22.お願いします!
一通り有給中の仕事のチェック終わったし、1回休憩!おやつにしようかな。
「お疲れ様」
「佑樹さん、いや、課長!聞いてください!5月5日をなんとか休みにしてください!」
「椿、ちょっと待ってな。真心斗、これよろしく」
今世紀最大の事件を前に、私は必死に訴えたがスルー。
佑樹さんはファイルをみんなのデスクに置いて回り、私は最後。
「お願いお願い!他の日全部仕事でもいいから、5月5日だけは絶対休みにしてください!そのためなら何でもするから!」
「ん?まあ予定あるならいいよ。椿なら大丈夫だろ。ミュージカルか?」
「課長大好きです!」
やった!休みを確保した!課長の言葉だし、絶対だよね?これで何とか仕事モチベは保てそう。綿貫さん、待っててください!
「佑樹さん、こいつの予定はデートですよ」
「え、あ、ちょ……デート?」
「真心斗言わないでよ、私が直接語りたかったのに!」
「待って待って、椿?」
「え、まさかこれじゃ休む理由にならない?仕事になるの?やだよー!」
ひどい、酷すぎる!え、どうする?でもその先いつ休み取れるかわかんないよ。綿貫さーん!
「椿……休みは休みでいいから落ち着け。いや、落ち着け俺」
「お前慌てすぎだろ。俺はお前がそんなにポンコツだって知らなかったわ」
「真心斗ほどじゃないけどね」
ポンコツで結構。休みなら何でもいいや。なぜ佑樹さんが落ち込んでるのかはわからないけど、ひとまず危機は去ったっぽい。これでやっぱり仕事ってなったら、経費考えずにバンバン銃を撃ってやる。
「お疲れ様でーす!皆、久しぶりー!」
「大輝さん!お久しぶりです。大阪出張お疲れ様でした」
「真心斗、551食べるか?おやつに買ってきた。で、課長?何で項垂れてるんですか?」
「……まあ、うん、なんでもない」
「騒いでたと思ったら、何この空気。お、妹よー!久しぶり!」
「大輝さん、私はあなたの妹ではありません。でも551はありがとうございまーす!」
私の10個上とは思えない、溢れるパワー。そして私を妹と呼ぶ変人の大輝さん。でもご飯をよく奢ってくれるし、悪い人ではないから問題なし。
「あ、大輝さん。こいつが一目惚れした店員とデートするって」
「なんだって!?俺は許可してない!え、課長許可したんですか!?」
「休みの理由は問えないからさ……」
え、誰も肉まん温めてくれないの?仕方ない、自分でやるか。私は551を持ってキッチンへ。10個入りだから、2個は宗さんのやつかな?ちゃんと手順通り温めていけば、キッチンは幸せの香り。せっかくだしお茶も入れようか。
「お茶いる人〜?」
「おい、妹よ!」
「待って?お茶いる人ー?」
「「「……はい」」」
みんな飲むらしいので、4つマグカップを出しほうじ茶を用意。あ、キャラメルもトレーに乗せようか。甘いのも欲しいよね!
「誰か手伝ってくださーい」
「任せろ!」
自称兄が意気揚々とキッチンへ。挙動不審ではあったけど、お茶を載せたトレーを運んでくれた。私もお皿を持ってスキップ。
「いっただっきまーす!」
「……椿、食べながら聞いてくれ」
「ん?ふふよ」
「もうお、お、お付き合いしてるのかな?」
「んーん」
「お前とデートできるやつがいるわけない」
「ふ?」
「早く飲み込めよ」
食べながらでいいと言われたのに、佑樹さんはしどろもどろに質問。真心斗にイジワル言われ、可哀想な私。2個用意した肉まんが冷めてしまうではないか。
「あのね、今度映画観に行くの。しかもランチまで誘われちゃった!これって友達だよね?」
「妹よ、それは確かに友達だ」
「やっぱり!」
「俺とも出かけよう。兄妹なんだから」
「兄妹じゃないけど、出かけるのはいいよ。休みはないから仕事終わりのご飯になるけど」
せっかくの休憩時間。雰囲気的にてっきり相談できるのかと思ったのに、思っていた恋バナに全然ならない。これって私が悪いのかな?




