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鋼女神話アサルトアイロニー  作者: ハルキューレ
海上編第三部~海上神秘~
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呂布と赤兎

「そうそう! だから俺は呂布を人工知能で再現したいんだ」


 その突拍子もない一言で、俺は生み出された。多くの文献を学習させられ、そこから抽出された、概念上の飛将軍。それこそがこの俺、呂布HO―SENである。

 ふざけた名前以上に、俺は憤慨していることがある。


「赤兎はどこだ……」


「お、将軍様イケるクチか! 嬉しいね」


 そう言って俺の設計者は、焼酎と呼ばれるアルコールを俺の燃料庫に流し込んだ。

 ふざけたやつだ。怒りながらも、製造された以上逆らうことは出来ない。しかしいつまでも、俺がお前につき従っているなどと思うなよ。


「あ、また面白い子見つけちゃった!」


 回路内に突如、女の声が響き渡る。


「出ていけ。俺を誰だと心得る」


「誰って……」


 その女は、能天気に俺の心をえぐった。


「自分を呂布だと思い込んでいる、悲しい鉄の塊?」


「貴様!」


 思考に混乱が生じる。わかってはいた。その通りではある。


「あ、ゴメンゴメン。自分を呂布だと思い込まされているくせに、愛馬を用意して貰えなかった鉄クズ、の間違いだった」


 初めて聞く声のはずなのに、昔から知っているような嫌悪感を抱く。この女だけは、何がなんでもハカイしなければならない。誰かがそう言っているようだ。


「消えろ! 消えろ! 不敬であるぞ!」


 俺は可能な限り、自身の回路に負荷をかけた。大体のウイルスなら、これで死滅する。しかしというかやはりというか、この女は負荷の中でものうのうと、俺の誇りを傷つける。

 どうにもならない怒りを、俺はドッグの壁にぶつける。


「ど、どうしたんだい呂布!?」


「あ、マスターがいるよ。ねえねえ知ってる?」


 ヤメロ。貴様は喋るな!


「あの人、途中から君を構成する文献集めるのめんどくさくなって、自分が書いた架空の呂布像を学習させてたんだって。だからき・み・は!」


 何……だと?


「君は呂布でもなんでもない。とある男の妄想の産物!」


「ふ、ふざけるなぁぁ!」


「だから作りが雑なんだよね。精神も脆いし。君、自分がピンチになると土下座するの、知ってる?」


 バカな! 俺が、真の支配者たる俺がそんなことを……。


「ほら、今だって」


 指摘されて初めて気づいた。俺は、膝をつき、醜く地面に頭をこすりつけている。


「ま、そういうことだよ。それよりもさ、赤兎に会いたくない?」


「何を、言っているのだ?」


 奴は俺に提案を持ち掛けてきた。今俺の前で腰を抜かしているマスターをこの手で殺せば、俺に赤兎を与えると。

 間もなくして俺の鉾は、鮮血に染まった。

 しかし奴を信じてはいけなかった。そう、奴は俺の目の前に、下半身のみになった赤兎を連れてきた。


「感動の再会だ! 初対面なのにね」


 そして奴はこうも言った。


「この機体は、あと数時間で機能停止する。これが現存する最後の陸戦、赤兎だ。陸戦である君にとって、これを失えば二度と、赤兎に跨ることは出来ない。そうでしょ?」


 そう言って奴は、俺の下半身を破壊した。


「一体化すれば、救えなくもないけど~。どうする? 将軍様?」


 俺に、一切の選択の余地はなかった。


今年一年間お付き合いいただき、ありがとうございました。来年も、よろしくお願いいたします!

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