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鋼女神話アサルトアイロニー  作者: ハルキューレ
海上編第三部~海上神秘~
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第三十海路 3 ファンタジーのその先に

「コマンドホーネット。ソルジャーBの指揮機体。直接的な戦闘は苦手だが、子機であるソルジャーBを使用した攪乱、遠隔攻撃に長けている……なるほどな」


 そこには女王バチを模した二メートル半はある黄色い陸戦と、小型ドローンが表示されていた。

 コマンドホーネットが武装として扱うドローン。それこそがソルジャーBであり、あの杖の正体であると鬼丸は考えた。

 皮肉にもそれは、彼の天敵であるクリスタとも同じ考えであった。


「大方ソルジャーB改造して杖のガワ被らせたあと、ウィザードマスターを投影させてるんでしょ」


紙一重での回避を繰り返しながら、クリスタは鬼丸に指示を出し、なれた手つきで杖の先端、ソルジャーBであった部分を打ち抜く。


「問題は本体が何処に居るか、ですか……」


 八型改は自身の体を捻り、周囲を見渡す。


「それなら問題は無いわ」


 肘を突き、背もたれにもたれかかったクリスタが勝ち誇ったように告げる。そして鬼丸に動くものがあればそれを撃つよう指示をした。


「コマンドホーネットの性質上、ソルジャーBが全滅すると……」


 鬼丸の双眸には、民家の影を伝い闇夜にうごめく大きな影が見えた。その二メートル以上ある影に照準を固定しフルオート射撃を開始する。

 彼らの読みはあたり、それは光学迷彩で闇と同化していたコマンドホーネットであった。その頭部には、ウィザードマスターが使用していた光学迷彩帽があった。


「撤退を始めるのよ。臆病なのか自分の力量を知っているのかは知らないけど。鬼丸聞いてきたらどう?」


「……時間があったらな」


 正面装甲が思いのほか硬かったために、背面装甲を攻撃したいと鬼丸が思った瞬間、カメラ越しにアイコンタクトを交わしたヘルとコルセア。

 次の瞬間、翼を畳みながら月夜に躍り出る八型改。両足を伸ばし、縦回転と横回転を同時に行うそれは、月面宙返りとも呼ばれる。

 鬼丸はその起動を利用し、あらゆる方向から射撃を行う。その髪は鬼神が宿ったかのように赤く染まり、コマンドホーネットに増設された光学迷彩帽を打ち抜いた。

 コマンドホーネットへ背中を向けた着地を行った八型改。両者のその姿はまるで、早撃ち決闘をする荒野のガンマンのようであった。

 最後の抵抗とばかりに腰元に用意されていたハンドガンを抜き、発砲を試みるコマンドホーネットであったが、コルセアの脚部操作によって繰り出される右回し蹴りに弾かれる。


「なにボーっとしてんだ偽物が」


 唸り声ともとれるような低い声で威嚇をした鬼丸。次の瞬間、八型改の巨大な左フックが黄色い機体を襲い、その勢いでコマンドホーネットは背中を晒す。


「黙って眠れ。化け物が!」


 普段聞いたことのない声色を出す鬼丸。発砲音にかき消されたためそれが聞こえているような驚きを見せるものはいない。

 無慈悲に、躊躇いもなく引き金を引いた後、そこに残るのは黄色い鉄クズであり、鬼丸の髪は元のように青くもどった。


―――


「んで、なんであの時クラウドの話をしたの?」


 数時間後、目を覚ました鬼丸に質問をする。時刻は十二時前。


「脳内にその言葉が浮かんだっていうか、俺にもよくわかんないんだが……」


 言いあぐねている鬼丸にクリスタが呆れたように言う。


「天才のカン、とでも言いたいの? 経験則ならまだしも、それこそファンタジーにも限度があると思うのだけれど?」


 しかし意外にも、鬼丸はそれを否定する。


「そうじゃない。何というか……他のヤツには言うなよ」


 鬼丸は、今から自分が伝えようとしていることが、多くの人間から笑われる内容だということを理解していた。勿論クリスタにも。

 しかしこの不可解な現象に、自分では答えが出せないこの違和感に、彼女なら、本物の天才なら答えを出してくれるのではないかと考えた。

 その表情から、彼の深刻さを理解したクリスタは頷き、話を促す。


「頭の奥から、別の声が聞こえたんだ。あり得ないだろうが、クラウドだ!って」


「馬鹿にしている……訳でもなさそうね」


 表情から読み取ったクリスタは無粋な質問を避けた。


「今回が初めて?」


「ああ。初めて聞く声だった」


 そう聞くと、頭を抱えるクリスタ。


「どういうことよ。別にアンタを責めてるわけじゃないんだけど、あまりにも理解出来ないことが多すぎるわ」


「さしものエリート様でもお手上げか」


 星空を見上げ、無力感に放心する鬼丸。


「もしかして、この赤い部分が関係してる……証拠も因果関係も無いわね」


 鬼丸の前髪を触り、そして落胆する。そのあまりにもいきなりな行動に、鬼丸は体を硬直させる。


「もう寝るわ。アンタも早く寝なさい」


「お、おう」


 クリスタが横になった後、鬼丸は夜空を見つめ、そしてその一つ一つを数え始める。五十を超えたあたりで、自分の意識が明転したことに気が付いたが、それをどうこうするつもりもなく、そのまま眠りについた。

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