3-16.綾の心地いい膝枕
スティーブに「三条と連絡を取らない、同じ大学に進学しない」と約束した翌日は学校だった。
三条にどんな顔をして会えばいいのか分からない。
体中にキスマークがつけられていて、首のキスマークはコンシーラーとファンデーションで隠した。
私もスティーブも有名だから、相手にキスマークをつけたことはなかったのに、それだけスティーブを不安にさせてしまったのだと感じた。
学校では三条の事は気まずくて見れなかった。
授業中は眠くて、しかもひどい筋肉痛で体が痛い。
あんなに激しく何度もされたのは初めてで、思い出すと顔が赤くなる。
途中から記憶が無くて寝落ちしたみたいで、朝に慌てて家に帰ったら、親から怒られた。
ホテルには、私達は変装して入ったのに、ばっちりと写真も撮られていたようで、今日の昼休みにはホテルのお泊まりデートのネット記事が出回っていた。
学校では誰もその話を私の前でしなくて助かった。
眠くてあくびも出るし、筋肉痛で歩くのが少しゆっくりになって恥ずかしい。
スティーブは今日も撮影の予定が入っているけど、午前中で仕事が終わるので、放課後にみんなで遊ぶ予定だ。
校門で待ち合わせをして、カラオケに行く約束をしている。
校門に着くと、スティーブが待っていたので、凄い人だかりができていた。
「久しぶり、スティーブ。」
「みんな、久しぶり。7ヶ月ぶりだね。」
昨日の事が嘘のように、スティーブはいつも通りみんなと遊んだ。
三条とも昨日あった事が無かったように接していた。
昨日はあんなに激しかったのに、いつも通りのスティーブに驚いて、スティーブは体力おばけだと知った。
スティーブとみんなが出会った最初の頃とは違い、今はスティーブがいても、カラオケでみんなが歌うようになっていた。
ただ、スティーブのファンの清田と由奈は、スティーブに歌わせるために曲をよく入れるので、スティーブが、歌う割合は高い。
みんなの歌を聞いてる間にうとうとしていたら、綾が
「ソフィア、今日眠そうだよね。膝枕してあげようか?」
と聞いてきた。
「え、いいの?」
「いいよ。ちょっと寝れば楽になるよ。」
私は綾の言葉に甘えて、膝枕をしてもらった。
「嬉しい、ありがとう。綾、大好き。」
「私も大好きよ、ソフィア。ふふふ、ソフィアかわいい。頭、撫でててあげるね。」
「ありがとう、気持ちいい。」
「おやすみ、ソフィア。」
私は心地のいい綾の膝枕で、すぐに眠ってしまった。
三条視点
「ちょっとね。。個室で三条と話をしたいんだ。」
「え、個室って。」
ソフィアから急に呼び出されたレストランに着くと、ソフィアから個室で話したいと言われて、僕の心臓は高鳴った。
でも、部屋に入った瞬間に、僕を睨みつけるスティーブを見て、僕は青ざめた。
「ごめん、三条。スティーブにキスの事を話してしまって…撮影で…」
「ソフィアは喋らないで。やあ、三条。僕のソフィアにキスしたんだって?」
友好的な態度とは裏腹に、本気で怒ってるのが伝わってくる。
「…ごめん。本当に悪かったよ。」
「キスってどう言う事?」
突然スティーブがソフィアに軽くキスをした。
「こういうキス?」
僕たちが驚いて固まってると、スティーブはソフィアにディープキスを始めた。
僕は見てられなくて目を逸らすけど、ソフィアの吐息が聞こえてきて、胸が苦しい。
「こういうキス?」と聞かれても、答えられない。
「どうして2人とも黙ってるの?正直に答えてよ。最初にしたキス?次にしたキス?どっちのキスをしたの?」
「…次にしたキスよ。」ソフィアが答えた。
「ふざけんなよ。」
怒ったスティーブが、今度はソフィアに
「ねえ、ソフィア、今ここでエッチする?三条の前で、いつものベッドの上で僕に抱かれる可愛らしいソフィアを見せてあげたら?」
と優しく語りかける。
「ひっ…。」
「僕たちが愛し合ってるのを見せてあげようよ。」
後ずさって壁に当たったソフィアをスティーブが捕まえて、ソフィアの耳を舐めた。
「や、やめて。んっ。」
「ソフィアは耳が弱いよね。」
ソフィアが必死に抵抗しようとしても、ソフィアはスティーブになされるがまま体を触られて、キスされて、舐められいた。
「逃げんなよ、三条。せっかく僕とソフィアが愛し合ってるのを見せてあげようとしてるのに。」
すぐに僕が部屋から出て行こうとした瞬間に、スティーブの声で止められた。
「お願い…んんっ、やめてっ。ふぅ。」
「感じてるの?こんなところで、三条に見られながら、いけない子だね。」
「んっ、あっ、だめっ。スティーブ。。」
「泣いてるの?泣きながら感じてるのもそそるね。泣いてるソフィアもかわいいよ。」
目を逸らしても、ソフィアの喘ぎ声に、ついソフィアを見てしまう。
感じてるソフィアから目が離せない。
胸が凄く苦しいのに、興奮してる自分に嫌悪した。
スティーブは時々僕の事を挑発的に見ながら、ソフィアを攻め続ける。
ソフィアはスティーブの彼女なのだと、嫌というほど思い知らされる。
「やめろよ。」堪らず呟くと、
「誰のせいだよ。」スティーブが怒った。
「ソフィアとはもう連絡を取らないで、同じ大学にも行くなよ。」
と言われて、嫌だと断った。
でも、ソフィアも僕に連絡も取らない、僕と違う大学に進学すると約束をしたので、
「ソフィアと連絡も取らないし、違う大学に進学する」
と僕もスティーブに約束した。
ソフィアと今まで通り高校で会える事、みんなで会える事、スティーブがいる時は会える事が、僕の救いだった。
ソフィアは僕の全てなのに、全く会えなくなるなんて耐えられない。
スティーブは謝罪を受け入れてはくれたけど、その後も
「ソフィア、この後僕のホテルの部屋においでよ。さっきの続きをしよう。」
「僕は謝罪を受け入れたけど、許してはいないよ。僕と付き合ってるのに、ソフィアは三条を好きになってキスをしたよね。他の男の事なんて考えられなくなるくらい、いっぱい愛し合おう。」
「ソフィア泊まるつもりだったの?三条の前なのに、積極的だね。」
「ソフィアが泊まってくれるなら、僕は嬉しいよ。朝までたっぷり愛してあげる。」
「僕、さっきので凄くムラムラしちゃった。ソフィアもしたいでしょ?」
と僕を煽ってきたので、最悪の気分で帰宅した。
ソフィアの感じてる姿、喘ぎ声、が頭から離れななくて、ひどく興奮してる自分に嫌悪した。
ソフィアを攻めながら僕を見るスティーブの挑発的な目が頭から離れない。
ソフィアは今頃、彼と…と思うと、胸が苦しくて仕方がなかった。
翌日、学校に来たソフィアは、昨日の事がとても気まずいようで、僕の事を見なかった。
よく見ると歩き方も少しいつもよりゆっくりで、授業中も眠そうにしてる。
昨日の夜にスティーブと何があったかなんて明らかで、昼休みにはスティーブとソフィアのホテルでお泊まりデートのインターネット記事までできていた。
ソフィアとスティーブが愛し合っている事実に、すごく胸が苦しい。
もともと放課後はスティーブとみんなでカラオケに行く約束をしていたから、不安だったけど、今日のスティーブは驚く程普段通りだった。
昨日の事が嘘のように接してきて、こちらが動揺してしまうくらい。
昨日僕達が会ったことも、みんなには言わなかった。
ソフィアは余程眠たかったのか、カラオケで綾に膝枕されて眠り始めた。
寝顔を見てみたいけど、ここからじゃよく見えない。
寝顔なんて見れる機会なんて二度とないだろう。
ソフィアが眠ったのに気づいた石井が
「綾、ソフィア眠っちゃったんだ。」
と言った。
「眠そうにしてたから、膝枕で眠るように言ったの。」
「俺、ソフィアの寝顔見てみたい。」
「清田はダメよ。ソフィアの寝顔を見ていいのは女の子だけよ。」
清田が小声で
「スティーブ、昨日はソフィアとお泊まりデートだったんだって?」
と言う。
「ああ、ホテルに入るところの写真撮られちゃってたんだよね。」
「ソフィア授業中も眠そうにしてたし、程々にしておいてあげなよ。」
「ソフィアが可愛すぎて、ついやりすぎたよ。今度からは気をつける。」
清田の隣にいる僕には2人の会話が聞こえてきて、また胸が苦しくなった。
それに、高校を卒業したら、たまにしか会えなくなるのがとても悲しい。




