意地悪されていますが私は元気です
幼稚な意地悪は平気だった
ご機嫌よう。マルゲリット・アルカンシエルです。いじめが始まってから数ヶ月が経ちました。私は元気です。
さて、ここ数ヶ月のいじめの内容はというと結構幼稚というかテンプレ的で、制服やドレスを破られたり、パパからまた見捨てられたとかの悪質な噂を流されたり、教科書に落書きをされたり、ノートを紛失したり、辞書をびしょ濡れにされたり、本をビリビリに破かれたり、机の中に虫を入れられたり。全然エスカレートする気配はありません。よかった、暗殺されずに済みそう。
…と、思っていたのですが。
いつまで待っても事態が収まらないことに痺れを切らしたパパがついにぶち切れて、本当はダメなのですが無理矢理私の護衛騎士さんを学園内に捻じ込みました。また、専属侍女一人までしか連れて来られない規定なのですが、侍女さんも無理矢理捻じ込みました。これによってパパからまた見捨てられたとかいう噂は立ち消えましたし、影でこそこそと陰口を叩かれたり、いじめられているのを笑われたりもなくなりました。
まあ、そんなこんなで私をいじめる隙が無くなり、低俗ないじめも無くなりましたが、その分クラーラ王女にはストレスが溜まっているようです。いじめが無くなってもシュテル様とはらぶらぶいちゃいちゃしているので余計にでしょう。
このままだとその内フラストレーションが溜まって暗殺しようとしてくるのではとは思うのですが、だからといっていじめてくださいと公言するわけにもいかないですし…うーん。
…まあ、暗殺しようとしても私の護衛騎士さん達が守ってくれますし、なんなら侍女さん達もいるから毒味もできるし毒殺なんかも無理だし、大丈夫だとは思いますが。とりあえず、一旦パパに大丈夫だよってお話してみようかな。
「パパー」
「メグ。どうした、何かあったか?護衛騎士達はちゃんと仕事をしているか?」
「パパ、ありがとう。でも、もういじめも無くなったし護衛騎士さん達も侍女さん達も帰ってもらっても大丈夫だよ?」
「…何か気に入らないことでもあったか?なんなら交換するが」
「…。や、やっぱりこのままでいいや。あはは」
「そうか。何かあったらいつでも言え。お前は俺の愛娘なのだから」
「うん、ありがとう!」
ということでまだしばらくこのままの生活が続きそうです。姉姫さまはお父様ったら、と困り顔をしています。
…と、困っていたのですが。
ー遂に、事が起きました。
毒味係の侍女が、突然血を吐いたのです。食後しばらくしてからだったので、遅効性の毒だったのでしょう。すぐに治療術師が呼ばれ、私の方は毒の効果が出る前に治療が終わりました。無事です。ぴんぴんしてます。毒味係の侍女さんもぎりぎり助かりました。ただ、危ないところだったみたいです。可哀想に…ごめんなさい。
王女である私が狙われたということで、私の護衛騎士達が主となり犯人探しが始まりました。ついでにいじめの犯人探しもされました。
で、結局のところ速攻でクラーラ王女がいじめの主犯だとわかり、その取り巻きのご令嬢方と一緒に牢獄に入れられました。そして、事情聴取中に突然自白した(多分パパが脅したかなんかした)とのことで、私の暗殺未遂でも捕まりました。
「まさか、毒殺までしようとするなんて…大丈夫?メグ」
「はい、大丈夫です姉姫さま!でも、パパすっごく怒っていたらしいですけどクラーラ王女殿下は大丈夫でしょうか」
「まあ、私のメグは優しいのね。私は厳正な処罰が与えられるべきだと思うけれど…そんなに心配ならお父様に通信してみる?」
「あ、そうですね、そうします!」
ということでパパに通信をいれます。
「メグ…無事だな。本当になんともないな?」
「うん、大丈夫だよ!心配してくれてありがとう、パパ!」
「我が子のことだ。当たり前だろう」
「それでね、パパ。クラーラ王女のことなんだけど…」
「ああ、モーントの。あれがどうした」
「私の毒殺未遂の犯人として逮捕されたでしょう?大丈夫かなぁって」
「…お前は優し過ぎるな。自分が殺されそうになったのに、その相手を気遣うとは」
「そんなことないよ!」
「そんなことあるだろう。…安心しろ。ちゃんと家族とまとめて断頭台に送ってやる」
「ええ!?」
「…冗談だ。モーントはあの第三王女を見捨てた。あれは廃嫡される。断頭台に送られるのはあの第三王女だけだ。モーントは今後アルカンシエルの属国になる」
「…そっかぁ」
「メグ。自分を害そうとした者にまで憐れみを向けてやる必要はない」
パパはそういうけれども、原作通りの展開ならクラーラ王女が断頭台に送られることはなかったんだよね。貧民政策や水害対策の時に多くの民を救えたけれど、今回は逆に犠牲を出しちゃった…。
「メグ…メグのせいじゃないわ」
「ありがとうございます、姉姫さま」
「…アルカンシエルの王女を害そうとしたのだ、厳しい処罰を下さなければならない。…悪いな」
「あ、ううん。パパはなんにも悪くないよ!私なら大丈夫!ありがとう。またね、パパ」
「ああ、またな」
「ではまた、お父様」
ー…
「そうか、クラーラ王女が。…怖かっただろう。もう大丈夫だ」
「シュテル様…」
「しかし、まさか彼女がそんなことをするとは。…残念だ」
「そうですね…」
「まあ、いじめの主犯も逮捕されたんだ。これからは元の生活に戻れるだろう。心配することなんてないさ。大丈夫。…お前が無事で、本当によかった。無事でいてくれてありがとう。あとで毒味係の侍女にも礼を言わないとな」
「シュテル様…そんなに心配してくれてありがとうございます」
姉姫さまやパパ、シュテル様の優しさの優しさに触れて、人一人を断頭台に送ってしまうショックから少しだけ立ち直れました。…次からはこんなことにならないように、頑張らないと!
クラーラは残念でした…




