10.カウントダウン
自己研磨を忘れない、佐藤椿です。
朝7時の目覚ましで起き、日焼け止めを塗ってランニングへ。もちろん炊飯器の予約も忘れずに。
帰ってきたらおにぎりを握りながら、ニュースをチェック。
「いただきます!さ、ドラマドラマ」
昨日の夜見つけた恋愛ドラマは、思ったよりも刺激が強く、ごちそうさまと同時に1回休憩。
洗い物して洗濯機を回したら、恋のお勉強タイム。
「高校生ってこんなに大変なの!?」
それはもうドキドキハラハラ、胸が苦しい。告白シーンなんて恥ずかしくて、なぜか手を伸ばして読んだりしてみたりして。
パンパンッ
洗い終わったタオルを干しながら、午前中の恋のお勉強の反芻タイム。
「想像するだけで胸が苦しいのに、同棲したら生きていけるのかな。やっぱりみんな乗り越えてるの?」
あ、その前にお家デートだよね。彼は実家に住んでるのかな?それとも一人暮らし?
多分だけど、彼の家にはたくさん本があると思う。その点で言えば私と同じ。そして今日の夜に私の家へ来る本は、現在彼の家にある。
「なんか照れるな」
ブーブーブーブー
「もしもし?あ、経理で落ちるの?ありがとう!うん、全然忘れてた。ばいばーい」
一瞬警戒した電話は、佑樹さんからだった。焦った焦った。そんでもって、教習所に通う費用は経費で落ちるらしい。すっかり忘れていた教習所に、慌てて電話。
「え……35万円もかかるんですか!?いや、それでお願いします。はい、では後日伺います」
イギリスの3倍近い価格にビビりながらも、無事アポ取れた。イギリスの免許はありますって言った方がいいのだろうか?
「いや、待って?それどころじゃなくない?着て行く服決まってないじゃん!」
慌ててほぼほぼ未開封の紙袋から、服を出してはタグを切り、服を出してはタグを切り……あっという間にぐちゃぐちゃの床が完成。
「落ち着け私、落ち着いて」
ふーっと息を吐きながら、コーヒーを淹れ考える。
候補1. 花柄のワンピース。
根拠:少女漫画の初デートの待ち合わせシーンで、なぜかみんなワンピースを着ていた。
候補2.薄手のニットに、プリーツスカート。
根拠:街を歩くデートの時に多い装備。特にプリーツスカートは最近の流行りっぽい。
候補3.柔らかいブラウスに、テーパードパンツ。
根拠:社会人の退勤後デートがこんな感じ。
「んー、候補3……じゃなきゃおかしいよね」
本当は候補1のワンピースを着たかったけど、在宅ワークでワンピースは変かもしれないという結論。そう、私は社会人だった。
「次、髪はどうする?」
候補1.下ろして巻く。
根拠:やっぱり少女漫画の初デートは、これが定番っぽい。
候補2.ハーフアップでおだんご
根拠:今見てるドラマの中で、1番モテてる女の子の髪型。
候補3.ポニーテール
根拠:学生の女の子は、なぜかポニーテールを振り回している。
「候補2があんぱいかなー」
候補1とも悩んだけど、私が実際仕事する時に下すことないから不自然な気がしてきた。
「さ!準備万端です!」
最寄駅まで徒歩10分。電車はたった1駅。我慢できずに、約束の15分前に着いてしまった改札前。
「あ、佐藤さん!」
誠実な彼は約束の5分前に現れたが、周りには3人の男の子。そして面白いぐらい、漫画の通り冷やかされている。
ただ、なんか思ってた待ち合わせとは違うな。でも何が違うのかはわからない。わからないけど、私もそのわちゃわちゃわに混ぜてもらえませんか?




