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76.私の家……!?

 忙しい夏の終わり、シルバーウィークに突入。初日の今日は、念願の綿貫さんとの勉強会。


「これはデートじゃない、勉強をするだけ。脈とか気があるとか、関係ない。大丈夫、大丈夫……」


 緊張で足が痺れそうだけど、嫌いだって誤解されたくない。その一心で休みのために仕事を頑張った。

 そして奇跡的に3連休を確保。というのも、1週間前に麻薬密売組織を潰した結果、現在警察が総動員。制裁部全員が休みを得た。


 ピコンッ


『今駅に着きました』

 

 本当は綿貫さんのお家でやる予定だった勉強会。しかし台風直撃予報。無くなっちゃう!?って泣きそうになったけど、まさかの綿貫さんが私の家に来てくれることになった。いや、なってしまった。


 やばい!!!

 友達のいない私の家に来るのは、佑樹さんと大輝さん、そんで真心斗だけ。あとはガスの点検の人と、Wi-Fiの接続の立ち会いだけじゃない?どうしたらいいの!?

 

 ピンポーン

 

「おはようございます」

「お、お、おはようございます。あ、ちょ、ちょっと待っててください、えっと……あ!スリッパですねよね!」


 あー、なんで来る前に出しておかなかったの?ちゃんと揃えて置いておけばよかったのに……しっかりして、私!


「ふふっ、ありがとうございます。今日はお仕事大丈夫そうですか?何かあれば全然解散で大丈夫ですからね」

「いえいえ、今日はばっちりです!」


 前回は途中で呼び出しをくらったが、今回は大丈夫なはず!……またテロとか起きなければ。


 うん、私の家の椅子に綿貫さんが座ってる!え、どうしよう、かっこよすぎる!やっぱりワンピースにした方がよかったかな?天気悪いし、冷えるかと思ってパンツスタイルにしちゃったよ。


「では今日もお願いします」


 基礎的文法はバッチリの綿貫さん。助詞や接続詞、主語による動詞の変動、日本語にはない表現を中心にやっていくが、やっぱり綿貫さんって字が綺麗なんだよな。惚れそう……なんちゃって。

 

 そんで言語学習って楽しいな。最近は韓国の歌が流行ってるし、韓国語勉強しようかな。そしたらもっと勉強会できるかも。くっくっく、笑いがこらえられない。


「佐藤さんって教えるのが本当に上手ですよね。そしてなんだか楽しそうです」

「へ?あ、いや、あ、ありがとうございます!あ、はい!」

「はい、じゃあそろそろお昼にしましょうか」

「そ、そ、そうですね!」


 やってきたのは徒歩3分のコンビニ。風は少しずつ強くなってきているが、雨はまだ降っていない。


 んー、え、何も食べたくないかも。というか幸せでお腹いっぱい。正直、綿貫さんの前で食べることって全然慣れない、緊張しちゃうんだもん。


「佐藤さん」

「はい?」

「それだけですか?」


 私の手にはシャケおにぎり1つ。どうにも何も食べたくない。しかし、綿貫さんの顔が曇ってきた。そうだ、いっぱい食べる女の子が好きなんだっけ?


「あー……インスタントでよければ味噌汁はあります。綿貫さんも飲みますか?」

「じゃあいただきます。え、それだけなんですか?」

「えーっと、サラダも買おうかな?」


 誤魔化すようにお会計を済ませ、いそいそとお店を出発。


「佐藤さん、歩くの早いです」

「あ、すみません……」

「具合悪いんですか?」

「……はい!?」


 綿貫さんパワーで、めちゃくちゃ元気なんですけど。絶対に嫌だけど、今ならマシンガンのように働けます!


「喘息、大丈夫ですか?」

 

 えー、朝ちゃんといつも通り吸入さたんだけどな。なんで大輝さんみたいなこと言い出すんだろう。


「最近わかってきたんですけど、佐藤さんって具合悪い時はテキパキ動く派ですよね」

「ん?」

「僕は具合悪くなると、ダメになって全く動けなくなるんですけど、佐藤さんは体調誤魔化すために動きますよね?」

「そ、そんなつもりは……本当に、あの」

「はあ、無意識なんですね」


 なんとか話題を変えようと努力したが、綿貫さんの目を掻い潜ることができないまま帰宅。とりあえず吸入しとく?え、解散になるの?やだよー!

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