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23.お兄ちゃん?

 納得のいかないおやつタイム。

 佑樹さんと大輝さんはみるみる元気がなくなり、真心斗だけが楽しそうで、私はなぜこんな状況になったのかわからない。ただ1つ断言できるのは、この状況がカオスだということだけ。

 

 そもそも、この仕事をしていても生活に制限はない。恋愛しても良いし、家族を持ってもいい。職場外の友達がいてもなんの問題もない。守秘義務さえ守っていれば、何してもいいはずなのに……なんでこんな目に会わないといけないの?


「お前さすかにデートはやめとけよ」

「なんでよ」

「絶対ボロが出るって」

「守秘義務は絶対守れるから大丈夫、任せて!」

「そっちは心配してねえよ。お前の性格に難ありって言ってんの」

「最低ー。ねえ佑樹さんも大輝さんも何とか言ってよ」


 私の声掛けにようやく動いたのは佑樹さん。大輝さんの肩をポンポンと叩き、無言で肉まんを食べ始めた。真心斗はそれを見てさらに笑っているし、大輝さんはぶつぶつと何か言っているけど聞き取れなすらしない。


 そうだ、駄弁ってる場合じゃない。ちょっと休憩するつもりだったのに、なぜこんな目に遭わなきゃいけないのか。私は今から休みを取るために、必死こいて仕事しなければならないのに。


「大輝さん、肉まんごちそうさまでした。早く資料に目を通してください」


 誰も優しくしてくれないので、さっそく明日から現場に出なければいけない。そしてペアは自称兄の大輝さんである。


「ほら、資料ちゃんと持って!」

「……うん」

「お兄ちゃん、仕事に行・く・よ!」

「妹よ!今すぐ準備します」

「なんだその茶番」


 真心斗の言葉を気にしてる場合じゃないけど、私も内心は同じことを思ってる。思ってるけど、なんでもいいから大輝さんが動いてくれないと仕事が進まないのだ。


「救済部との仕事なんてろくなことないじゃん」

「そのろくでもない仕事が妹の仕事だからな」


 残念ながら制裁を受けるような奴の被害者は、大抵女子供。私は制裁部の唯一の女の子なので、駆り出される頻度が他と比じゃない。まあその分手当がつくからいいんだけどね。


「救済部は新人さんも来るんでしょ?」

「うん、だからよろしく」


 仕事の偏りを感じる。でも「頑張ればデート、頑張ればデート」と言い聞かせる、そうだ、帰ったら胸キュン漫画でも読もうか。

 

「あ、忘れるところだった。椿お前、お兄ちゃんの許可なく何勝手に恋愛してるんだい?」

「許可必要ないじゃん」

「俺の妹だろ」

「違うよ。大輝さんが勝手に自称兄を謳ってるだけじゃん」

「さっきお兄ちゃんって呼んでくれたじゃん」


 めんどくさい。あぁ、めんどくさい。なぜこの部署には変な人しか来ないのか。せめて変な人でいいから女の子に来て欲しい。

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