悪魔容易に頼るべからず
グラシア・ラボラスは羽の生えたマルチーズの外見をしており、非常に愛らしい。
だが悪魔だ。
かわいらしい外見も相手の油断を誘うために過ぎなかった。彼の得意とするは暗殺術に殺人術。流血を伴うものだ。そしてその過程で必要、あると便利な忍び込む技能などにも精通している。
であれば彼を召喚しようと試みる輩は腹黒い闘争を常としている者たちがほとんどだ。幾千の屍を生んできた彼であったが彼には人々に愛情を育ませる力もあったが、それを望まれたことはない。
序列25番目の魔神、総裁たる彼は今腹を見せてイオンにモフられていた。
くぅーん、くぅーんと上げる声はとても気持ちが良さそうである。
突如彼の体を幾何学模様の光が覆い、姿を消す。イオンは机の下を覗いたり探すがその姿は見つからず、首を傾げる。
「おお!成功したぞ!」
「これで王位は我々のものだ」
「あのような姿で本当に成果を出せるのか」
「グラシア・ラボラス様、どうかこの男を葬りさって欲しいのです」
男が見せた写真にはしっかりした外見の男が、仕立てのよい服を着て立っていた。
なるほど、またこのような役目で召喚されたのか。
へっへっと舌を出した、羽のある以外は犬でしかない見かけ。
次の瞬間にはその場にいた者たちが一斉に血を噴いて倒れた。
「姫様との時間を妨げる者は許さぬ」
返り血一つ浴びていないグラシア・ラボラスは瞬時にその場を去った。
「もう、どこ行ってたの?ぐあ!」
両手を腰に当てて頬を膨らませたイオンが不機嫌そうに言う。
それには答えずにイオンに飛びかかるとイオンの頬を舌で舐め、くすぐったいイオンが嬉しい悲鳴を上げそれを聞いて他の魔神たちが駆け寄って来た。
悪魔を召喚することは容易ではない。そして召喚出来たからと言って油断してはならない。彼らが召喚者の言うことを聞くかどうかは気まぐれ次第なのだ。なぜなら、彼らが悪魔だからに他ならない。




