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84/86

84.乱戦

 テロリスト現場だと気づいた私は、ボサボサの髪を1つに結き、足元にあったコンビニの袋からスポドリを出してゴクゴク。

 ラゲッジスペースに手を伸ばし、ストックで置いてあるデニムとTシャツに着替えた。お気に入りの私服を汚したくないもんね。


「お疲れ様です。制裁部佐藤、参戦します」

「は?お前起きたの?」

「真心斗?何その腕……切られたの?」

「ちょっとだけ、別に平気だから」


 車を降りて1番手前にあった人員輸送車に足を踏み入れれば、戦闘服の真心斗が1人座っていた……左腕を抑えて。

 

「ねえ誰?そんなことしたの。中の対象?」

「あーまあ、っていうかお前は寝てろよ。作戦に入ってないだろ。顔赤いし、熱下がってねえだろ」

「資料見た。図面も頭に入ってる。銃とナイフ貰ってくね」

「な、おい!」


 真心斗の使っていたものを掻っ攫い、腰にナイフを装着し、銃片手に工場のような建物へ潜入。


 2階から上につながっている外階段には、誰もいないのかな?とりあえず壁を蹴ってよじ登ろう。

 ちょっとふわふわするけど、大丈夫、動ける。


「銃声が全然止まないな」


 最上階から中を見下ろすと、直ぐに対象を発見。


「佑樹さん危ない!」

「は!?」


 ギリギリセーフ。佑樹さんのねじれの位置にいた対象の銃が、きっちりと佑樹さんの頭を捉えていた。こりゃ手だれだな?


「椿!?お前」

「大丈夫、そこにいて」

 

 あー、頭が痛い。銃声が頭に響く。

 仕方ない、静かに寝るためにお仕事頑張りましょう!


「お前、狂ってんな。マジで助かった」

「真心斗、腕大丈夫なの?」

「大丈夫だって、縫うほどじゃないし。お前こそ大丈夫なのかよ」

「椿、本当に助かった。お前が乱戦してから15分で終わったよ。とりあえず熱測って薬飲め」


 佑樹さんに銃を渡し、真心斗の隣にどかっと座る。

 怪我はしてないけど返り血がすごいや。Tシャツびしゃびしゃだ。


「ちょ、おい。もうこっち寄りかかってろ」

「んー、終わったの?」

「ムカつくけどお前のおかげでな。とりあえず着替えろ」

「んー」


 服を脱いで濡れタオルで体をなんとか拭き、頑張ってジャージに着替える。じゃないとぐっすり寝れないもんね。


「38.8……椿、もう寝とけ」


 うん、もう寝たい。流石に疲れた、体がだるい。みんな怪我ないならそれでいいよ。真心斗はちゃんと診てもらった方がいいけど、戦闘服着てたならまあ大丈夫か。

 

 帰りの車で途中目が覚めたけど、佑樹さんが運転してて、助手席に真心斗。私は後部座席に横になってた。2人が普通に話してたってことは、もう大丈夫ってことだよね。


 もう疲れちゃった……ってぐっすり眠ること約15時間。


「ん、起きたか。体どうだ?」

「んー、佑樹さんは?」

「俺は元気だよ、おかげさまで。ほら、熱測っとけ」


 ピピピッ

 

「37.2、いい感じだな。吸入だけしとこうか」

「んー、ん?ねえ……わ、わ、綿貫さんってさ、私体温計を、ね?」

「大丈夫、怪我してないって俺の目で確認したから」

「よ、よかった……」

 

『体調どうですか?昨日の夜は、まだ熱が下がってないと叔父さんに聞きました。体温計の件は全く気にしてないです。元気になったら連絡ください』


 待ってあれ全部現実なの?怪我してないって言ってるけど、絶対怖い思いさせちゃった……ど、どうしよう!

 しかも私ちょっと覚えてるのが確かなら、抱っこしてもらっちゃった!?そして泣いて喚いて迷惑かけちゃった?

 

 私、綿貫さんに可愛いとかギュッとするとか……好きって気持ちがバレちゃったかも!?

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