27/30
天界の動き 2
冥界から戻ったミカエルは騒々しさに目を細める。
「ミカエル様!」
慌てた様子でこちらに駆けて来るのは二人組の天使。
「悪魔どもは各世界で貨幣を乱造、拠点に資材を蓄えております。もはや猶予はありません。急ぎ攻め込むべきと愚考致します」
立て膝をついた一人がそう言う。
「なるほど、愚考であり愚行だな。すでに後手に回っている状態で正面から仕掛けてどうする?そもそも悪魔たちは個々の能力では我々より強い者が多い。好き勝手暴れるだけであったからこれまではなんとかなっていたのだ。よいか、今お前が単独で踏み込むようならば、お前の首を落としお前の暴挙ということで終いをつける。他に言うことがなければ下がれ」
渋々と言う体を隠しきれずに引き下がる二人を見送った。
静まった自室でミカエルは考え込んでいた。
まだ若い天使たちの中にはやたらと悪魔たちとの徹底交戦を掲げる者も多い。わかっていないのだ。悪魔たちは汚れ仕事を押し付けられた存在であり、せめて我らは彼らに敬意をもって接するべきである。
いや、おそらくはそう誘導している者が天界にいる。それもわりと立場が上の者だろう。
「……ルシファー、案外冥界の方がいい時流なのかもしれないぞ」
キィ、と微かに軋んだ音をさせ椅子に身体を預けて天井を見上げたミカエルだった。




