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姫君の鎮圧 ――かつて楽園と呼ばれた日本と、死神と呼ばれている男――  作者: 柊蓮
CHAPTER:チャプター〝3〟――
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使者と弟子と報せ⑧

 その日の夜、レオと廉斗とユキと穂乃果は、廉斗の初のタイマン戦を祝して居酒屋に飲みに行った。そして一人だけいつも通りグラン・タワービル内の食堂で食事を摂っていた春次は、ふと目に飛び込んできたとあるテレビの放送に釘付けになった。


 そのテレビの放送には、総理大臣である湯田海舟が出ていた。他の出演者はいない。総理大臣である湯田から国民へ向けての緊急放送のようだった。


『心の境界線を越えたアンドロイド側の組織、〈ReGion(レギオン)〉と、人間側の代表である我々日本政府は、和平交渉のテーブルに着くことになった。その日は八月十一日、約一ヶ月後のことです。これまで約五年間、心の境界線を越えたアンドロイドと我々人間は対峙し続けてきたが、この2050年という象徴的な年をもって、全て終わりにしたい。子々孫々に誇れる日本を取り戻す為にも、改革が必要なのです――』


 湯田は長々と様々なことを話していたが、春次はあまりにも突然のことにその放送の内容があまり頭に入ってこなかった。

 だがこれだけは分かった――全てが変わる、と。


 春次は自室に戻ってもう一度ちゃんと放送の内容を確認しようと、急いで夜ご飯を腹にかき込んだ。食堂を後にし、いつもより遙かに大きい喧騒に包まれているグラン・タワービルの雰囲気に自分自身も高揚感を感じながら、自室のドアを開けようかというときだった。


 片耳に装着していたヘッドフォン型の通信デバイスが、通話の着信を受け取ったことを示すバイブが震え始めた。ホログラムによって、目の前の空中に通知が表示される。

 すると春次は大きく目を見張った。通知には、こう記されていた――


 『焔皇祭』


 世界一の天才科学者であり、人類の戦犯であり、穂乃果の実の父親である彼からの通話の通知だった。

 春次は着信にすぐさま出た。そして、声高らかに言ったのだった。


「お久しぶりです、先生!」

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