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石ころ




 そっと、あなたを見ている 


 声のない意思

 


 例えば 石ころ

 純度の高い天然石

 川のそばに佇む石たち

 花壇のなかに放り込まれたちいさな石


   

 人間に踏まれる石ころ





 どれもが

 それぞれ形を成して

 それぞれの場所に居る




 石ころの佇まいがすきだ


 どんな石にも精霊が宿る




 石ころは夜になると


 ひとりでに動きだす


 ひとつ ひとつ


 夜半の徘徊をはじめる


 止めれる人間は


 いない


 

 精霊たちは


 言霊を持っている


 石ころとしての


 意思と意識が潜む


 何にも縛られずにいる



 人間の不遜さ


 いのち汚す瞬き


 そのうつつの愚かさに

 

 石ころたちは


 笑う


 そして


 納得と慈愛と情念を


 街中に響かせる


 

 ある人々は それを

 恐ろしい と言う


 また 別の人々は

 悲しいことだ と話す


 そして

 数人だけが

 天からの声だ と知っている



 それでいい

 

 そのすべてが正しいのだから



 石ころは


 朝には弱くなる


 意識を沈めて


 自分の持ち場に帰る



 わたしのまわりの人々は


 石ころを踏んでいた


 毎日 毎日


 踏んでいた



 わたしはちいさな頃から


 天の声を知っていた


 だから


 それを知っていたから


 石ころを避けた


 絶対に踏まなかった



 石ころは


 踏んでも大丈夫だよ


 と言った


 その優しさは


 地上の宝だと


 わたしは思った




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