3-11.高校2年生3月 初めて
アメリカへ向かう飛行機の中、私の気分は最悪だった。
スティーブを裏切ってしまった事への罪悪感と後悔。
三条とのキスが忘れられない。
なんで、三条のキスを受け入れてしまったんだろう。
自分でも三条とのキスを望んでしまった。
スティーブと別れたく無いのに、スティーブに三条とキスした事を伝えるのは、ただの自己満足だ。
でも、言わずにバレてしまったら?と思うと不安で仕方がない。
今はスティーブに会いたく無い。
1人になりたい。
幸い、アメリカに着いたらすぐに撮影現場に向かうので、次にスティーブに会うのはオフの日だ。
とにかく映画の事だけを考えた。
泣きたくても泣くのを我慢した。
私はプロだ、仕事は全力で取り組む。
撮影をしていると、忘れられた。
でも、ふと空いた時間ができると、三条とのキスを思い出して、後悔と罪悪感、不安でいっぱいになる。
私はスティーブにどんな顔をして会えばいいんだろう。
夜にスティーブとビデオ通話をして、スティーブのいつも通りの嬉しそうな顔を見ただけで、泣きそうになった。
「大丈夫?疲れてるの?」
心配してもらうだけで、心が傷んだ。
「大丈夫だよ。心配してくれて、ありがとう。またスティーブに会えるのが楽しみ。」
私はできるだけいつも通りに振る舞うように心がけた。
3月になり、撮影でも、ヒロイン役でロバートとキスをした。
今まで、キスしたのはアランとスティーブだけだったのに、1ヶ月の間にスティーブだけでなく、三条とロバートともキスをしたのだ。
映画のラブシーンはロバートと愛し合い、役に没頭する事で、少しだけ三条とのキスを忘れられる気がした。
オフの日になって、スティーブと会った。
三条とのキスがバレたら、スティーブを傷つけてしまう。
だから、私は何事もなかったようにスティーブに接する。
「4月からは大学受験に専念したいから、仕事は出来るだけセーブすることにしたの。アメリカにも今までみたいには来れない予定。」
「それなら僕がソフィアに会いに日本に行くね。大学受験応援してるよ。」
「ありがとう。スティーブが日本に来てくれるの嬉しい。大学はスティーブの家からも近い◯◯大学を第一志望に考えてるの。」
「◯◯大学は最難関大学の一つだけど、ソフィアは凄い努力家だから合格しそうな気がするよ。」
「8月の夏休みは、いくつかの大学を見学するためにアメリカに来る予定よ。…三条と一緒に。」
スティーブに三条の話をするのは、罪悪感で胸が傷んだ。
「やっぱり三条も同じ大学を目指すの?」
「私と同じ大学がいいって言ってるよ。」
「ソフィアは三条がいた方が安心するだろうし、楽しく大学生活を送れるだろうけど、やっぱり嫉妬しちゃうな。」
スティーブンの言葉で罪悪感が大きくなる。
「三条はいい男な上に、ずっと君の事を一途に思っているからね。ねえ、三条は好きになっちゃダメだよ?」
私は三条のキスを受け入れて、彼に好きと言った…それをスティーブに悟られてはダメだ。
「私が愛してるのはスティーブよ。」
私は自分からキスをした。
「この唇でロバートとキスをしたんだよね。」
スティーブが私の唇を触りながら言う。
「撮影だって分かっててもロバートとキスをしたり、ラブシーンを撮ったと思ったら、少し嫉妬しちゃう。」
と言うスティーブに心が傷んだ。
「ごめんね。スティーブ。」
「謝らないで。僕がソフィアにヒロイン役に出演するように勧めたんだから。」
「それでも、ごめんね。ありがとう。」
ロバートとのキスではなく、三条とのキスをした事について心の中で謝った。
「ロバートとのキスを忘れるくらい、いっぱいキスをしよう。」
「うん、スティーブのキスで忘れさせて。」
スティーブとキスをする度に、スティーブを愛おしく思う気持ちが込み上げてくる。
「愛してる。」
「私も愛してる。」
いつもより長く深く繰り返されるキスに、うっとりとしてると
「…してもいい?」
と聞かれて、
「…うん。」
そして、私達は初めて結ばれた。
痛かったけど、スティーブは常に私を気遣ってくれて、大切にしてくれた。
私が恥ずかしくて、シーツに隠れていた。
「ソフィア隠れないで、僕に顔を見せて。」
「嫌よ。恥ずかしい。今はスティーブを見れない。」
「そんなこと言わないで、顔を見せてよ。可愛いソフィアを見ていたい。」
私がシーツから顔を覗かせると
「照れてるソフィア可愛い。さっきのソフィアもすごく可愛かったよ。」
と言いながら、私にまたたくさんキスをした。
「ソフィアと結ばれるだなんて、夢のようだ。僕はとても幸せだ。」
「私も幸せよ。」
「ずっと、愛してる。」
「私も愛してる。ずっと一緒にいて。」
「何があってもずっと一緒にいるよ。」
私達はまた、たくさんキスをした。
とても幸せな時間だった。
帰る時間になって
「今夜はソフィアを帰したくないよ。一緒に寝よう?」
とスティーブが言うから、私は初めてスティーブの家に泊まった。
夜も私達は愛し合って、一緒に眠った。
朝目が覚めると、スティーブの寝顔が見えた。
初めて見る彼の寝顔は、とても可愛いくて愛おしく感じた。
じーっと見ていると、スティーブが起きて、「おはよう。なんて幸せな目覚めなんだ。最高の気分だよ。」とキスをした。
「私も、最高に幸せ。」
キスをしていると、
「…また、したくなっちゃった。」
とスティーブが言うから、
「今日は撮影があるから、もう起きなきゃ。」
と言うと、「…そうだよね。ごめんね、朝から。」と言って少し、しょんぼりしてるのも可愛かった。
その後、インターネットでは、「ソフィア、スティーブのお泊まりデート」と記事が載っていて、恥ずかしくなった。
スティーブの家に出入りする私たちの写真も載っていた。




