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45/48

45.さようならデート服

 応援要請に、渋々次のバス停で降りタクシーを拾う。


「虎ノ門駅までお願いします。駅付近ならどこでも大丈夫です」


 やっぱり1日休みは無理か。まあ呼び出しくらうのは想定済み。むしろ完璧な別れまで待ってくれたことに感謝かな。

 

「大樹さんお待たせ!車乗せてー」

「はいはい、真心斗が待ってるぞ。お、そんで椿、今日可愛いな」

「本当に!?これで大丈夫そ?」

「いや、仕事には向いてなさそうだけど」

「デートなら?」

「…………いいと思うよ」


 本当か?でもまあ悪くはないよね。お気に入りのコーディネートだし。この服着るたびに思い出しちゃうよ。キャー!恥ずかしい!

 え、待って?


「ねえ、この後着替える服あると思う?」

「ないらしいよ。俺もこのまま行くし」


 なんか今日の大輝さんはオシャレなセーターにデニムのパンツ。しかもダボっとしたやつ。


「その萌え袖って、男の人がやるの流行ってるの?」

「おいおい、一体どこでそんな言葉を仕入れてきたんだい?」

「漫画」

「……まあいいだろう。そして今はダボっとした服が流行ってるから、結果萌え袖になっただけだな」


 そんな流行り知らないよ。次は私もそういう服買おうかな。リンクコーデになっちゃったりして。


「え、そのセーターで行くの?」

「仕方ないだろ、ないもんはないんだから」

「……え、ねぇ、これ絶対返り血ゼロは無理だよね」

「無理だと思う。諦めろ」

「どこでもいいから寄り道しない?お揃いの服でもいいから!」

「や、やめなさい!お兄ちゃんそんな誘惑する子に育てた覚えはありません」


 あぁ、さようなら私のデート服。


 2時間かけてやってきたのは、東京の端っこ西多摩郡。

 殺し屋って歌舞伎町のビルとか、高層マンションの一室のイメージはありませんか?それはほんのごく一部です。


 理由は簡単。銃撃戦をしたら警察が来ちゃうから。ここはばっちり大丈夫そう。問題は視界が開けていて、あんまり建物に近づけないことかな。


「真心斗ー、来たよー!」

「大輝さん、お休みのところすみません。お前は遅い!」

「大輝さんの運転できたんだけど。ねえ、お兄ちゃん、遅いってさ」

「すみませんでした」

 

 どうやら蓋を開けてみたところ、2組織ではなく3組織が絡み合っていたらしい。しかも銃が大量にあることが判明。


 そこで大輝さんと私で応援要請が入ったとのこと。


「椿ちゃん、お休みの日にごめんね」

「向日葵ちゃん!いいよいいよ。恋のアドバイスもらったお礼!ちなみに保全部ってなに保護するの?」

「研究所から盗まれたウイルス」

「OK!」


 向日葵ちゃんは保全部で、色んなものを保護・維持するために働いている。盗まれたのは難病治療用ウイルスらしく、それを保全するらしい。

 

 あと1時間半で突撃。

 向日葵ちゃんと別れ、渡されたファイルを頭に叩き込む。


「あれ、私たちだけじゃないの?」

「措置部の応援組8人も突入するらしいよ」

「いやいやいや」

「え、何?あ、保全部も2人行くかもって」

「「邪魔」」


 私たちに応援要請した時点でそれは諦めなよ。


「真心斗、俺ら3人で行くって伝えてこい」

「……あい」


 こういう場は少数精鋭のが良いでしょう。

 

「全員抹殺、保護対象0」

「よしきた!大輝さん、私にも手袋ちょうだい」


 白いブラウスにピスタチオパンツ、黒い皮の手袋の謎ガール誕生。


「え、2人とも1丁で行くの?」

「当たり前じゃん」

「お前はまだしも大輝さんまで?」

「「奪えばいいんだから」」

「……俺は2丁で」


 あんまり弾を使うと、経理に申告する報告書が大変になるでしょうが。

 そしてこのデート服はやっぱりさようならだな。

 でもまあ仕方ない。私殺し屋だしね!

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