25.応援されたい
あー、会議に疲れた!
準備は終わったけど、事後にどれだけの書類を書かなきゃいけないことやら思いやられるな。
ため息をついて資料を片手に頭をかけば、大輝さんに肘でこづかれた。
「何、もう疲れた?」
「疲れた疲れた、お兄ちゃん仕事変わってよ」
「それは難しいな」
「あっそ。っていうか銃相手なの久しぶりだし、ナイフで手加減できるかな?やられちゃうかもよ?ふふっ」
「強すぎるやつの悩みだな。手加減できなくてやられたら笑ってやるよ」
「さすがに私可哀想じゃない?」
「じゃああとで練習するなら付き合ってやるよ。模擬戦やるか?」
「それこそ不安だな。手合わせで大輝さん戦闘不能にしちゃうかもよ?」
「ありえるから怖いんだよな」
銃の扱いが上手いのは、この大笑いしている大輝さん。ナイフが上手いのは佑樹さんで、宗さんは武術。真心斗は……知らん。
今日はさすがに体動かして、ちょっと慣らしておいた方がいいかな。
なんて思いながらデスクに戻れば、真心斗のデスクに置いたはずの書類が私のデスクの上に。
「真心斗?何このファイルの山!私の仕事じゃないじゃん」
「お前がやれよ、休んでたんだから」
「有給って知らないの?」
「知らねえ」
「はぁ……無理!」
「どうした?」
「宗さんお帰り。聞いてよ、真心斗が!」
「お前らはもう少し仲良くしなさい」
バカな真心斗に書類をお裾分け。会議に行っただけでメールが溜まってるし、これじゃ生粋の社畜だ。
「有給取られると仕事がこっちに寄ってくんだよ」
「うわ、パワハラだ!みなさん、あの人パワハラです!」
「うるせえな」
「大体私、イギリスで働いてきたんだよ?そうだ、そもそも休みの日に押しかけてきて、仕事押し付けてきたじゃん」
「その分給料が違うじゃねえか」
「当たり前じゃん。はぁもういいや、仕事しないと」
そうだ、今の私は仕事を頑張らなきゃいけない理由があるんだった。こんなやつの相手をしてる場合じゃない。
「私はお仕事一生懸命頑張りまーす!」
「なんだ、椿やる気宣言か?」
「あ、佑樹さん。私仕事頑張るの!」
「おぅおぅ、頑張れ頑張れ」
「てきとうじゃん。あーあ、綿貫さんにそんなこと言われてみたいなぁ」
「っ!そ、そうだよな」
もしも綿貫さんに頑張れなんて言ってもらえたら、今の3倍は速く動けるね。万が一録音させてくれまでしたら、365日24時間働きます!いや、再生してばっかりで仕事にならないかも。
こんなくだらない妄想をしちゃうぐらいには疲れています、椿です。
カタカタ カタカタ カタカタ カタカタ。
「あ!」
「どうした?」
「なんだ?妹よ」
「大きな声出すんじゃねえよ」
「良いこと思いついた!」
「お、言ってみろよ」
「まず最初に、大輝さんごめんなさい。大丈夫になりました」
「は?は?え、何が?」
「明日に向けて付き合ってくれるって言ってたけど、真心斗にお願いすることにした」
「は?何?俺お前手伝う気ないけど」
こいつの意思は関係ない。私が決めたらそれが絶対にする、そう強引に!
「明日の現場に向けた模擬戦の手合わせお願いしようと思って。ストレスぶつけるいい相手を発見しました!」
「いいけどなんかムカつくな」
「妹よ、俺は?俺は?」
「あー、じゃあ真心斗の次にお願い」
「任せとけ!」
私が仕掛けたこととはいえ、佑樹さんも宗さんも真心斗を応援するように声ををかけ始めた。
なんで今日の私はこんなにアウェイなの?1年の出張と1ヶ月休んだせい?にしても私可哀想じゃない?
「椿がイギリス行ってる間、真心斗頑張ってたぞ。ほら、真心斗頑張れ」
「佑樹さん……頑張ります!」
まあなんでもいっか。久しぶりに暴れちゃうぞ!




