて、こちらの音も聞こえていないし、見えてもいなさそうだ。
どうしようか迷って
「いいよ。」
と返事をした。
「ありがとう。凄く幸せだ。」
手を繋いで、三条が無邪気に笑う。
また、ドキッとしてしまい、顔を逸らした。
スティーブも芸術品のようにとても綺麗な顔をしているけど、三条もすごくかっこいいから、ドキドキしてしまう。
「ソフィア、顔が赤い。可愛い。」
私の顔が更に赤くなる。
「僕にドキドキしてくれてるの?嬉しいな。僕も、今凄くドキドキしてるよ。期待してもいいかな。」
私は甘い雰囲気に耐えられなくて、手をぱっと離して反対側を向いた。
私の顔は真っ赤だ。
三条の方を向かない私に
「ごめんね、ソフィア。困らせちゃった?」
と聞かれた。
「ああいうのはちょっと恥ずかしい。」
「ソフィアと2人なりなんて初めてのことだから、舞い上がっちゃった。」
「確かに、三条と2人きりは初めてだよね。ちょっと緊張しちゃう。」
「ソフィアでも緊張したりするんだ。ライブだとあんなに大勢の前で堂々としてるのに。」
「ライブも凄く緊張してるんだよ。せっかく高いお金を払ってチケットを買って、楽しみにしてくれてるファンに最高のステージを届けたいもの。」
「ソフィアの仕事は、本当に素敵な仕事だよね。僕はいつもソフィアの仕事を応援してるよ。こないだ東京でやったライブも最高だった。」
「ありがとう。そう言ってもらえて、嬉しい。世界中のファンが応援してくれることは、とても幸運なことだよ。」
「いつも一生懸命なソフィアを見てると、僕も頑張ろうって思えるよ。」
「私も、三条達のような大切な友達と家族がいるから、頑張れるよ。私、来年の1月から4月はアメリカでロバート主演のアクション映画のヒロイン役をすることにしたんだ。」
「ロバートって、あのロバート?凄い。でも、ソフィアがロバートを好きにならないかが心配。」
「ロバートは最近結婚した既婚者だから、何も起こらないよ。それに、ヒロインと私の感情を混同しないように気をつけるよ。」
「本当に気をつけてね。ロバートは凄くかっこいいし、本当に心配だよ。」
「ロバートは確かにかっこいいけど、彼のアクションシーンを間近で見られるのが楽しみなの。彼の足を引っ張らないように、今から私もトレーニング頑張るんだ。」
「ソフィアのアクションシーンは見てみたいな。どんな作品になるのか楽しみ。でも、怪我はしないように気をつけてね。」
「ありがとう。」
「僕も最近は、父の会社の仕事を学び始めたんだ。ソフィアは物心つく前から仕事をしていたんでしょう?凄いよね。」
「凄くないよ。私にとっては、当たり前のことをしているだけだもの。三条の方が、将来は200万人もの従業員のトップに立たなきゃいけないんでしょう。そっちの方が凄いよ。」
「僕は、まだまだだよ。でも、両親も僕に跡を継いで欲しいだろうし、プレッシャーはあるよね。ソフィアが前に、プレッシャー、人間関係で押しつぶされそうになった時の気持ち、今なら少しわかる気がする。」
「三条の仕事はみんなの生活もかかっているものね。私よりもプレッシャーがあると思うよ。『僕達はいつでもソフィアの味方』って前に三条が言ってくれたよね。私達もいつでも三条の味方だよ。」
「ありがとう、ソフィア。凄く嬉しいよ。愛してる。」
水族館を三条と2人で見て回るのは楽しかった。
三条が魚に詳しくて驚くと、「デートのために、勉強したんだ」と少し照れながら言ったのが、可愛く感じてしまった。
三条は要領も、頭もいいから、すぐに理解して覚えてしまう。
三条の解説は分かりやすくて、私は小学校の遠足以来の水族館を楽しんだ。
「小さい頃から忙しくて、学校の遠足でしか水族館に来たことがない」と三条に言ったら、驚かれた。
「今日は本当に幸せな1日だ。」
「そう言ってくれて、嬉しい。私もすごく楽しいよ。ありがとう。」
「こちらこそ、ありがとう。これでソフィアと付き合えたら、更に最高なんだけど。」
私が返事に困っていると
「ねえ、僕はずっとソフィアと付き合いたいと思ってるよ。何度でも言うけど、ソフィアを愛してるんだ。お願いだから僕を選んで。僕と付き合って。」
と言われた。
心臓が高鳴る。
スティーブも三条も、とても素敵な男性だからこそ、私はどうしたらいいのだろう。




