84.乱戦
テロリスト現場だと気づいた私は、ボサボサの髪を1つに結き、足元にあったコンビニの袋からスポドリを出してゴクゴク。
ラゲッジスペースに手を伸ばし、ストックで置いてあるデニムとTシャツに着替えた。お気に入りの私服を汚したくないもんね。
「お疲れ様です。制裁部佐藤、参戦します」
「は?お前起きたの?」
「真心斗?何その腕……切られたの?」
「ちょっとだけ、別に平気だから」
車を降りて1番手前にあった人員輸送車に足を踏み入れれば、戦闘服の真心斗が1人座っていた……左腕を抑えて。
「ねえ誰?そんなことしたの。中の対象?」
「あーまあ、っていうかお前は寝てろよ。作戦に入ってないだろ。顔赤いし、熱下がってねえだろ」
「資料見た。図面も頭に入ってる。銃とナイフ貰ってくね」
「な、おい!」
真心斗の使っていたものを掻っ攫い、腰にナイフを装着し、銃片手に工場のような建物へ潜入。
2階から上につながっている外階段には、誰もいないのかな?とりあえず壁を蹴ってよじ登ろう。
ちょっとふわふわするけど、大丈夫、動ける。
「銃声が全然止まないな」
最上階から中を見下ろすと、直ぐに対象を発見。
「佑樹さん危ない!」
「は!?」
ギリギリセーフ。佑樹さんのねじれの位置にいた対象の銃が、きっちりと佑樹さんの頭を捉えていた。こりゃ手だれだな?
「椿!?お前」
「大丈夫、そこにいて」
あー、頭が痛い。銃声が頭に響く。
仕方ない、静かに寝るためにお仕事頑張りましょう!
「お前、狂ってんな。マジで助かった」
「真心斗、腕大丈夫なの?」
「大丈夫だって、縫うほどじゃないし。お前こそ大丈夫なのかよ」
「椿、本当に助かった。お前が乱戦してから15分で終わったよ。とりあえず熱測って薬飲め」
佑樹さんに銃を渡し、真心斗の隣にどかっと座る。
怪我はしてないけど返り血がすごいや。Tシャツびしゃびしゃだ。
「ちょ、おい。もうこっち寄りかかってろ」
「んー、終わったの?」
「ムカつくけどお前のおかげでな。とりあえず着替えろ」
「んー」
服を脱いで濡れタオルで体をなんとか拭き、頑張ってジャージに着替える。じゃないとぐっすり寝れないもんね。
「38.8……椿、もう寝とけ」
うん、もう寝たい。流石に疲れた、体がだるい。みんな怪我ないならそれでいいよ。真心斗はちゃんと診てもらった方がいいけど、戦闘服着てたならまあ大丈夫か。
帰りの車で途中目が覚めたけど、佑樹さんが運転してて、助手席に真心斗。私は後部座席に横になってた。2人が普通に話してたってことは、もう大丈夫ってことだよね。
もう疲れちゃった……ってぐっすり眠ること約15時間。
「ん、起きたか。体どうだ?」
「んー、佑樹さんは?」
「俺は元気だよ、おかげさまで。ほら、熱測っとけ」
ピピピッ
「37.2、いい感じだな。吸入だけしとこうか」
「んー、ん?ねえ……わ、わ、綿貫さんってさ、私体温計を、ね?」
「大丈夫、怪我してないって俺の目で確認したから」
「よ、よかった……」
『体調どうですか?昨日の夜は、まだ熱が下がってないと叔父さんに聞きました。体温計の件は全く気にしてないです。元気になったら連絡ください』
待ってあれ全部現実なの?怪我してないって言ってるけど、絶対怖い思いさせちゃった……ど、どうしよう!
しかも私ちょっと覚えてるのが確かなら、抱っこしてもらっちゃった!?そして泣いて喚いて迷惑かけちゃった?
私、綿貫さんに可愛いとかギュッとするとか……好きって気持ちがバレちゃったかも!?




