63.勉強会inカフェ 前編
何回も来たカフェという、素晴らしき枕詞。14時のカフェで、私たちはまるで同じ大学の先輩後輩のように机を囲んだ。
「なんかすみません。カフェラテ奢ってもらっちゃって」
「いやいや、勉強を教えてもらうんですから当たり前ですよ」
何その当たり前、尊いな。
「というか私、うまく教えられますかね?」
「佐藤さんならいけますよ。で、早速ここなんですけど……」
「これは名詞ですよね。そうなるとこの文法には入れられないんですよ。なのでここに形容詞をいれます」
「この例1と2の違いはなんですか?」
「主語をどっちにしてるかということですね……」
教えていて思ったのは、まず綿貫さんめちゃくちゃ頭いい。頭がいい故の間違い、着眼点。そして何よりも字が綺麗。ノートに書かれた「凪桜」の文字にはもう惚れ惚れしちゃう。
「佐藤さんすごいですね。来週ここテストに出るんですけど、ばっちりです」
「それはよかったです。ちょっと緊張しました」
「めちゃくちゃ発音もいいじゃないですか。ドイツに行ったことあるんですか?」
「2週間ぐらいですけどね」
ドイツでの仕事は、主に資産凍結だった。特に乗り込んだりしなかったので、結構観光もした。特に宗さんと2人で行ったので、趣味のお城巡りに付き合わされた思い出。
「そのために勉強したんですか?」
「あ、いえ。グリム童話を読むのに勉強しようかなって」
「え、童話も行けます?」
「はい」
「もし予定があえば、今度期末テストの勉強にも付き合ってもらえたり……」
「します!」
何このお誘い。私ドイツ語勉強してて本当によかった。休みは何がなんでも勝ち取ります。
「あと今日なんですけど」
「はい?」
「この英語もわかったりします?」
「んー、はい、大丈夫ですよ」
英検2級ぐらいの内容かな。やっぱり綿貫さんって頭がいいな。まああそこ大学通ってるんだもんね。
「綿貫さんは第二言語がドイツ語なんですか?」
「はい。3年生になったら、ドイツのライプチヒって場所に1週間の研修に行く予定なので」
「ライプチヒ……心理学ですか?」
「佐藤さんってなんでも知ってますね、怖いです」
やばい……やらかした!何でもかんでも知ってたら、そりゃ気持ち悪いよね。何しに行くんですか?って聞くべきだった……。
「す、す、すみません……」
「なんで謝るんですか。佐藤さんも心理学に興味が?」
「そう、ですね。興味があるというかまあ、興味がある感じですかね……」
嘘、私は大学で心理学専攻で卒業してる。めっちゃ勉強してるけど、ここで大卒って言ったら絶対変なことになる。19歳になって大学卒業して働いてますは、日本じゃおかしいよね。
「僕は心理学専攻なんですよ。特に小児心理を勉強中で」
「似合いますね」
「本当ですか?」
似合いますねって変だった?でもなんか子どもに好かれそうだなって思っちゃったんだもん。そんで私も小児心理選択だったんだよな。
え、気があうのかも?恥ずかしい!
「あ、佐藤さんケーキ食べます?」
「へ?」
「頑張ったので1回休憩にしませんか?」
デートじゃん!




