表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

44/45

44.応援要請

 映画と本の話については別の椿です。スイッチが入れば、なぜか盛り上がれちゃう。


「監督がいいですよね。実写するなら全部あの監督にやってもらいたいぐらい」

「わかります!綿貫さんは洋画観ますか?」

「ホラーというか、ゾンビ系?あとはアクション系ですね」


 ブラックユーモアが好きなのは知っていたけど、アクションも好きなのか。綿貫さんは幅広く網羅してる感じなのね、ふむふむ。

 

「そうだ、☆☆って映画知ってます?」

「聞いたことはありますが見たことないです」

「佐藤さんは血とか大丈夫ですか?」

「あ、それは全然」


 見慣れてるし今更特に感情はない。むしろ綿貫さん大丈夫なんだ。

 

「あの映画、殺し屋が気持ちよくバンバン人を殺すんですよ」

「え、あ、それはどういう!?」


 待って待って、お願い待って!確かに殺し屋って普通ならフィクションの世界。え、何かバレて遠回しに言われてるわけじゃないよね?映画の話をしてるだけだよね、ね?

 

「僕はじわじわ殺すやつよりも、銃でバンバン殺すやつが好きなんですよ」

「あ、わかりますわかります!それはよくわかります!」

「悪いやつがボコボコやられていくのは、スカッとしますのね。勧善懲悪最高です!」

「綿貫さんはどんでん返しとか、綺麗に着地する話が好きなんですね」


 いやー、ヒヤッとした。でも私たちの好きな作品の系統は同じなのは、めっちゃ嬉しい。やっぱり悪いやつはボコボコにされた方が気持ちいいよね。私も拷問よりは、銃とナイフでガツガツ行く方が好きだし!


「あ、そろそろお花屋さん行きます?多分できてますよね」

「あ、そ、そうですね!忘れてました……」

 

 お花屋さんで番号札を渡し、黄色とオレンジの花束の入った紙袋を受け取る。

 3000円でこんな素敵なの作ってもらえるなら、今度佑樹さんの家行く時はここで買って行こうかな。


「受け取れました?せっかくなのでバス停まで送っていきますね」

「はい!?え、い、いいんですか?」

「当たり前じゃないですか」

「あ、でも、あと10分で来ますし、全然!」

「佐藤さんって、時々自分が女の子だっていうこと忘れがちですよね。ふふっ」


 真心斗や大輝さんと言っていることは変わりないのに、なんでこんなにも色々と違うのだろう。王子様に女の子なんて言われたら、私はもうお姫様じゃん!


「あのー……」

「ん?どうしました?」

「これ、お誕生日おめでとうございます」

「え……僕にだったんですか?」

「め、迷惑でしたか?す、すみません、あの、いや、あれなら、その」

「いえ、初めて花をもらいました。すごく嬉しいです。ありがとうございます」


 綿貫の笑顔が眩しい。お花畑が似合うに違いない。


「あの、佐藤さん」

「はい?」

「バスが来るまで一緒に待っていてもいいですか?」

「……はい!?」


 私の頭はショートした。

 誰か、私の心に応援をよこしてください。

 

 そこから先は、綿貫さんの言葉が全然頭に入って来なかった。もし私の記憶が確かなら、オレンジが似合うと言われたと思う。まあこれは都合のいい解釈かも。

「ああ」とか「まあ」とか「ええ」以外の言葉を発したのは、バスが来る1分前。


「僕はこの後、花瓶買って帰りますね」

「す、す、すみません!そこまで頭が回りませんでした!」


 そうだよね、普通男の人の一人暮らしに花瓶なんてあるわけないよね。

 え、じゃあお花屋さんで花瓶も買えばよかったじゃん。うわー、やらかした。


「あ、バス来ましたね」

「え、あ、はい、あ、はい……」

「また連絡しますね。今日はありがとうございました」

「こ、こ、こちらこそ!ありがとうございました!ほんとに、あの、ありがとうございました!」

「ふふっ、ではまた」


 無事乗り切れたのか?

 いやー、でも楽しかったなあ。……え?


 ふと窓の外を見れば、胸元で小さく手を振っている彼の姿が目に入る。

 え、え、えー!?


 彼が見えなくなるギリギリになんとか振り返したけど、見えたかな?


 ピコンッ


『応援要請/17時半までに駐車場集合』

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ