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81.何の話?

「ふふっ、なんか笑っちゃダメかもですけど、子どもみたいですね。佐藤さん、嫌だったら言ってください」


 !?!?

 ソファーでジタバタとしていた私は、なぜか綿貫さんに抱っこされている。どういう事態なの!?何が起きてるの?

 

「あ、泣き止みました?さっきもこれで寝れてたので、この姿勢楽なんですかね。それならちょっとこのまま抱っこしててもいいです?」

「さ、さっきも!?」

 

 そ、そんなのダメだよ!

 そう思ってたのに体の力が抜けちゃう。体が言うことを聞かないよ。

 

 私は今ソファーの上で、綿貫さんに抱っこされる形で座っている。これは佑樹さんと同じだけど、これは実は佑樹さんだったって夢?


「……私……夢?」

「どうでしょう?」

「もし夢なら、今のうちにギュッとします。現実なら土下座します」

「じゃあこれは夢です」

「へへっ、じゃあいっか」


 なんかもう身体に全く力が入らないし、体預けちゃおうか。夢が覚める前にちょっとだけだから。ギュッと抱きしめても、突き飛ばされないし、99%夢だな。ちなみに1%は幻覚。

 

「佐藤さん、大丈夫ですか?」

「ん、眠い」

「とりあえず薬飲むっていうのはどうですか?」

「やだ」

 

 もう何にもしたくない。ここでずーっと暮らしたいな。いや、ここでなら仕事もするから、今はここで寝かせて欲しいや。

 

「佐藤さん、実は薬飲まないとこの夢が覚めちゃいますよ」

 

 え、この最高な夢が、この時間が終わっちゃうの!?しかも薬を飲むだけで継続?

 

「やだよ!飲みます、飲みますから」

 

 空になったフィルムなんて、えい!

 

「だからなんで投げるんですか」

 

 だって嫌だったんだもん。せめてもの制裁をフィルムにしてやったの。

 

「そしてなんで足をつねるんですか」

 

 んー、寝たくないよ。目が覚めたら現実に帰ってきちゃう。せっかく頑張って薬飲んだのに、ここで寝たら私の努力が水の泡。


「このまま毛布かけますね」


 ちょうど寒かったの。あったかい。あー、ダメだ……眠い……眠くない……眠い……。



 

 ん、頭がズキズキする。

 

 そして何が聞こえてるんだ?なんて言ってるんだろう。「僕は一生懸命勉強をしているところです」って、綿貫さんのことかな?うんうん、私もそう思う。


「ヤー、ダス シュティムト」

「ん?起きました?そして発音良すぎて聞き取れませんでした」

「綿貫さんは一生懸命勉強してますよ」

「あー、ドイツ語。ありがとうございます」

「ん?え、まだ夢が覚めない……なんで!?」


 なんで私はソファーで寝てるの?何が何だかよくわからないけど、私が勉強会を台無しにして、悪い子になったってことだよね?この状況はそうとしか思えない。


 ソファーに座って、思い出さなきゃ。そうだ、私が熱出たのに綿貫さんが帰らないから、お金を用意して、佑樹さんが持ってくる?が正解か?

 

「……綿貫さん」

「なんですか?」

「タクシー代払うので「何回もそれ言いますね。じゃあそのお金で、あとで一緒にアイス食べますか?」


 で、デート!?どうしてそんな素敵な話になったの?え、あ、これがまさか告白!?

 

 あ、でもまた迷惑かけてる……。現実でも夢の中でもこんなに迷惑をかけるなんて、現実の綿貫さんと夢の中の綿貫さんに伝わっちゃったらどうしよう。


「まだ次の薬飲めないんですよ。とりあえず横になれますか?」

「大丈夫です!」


 私はソファーから勢いよく立ち上がったけど、急に顔が熱い。というか全身が熱い。そして寒い。もうなんか疲れちゃったな。1回ここで寝ようか。


「待って待って!しっかりしてください」


 目を瞑ったら体に衝撃が走ったけど、痛くはない。ただなぜか私は床に座り込んでいて、綿貫さんと手を握り合ってるの?そうだ、きっと白雪姫になったんだ。ドイツ語の勉強してしたもんね。


 あれ、なんの話してたんだっけ?

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